ペンハリガンより発売されて間もない「イングリッシュ・ブルーベル」。第一印象はフレッシュながら、実はひとくせもふたくせもある残り香にひたりながら、ブルーベルに触発された思いをつらつらと。

ブルーベルはイギリスでは春の到来を告げる花。釣り鐘状の花がたわわに咲いて、先端が湾曲して、さらに全体が釣り鐘のように下がるのですね。私はこれを見るたび、一つ一つの秘め事を大切に抱えて、最後まで謙虚に頭を垂れ続けるセクシーかつ凛とした男性の姿を連想するのです。これだけの数の花を抱えていられるのは、やはり男性かな(もちろん、女性でもいいのだけれど、ま、それは個人的なイメージということで)。

Hyacinthoides_nonscripta_common_blu
イングリッシュ・ブルーベルの学名はHyacinthoides non-scripta、すなわち、文字が書かれていないヒヤシンス。「ノン・スクリプタ」の解釈はいろいろ可能かと思うのだが、私の超勝手で自由きままな読み込みとしては、「ヒヤシンスの定義におさまりきれないヒヤシンス」。

これまでのどの定義にも書かれていない思い。これまでのどんな文学も書いていなかった感情。これまでのどのような枠組みにもあてはまらない関係。これまでのどのような辞書もすくいきれなかったひめやかな心の働き。心のなかを染める色は、たとえるならば、ブルーベルが咲き乱れる森のような。

Bluebell_wood_little_chittenden_woo
そんなざわめく感情にとまどいをおぼえるとき、静かに寄り添ってくれそうなのが、このフレグランスの、決してさわやか一辺倒には終わらない、ひねりのある残り香。

Bottle_and_box

2 返信
  1. アラベスク
    アラベスク says:

    中野様
    こんにちは。
    暦は立秋なのに猛暑が続きます。
    精力的でお忙しい毎日、どうぞ栄養と給水(給リカー?)確保して
    乗り切って下さいませ。
    ラジオ放送を楽しみにしていたのですが、
    肝心のラジカセが壊れていて中野さんのお声が聴けず
    残念涙。
    さて、7月のブログですが、
    ペンハリガンの“English Bluebell”
    解説がすばらしくてずっと忘れられず、
    次の“ピオニーブ”のご紹介がでているのですが、
    巻き戻しコメントさせて下さい。
    本文の中で、
    私はこれを見るたび、一つ一つの秘め事を大切に抱えて、
    最後まで謙虚に頭を垂れ続けるセクシーかつ凛とした男性の姿を連想するのです。
    これだけの数の花を抱えていられるのは、やはり男性かな…
    秘め事を大切に抱えて最後まで謙虚に頭を垂れ続ける“恋人”は
    愛する女性を守る騎士的存在。
    ブルーベルの花の写真と森の写真で想起したのが
    キーツとファニー
    ヘレンとレナード (ハワーズ・エンド)
    エレンとニューランド (エイジオブイノセンス)
    グゥイネビアとランスロット卿(アーサー王)
    臼井礼と四条直美 (水曜日、午前3時)
    美妙と秋雨    (美しき1日の終わり)
    ネリーとチャールズ(パニュキス)by山岸涼子
    秘め事は身分違いの恋であったり、既婚者の恋であったり
    苦しみを伴うひっそりと慎ましやかなものですが、
    同時になにか永遠を願ってしまいます。
    盛岡正博さんの
    “永遠とは、愛する者たちとともにいるという感覚によって、
    いま私の生きる世界が埋め尽くされることをいうのです。”
    のご紹介の言葉がまさに
    イングリッシュブルーベルの花ことば
    Humility & Constanncy
    とマッチして、「愛から至る道がある」に辿り着きました。
    中野さんはこの香水の物語の登場人物に主役二人は誰を想像したのか聞きたいです。
    *************
    以前週刊現代で書かれていた栄えある禿史に
    クリスチャン・ラクロアも
    その一人に加えて下さい。
    お願いいたします。(笑)
    昨年の8月6日「グリンゴ」で中野さんにお目にかかれて嬉しかったです。
    また公開イベントに参加できる日を楽しみにしております。

    返信
  2. kaori
    kaori says:

    >アラベスクさま
    いつも深く読んでいただき、考えさせられるコメントをいただき、ありがとうございます。挙げられた作品のなかの恋人たち、私が読んでない(見てない)作品もあり、メモして今後見るべき作品ガイドにさせていただきます…。m(__)m
    私は自分が主人公のストーリーを想起、というか勝手に妄想しましたが^_^; 夢がなさすぎですみません…。
    実際の香りは、女性にはピオニーヴがおすすめかな。9月の発売です。一足早く使わせていただいており恐縮ですが、多くの方にほめられ、好評です。
    そういえばグリンゴからもう1年経ったのですね。暑く、熱い一日でした。あの日から多方面でいろんなことが大きく変わりました。人生の方向や濃度を決めるのはやはり人との出会いだと実感します。
    物語を紡いでくれるようなドラマチックな香りをお供に、記憶に残る夏をお過ごしくださいね(^_-)-☆

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