久々のル・パラン。一杯目に出していただいたのが、「ブリティッシュ・フェスティバル」というカクテルで、ドライジンとライムジュース、そしてドランブイ(Drambuie)が構成要素。

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ドランブイ、というお酒を初めて知ったのだが、アルコール度40度のスコットランド産モルトウィスキーで、ゲール語の語源は「満足できる飲み物」の意。

1745年にスチュアート家のチャールズ・エドワード・スチュアートが、ジャコバイト軍を率いて王位継承権を争う戦いを起こすけれど(カロデン・ムアの戦い)、大敗してスカイ島へ逃亡。チャールズの首には多額の賞金がかけられた。にもかかわらず、ハイランドの士、ジョン・マッキノンは、変装したチャールズを護衛してフランスへの亡命を成功させる。チャールズは褒美として、マッキノンに王家秘伝の酒のレシピを授ける。で、ドランブイのラベルには、Prince Charles Edward’s Liqueur と記されている…という逸話のあるお酒。

Battle_of_culloden

上は、「カロデンの戦い」を描いたデイヴィッド・モーリエによる絵。1746年。左側のタータンチェックがスコットランドの反乱軍、右の赤いユニフォームが近代装備した英国政府の「官軍」ね。当時のイングランドはドイツ系のハノーヴァー王朝。

Bonnie_prince_charlie_by_john_petti

上は、ボニー・プリンス・チャーリー(愛らしいプリンス・チャーリー)と呼ばれたほどの人気があった、チャールズ・エドワード・スチュアート。

ジャコバイトの反乱に関しては、「その後」も含めて、小冊子一冊が書けそうなほどのエピソードがあることもわかった。それはまた後日のネタに。

で。そういう由来が語られるお酒、ドランブイなのであった。いつも思うのだが、この手の逸話は、どこまでが事実で、どこからがフィクションなのか、定かではない。でも、情景を想像させる逸話があるというそのこと自体が、お酒であれモノであれ、味わいをより深くしていることはまぎれもない真実。

ベースのモルトウィスキーに、はちみつとハーブがブレンドされている。このこてこてなスコットランドのお酒に、イングランドのドライジンが加わって、ゆえに「ブリティッシュ・フェスティバル」というわけですね。敵対する者同士がまじりあい、祝いあうことで、お互いのいいところが2倍増しに際立っていくような。そんな祝祭感のある、華やかな味わいが広がるカクテルでした。

このバーはいつ行っても新しいことを教えてくれる。私の知らないイギリス文化がまだまだ闇の奥深~く広がっていると思うと、「センセイ」なんて呼ばれてる場合ではないし、と思う ^_^;

二杯目は、王道をいくマンハッタン。いい感じで暗闇に溶け込んでますね… 

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マスター啓彰氏の絶妙のさりげなさ(スプレッツアトゥーラ、とはこういうこと?という見本をときどき実にさりげなく見せてくれる)に感動し、片腕の聡氏の明るい率直さに笑わせてもらった楽しい時間でした。二人のホンダさん、ありがとうございました♡

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