年末に、神話学者ジョセフ・キャンベルの「ヒーローの旅」からインスパイアされたロードマップのことを紹介したが、いつも片隅に置いているあの図のおかげでまた少し救われた。ここしばらく、自分の力ではどうにもできないことを自分でコントロールしようとする「間違った努力」をして、その結果、Abyssに落っこちていた。自分も、大切な家族も、それぞれ表面上は別の問題で闘っていたが、根は同じだったかもしれない。Abyssとは、世界の底が抜けたような、奈落の底。キャンベルの図によれば、絶望のどん底、「主人公、一度、死ぬ」。

再掲します。圏外からの呼び声に答えて不本意な旅に出たヒーローが必ずや経験するAbyss. これを経ないと一回り大きくなって元の世界へ戻るなんてことはできない。

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貴重なクリスタルのシャンパングラスを落っことして、壊してしまった。これはもう元には戻らない。そうとわかったときの、世界と引き裂かれてしまうような、真っ暗な感覚。ああこれが、ロードマップでいうAbyssか、そういうふうに見ることができたから(そう見ることができる余裕が少し出てきてからのことだが)、なんとか踏みとどまることができた。抽象的な表現をせざるをえないこと、乞ご理解ご寛恕。

現実を受け入れ、そうなるまでにいたった状況を冷静に分析して理解して、これまで生きてきてよくもこんなことに気づかずやってこれたなあというさまざまな学びを後悔ととともに得るまでに、時間がかかった。ようやく、別人になって、生還した気分。痛む傷口にもそのうち慣れる。細胞は3か月で全部変わるというし、この際、細胞ぜんぶ取り替えるのもいいか。OSが2段階ほどバージョンアップ(笑)した今、もう二度とグラスは壊さない。(美化しすぎ(^_^;))

キャンベルによれば、復活したあとに待っているのは、atonement。贖罪、という日本語訳がこれまでいまひとつわからなかったけれど、ことばの核にあるのは、onement 、単一性、すなわち、自分自身と一体になること、だったのですね。自分自身との和解というか調和、これがアトーンメントの本来の意味。文字通り、引き裂かれるような経験をしたあとだから、この意味が実感できる。

拙著でも紹介している19世紀の文人にしてダンディ、ブルワー=リットンのことばから。

What is past is past, there is a future left to all men, who  have the virtue to repent and the energy to atone.

「過去は過去。悔い改める力と、償い和解するエネルギーがあるならば、必ずや未来は開けている」

過去は過去、教訓を学び取ったら、感謝して、執着せず、さらさらと流して、未来へ。

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