連載原稿を書くために参考資料として読んだ本。岩切正介『男たちの仕事場 近代ロンドンのコーヒーハウス』(法政大学出版局)。

17世紀にイギリスにお目見えしたコーヒーハウスが、紳士の社交場となり、政治やメディアの中心となり、保険会社まで生んでいく……という過程が記される研究書。ロイズ海上保険組合は、コーヒーハウス発。多くのジェントルマンズクラブと同様、女子禁制だった。女性からの抗議書まで出されていた(コーヒーハウスに入り浸る夫を返せ、と)。

コーヒーハウス振る舞い方心得、というのがあったことが興味深い。

「ジェントリに商人、みな歓迎。上席があるのではないから、だれとどこに座っても、失礼でない。立派な方が来られても、席を譲るにはおよばない。ただ、汚い言葉で毒づき罵る場合は、12ペンスの科料を頂戴する。……(中略)……何を話すのも自由だが、宗教に深入りしないこと、冒瀆文書に触れる場合も同様。国事を不敬な態度で論ずるのは控える。笑いも冗談も、悪意のないものがよい。」

階級を意識することなく、誰でも平等に議論しあうことができた場所だったのね。社交から人は予期せぬ多くのことを学ぶ。あらゆるニュースが集まってくる場所でもあったので、流行を伝えるメディアともなったこともわかる。

「コーヒーハウスは、学寮であり、裁判所なのだ。国であり、陸軍であり、海軍なのだ。コーヒーハウスはこれまでなかった偉大な大学だ。1ペニーで学者になれるところだよ」

啓蒙の時代の背景にはコーヒーハウスがあったのか。

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