ずっしりと重い437ページの専門書。ジョルジュ・ヴィガレロ『美人の歴史』(藤原書店)。美人になるためのファッション、美容、エステの方法やらその社会的背景やらをめぐる歴史書。すぐに「読了」はできそうにない圧倒的な分量だが、折々に役に立ってくれそうな資料満載で、長くお付き合いできそうな本命本。

言うまでもないですが、このような本を読んだからって美人にはなれません。っていうか、あらゆる愚行と紙一重のお話を読んでいくわけなので、だんだん同時代の「美を追求する」ということに対して懐疑的になってくるのよね。同時に、あらゆる形が人間の解釈とちょっとしたきっかけ次第で「美」となりうることが理解できで、ものすごく「美」に対するキャパシティが広がっていく。知識が与えてくれるのは心の自由に他ならないのです。

もう一冊のずっしり本。中公選書から、小林恭子『英国メディア史』。404ページの厚さ。政治権力と対等に闘い、王室を茶化しまくり、大衆の下世話な関心をかきたててやまない刺激的なイギリスのメディアの歴史を、現在の最新情報までカバーして解説してくれる、骨太な本。こちらも長くおつきあいしたい一冊。

本格的に作られたこのようないい本ほど「1万部なんてとうていいかない。売れてもせいぜい5千部(本当はもっともっと少ないことのほうが多い)」と言われてしまうのが今の出版状況のようです。だからこそ、本気で応援したいのですけどね。良心に忠実に書こうとすればするほど結局は著者が買い取る羽目になりますます著者は貧乏になっていく……というのが実感です(T_T)。文化を守ろうという志が少しでもある方は図書館で待ったりせずブックオフで買ったりせず(中古本が買われても著者には印税はまったく行きません)少しでも新刊を買ってあげてください。それもまたひとつの社会貢献だと思います。

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