今なお世界でいちばん売れている香水、CHANEL No.5の新しいアイコンとしてブラッド・ピットが選ばれたことが話題になっている。

CMではよれっとしたシャツ姿、(手入れされた)無精ヒゲ、長髪の、気取りのない姿のブラッド・ピットが、なんの装飾もない背景のなか、静かにぼそぼそっと語るだけ。

・・・・・・But wherever I go, there you are/ My Luck / My Fate / My Forture / Chanel No. 5 / Inevitable.  最後に、No.5がちらっとあらわれる。

http://www.youtube.com/watch?v=mGs4CjeJiJQ

先月末に初めて見てから、しばらく頭にこびりついて離れなかったのだが、その「理由」のひとつの手がかりになるような分析を、齋藤薫先生が、J nude (11.1号)誌上で。

「…そのCMでは、一緒にいなくても、どこにいても愛する人の存在を感じ続けている男の意思が描かれたから、誰もがアンジェリーナ・ジョリーの存在をそこに思い浮かべたはず。まるでアンジーがNo. 5を纏っているような錯覚に陥る。そこまで思わせるほどに、妻をある種、崇拝している精神的な厚み、情の深さ、それ自体が、世界一のセクシーの源泉であるということなのだ」

「そのアンジーも、夫と子供を心底愛しているから、とりわけセクシーに見えるわけで、とすれば男の色気も女の色気も、定義が明らかに変わったことになる。人に対して熱いこと。しかし心が浮ついてないこと。だから生き方がどんどん重厚なものになっていくこと。恋に強いのではなく、愛が強いこと。シャネルが考えるセクシーもそこまで含めてのことなのだろう」

さすが薫先生の小気味よい断言ですね。

たぶん、私が最初にThere you are.のセリフを聞いたときに無意識に思い浮かべたのも、アンジーの姿だった。いないのに、たしかにそこにいると、フィルムを見ている観客のほぼ全員が感じられるって、ちょっとすごいことではないか。

浮名を流し続ける「ワルい男」ではなく、むしろ、一人の女を深く愛している男が、もっともセクシーであることをあらためて表現したCMであり、No.5 は、そのような男に愛される女がまとうにふさわしい香水というわけなのですね。……ため息もののコンセプトですが、ますます現実レベルでのハードルは高くなった感あり(T_T)

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