壇蜜主演の「私の奴隷になりなさい」。銀座シネパトスにて。

レディースシートに座る観客にはけっこう若いおしゃれな美女(ひとりまたは二人連れ)が多い。過激な描写を宣伝している割には、R15なので、高校生も鑑賞可能というレベル。

「スカイフォール」みたいな超大作と比べるべくもないほど微々たる予算でつくられた映画なので、映画的醍醐味という点ではコメントしようもないほどしょぼい。俳優の滑舌もいまいちで何を言っているのかわからないシーンもいくつか。

でも、低予算なりに丁寧にシナリオが練られていて、エロスの本質について、上っ面な興味本位ではなく、まじめに深く掘り下げようとしていた姿勢には好感がもてた。話題の原作は読んでないのだが…。

壇蜜演じる既婚OLの香奈が、「先生」(板尾創路のはまり役!)に出逢い、調教され、どんどんエロティックに美しく開花していくんだけど、それが深まれば深まるほどほかの男に対しても多情・淫乱になるのかといえば、まったくそうではないのよね。

「先生」の命令で、他の男と行為をさせられる香奈が、苦痛で泣きながら「先生、先生~」と呼び続けるシーンがなんともつらく悲しかった。香奈のエロスが開発されるということはすなわち、たった一人の男、つまり「先生」にしか感じなくなる、「先生」への執着ばかりが深まり、ますます他の男を寄せ付けなくなっていくということなのね。

香奈にとっては苦痛の極みだったそのあとに、「先生」がやってきて香奈を愛撫しはじめたとき、彼女は一転して、エロくて幸福そうでこのうえなく美しいとろけるような表情を見せる。究極の愛ってこういうことなのかもと思い知らされる、どこかもの哀しい後味が残る映画だった。エロスをとことんつきつめた果ての哀しさ。阿部定の物語にも、失楽園のお話にも、似たようなほの哀しさが漂っていたような気がする。

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