旧知の編集者に「ヒミツの場所へご案内しましょう」と連れて行かれた先が、中国大使館の少し先にある、なんていうことはないビルの地下。外には看板を出しているわけでもない、カウンター8席+ほんの少しのテーブル席がある、Le Clavier Arisugawa。

カウンターの向こうにはグランドピアノがあり、なんとピアノじたいがスピーカーになっていて、そこから出てくるまろやかなピアノの音色に空間が満たされる。

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シェフの吉田さんが供してくれるのは、20種類のワイン(数種の日本酒を含む各国のワイン)とそれに合わせたツマミ。すべて一口ずつなので、トータルの量的にはそれほどでもない(らしい)。少しずつ、多種類、が好きな私のようなタイプにとってはありがたい演出^_^;

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その夜の客は、私たち二人と、白髪の紳士と美女のカップル、そして、男一人+女性二人のグループという計3組。もちろん、互いに見知らぬ者どうし。

コースがそろそろ終わりに差し掛かった時、グループのなかの若い女性一人が「ピアノをひいていいですか?」とおもむろにピアノに向かい、ドビュッシーの「月の光」を弾きはじめたのだが、これがプロの演奏!!! 酔ってるからときどきちょこっとハズし、それがまたライブのいい雰囲気を醸し出している。なんと平日はOL,週末だけピアニストの仕事をなさっているという。アンコールで何曲かひいていただき、すっかり場が一体となって酔いしれる。

Arisugawa
そしてそして。感動したもう一組のカップルの紳士が、素晴らしい演奏のお礼に、そして感動を共有したテーブルのみなさんに、と「マジ・シャンベルタン」をふるまってくださったのだ。かなり高価なお酒だと思うが、ご相伴にあずかりました。

奇跡的な一期一会を祝って、最後に、今日の幸せに偶然居合わせたお客さんたちで、ピアノの前で記念写真撮影。

忘れられないドラマチックな夜になりました。連れて行ってくださった編集者さま、幸福をシェアさせていただいたすべてのみなさま、ありがとう!

帰りに吉田さんがくださったリスト。ふるまわれたマジ・シャンベルタン(マジうまい、というおやじギャグが当然のように出ましたが…)もしっかりリストの中に書き込んでくれた。きめこまやかな、ブラボーなおもてなしでした! 

Photo
それにしても、結果、トータル21種類のワインをいただいたわけですね。かのカクテルコンテストで飲んだのが21杯だったので、それと並ぶ記録(~_~;)

(*ヒミツの場所、と書きましたが、実際にもうメディアで何度か紹介されているお店なので、本当の意味でのヒミツというわけではありません。念のため)

2 返信
  1. かいしん
    かいしん says:

     一期一会を大切になさっている方々が偶然集い、まるでそれが必然であったかのように化学反応を起こして作り出された幸福なひととき…、目に浮かぶようです。素晴らしい夜をお過ごしになったようで、お書きになった記事を拝見しているだけで、私も幸せな気持ちになりました…、ありがとうございます。私は一期一会の心が好きで、常々その精神を大切にするよう心掛けておりますが、喜ばしい「幸福な一期一会」に触れて、また思いを新たにいたしました。
     少量多種のお酒と、それに合わせたお料理…、理想のひとつとして思い描くことのある夕食ですが、なかなか実現は難しいと考えておりました。しかし、実際に提供していらっしゃるお店が存在しようとは…、実に魅力的です。
     お仕事の息抜きにブログをお書きになっていることは、原稿をお待ちになっている方々には複雑な思いがあることでしょうが…、私といたしましては大歓迎です。とても息抜きでお書きになっているとは思えない読み応えのあるブログですが、今後も中野さんの「息抜き」を楽しみにしております。

    返信
  2. kaori
    kaori says:

    >かいしんさま
    いつもご愛読と、あたたかなコメントをありがとうございます。レベルの高い読者に恵まれて、幸せです。
    一期一会も、必然の出会いも、運命の出会いも、すべて心がけ次第ですね。自我とか欲みたいのが完全に消えて、時空の中にふわっと身をゆだねることができたときに、いい交感が起きて幸運が訪れる…という経験が続いている気がします。
    さて。今週もリフレッシュモードで仕事します! いつもほんとにありがとう。

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