金曜日に知人に連れていってもらった、白金の「カーヴ・ド・ギャマン・エ・ハナレ」がとても印象的だったので。

カウンター越しに、名物シェフの木下威征さんが話してくれる「プチストーリー」が素敵なのですね。「木のやん」こと木下さんは、ヨーロッパで修業を積んできて、日本では当初、フレンチのシェフとして名を馳せたのだけれど、ある時から和食を始め、今は、和食を海外に広めることを計画している。フレンチから和食へと関心が広がるきっかけになったのは、なんと作家の北方謙三さんだった。

フレンチのシェフとして粋がってとんがっていた時、北方さんがお店にやってきて、こんなことを聞いた。「おまえは、フレンチのシェフになりたいのか、それとも<料理人>になりたいのか?」

何を聞かれているのかわからなかった木下さんは、「もちろん、フレンチのシェフですよ!」と自信満々で答える。

すると北方さんは、休日に木下さんを連れ出し、70歳くらいの料理人がひとりで切り盛りする店につれていく。その料理人は、料理法などにまったくとらわれず、目の前のお客さんのコンディションや注文に応じてこれが最高と思える料理を供し、お客さんに喜ばれていた。

彼の料理を食し、お客さんの反応を見た木下さんは、「フレンチ」の技を見せつけることばかりにこだわっていた自分を恥じ、お客さんを喜ばせることを第一に考える料理人になる、と発想を転換したのだそう。

また、こんなお話も。

20代の女の子で常連客がいたが、その子がガンになってしまった。余命一週間というとき、彼女は、両親に連れられて木下さんの店を訪れた。「木のやんの作ったお子様ランチが食べたい」と。木下さんは彼女のために特製お子様ランチを作る。抗癌剤で食欲などまったくないはずなのに、彼女は喜んですべて平らげてくれた。その3日後、彼女は亡くなる。

さらに、こんな裏話も。

木下さんがお店をオープンした当初、藤巻幸夫さんが毎日のように応援にかけつけてくれ、新しいお客様を紹介してくれた。その後、藤巻さんが入院したとき、ご恩返しとして、木下さんは毎日お弁当を作ってお見舞いに行った……。

誤解を恐れずに言えば、話の真偽などそれほど重要ではないのである。そんな「心が動く」お話を、料理の合間合間にちょこっとお話してくれるそのサービス精神こそが、何よりも素敵だなと思ったのです。

ボリュームがありすぎて食べきれなかった(←私はお酒はかなり飲みますが、小食です)メインの蝦夷豚は、ホイルに包んでハンドバッグ型に成形し、しあげにマジックで「シャネルマーク」を書いて持たせてくれました(^_^;)

エネルギッシュで、愛とユーモアにあふれたプロフェッショナルなホスピタリティで楽しませてくれた木下シェフです↓  ありがとう!

Kinoyan

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