話題の本、岸恵子の「わりなき恋」(幻冬舎)。70の「女ざかり」と60近い男の7年にわたる恋。そのはじまりから終わりまで。ともにグローバルに第一線で働いている教養豊かな一流の仕事人で、デートの場所も地球をまたにかける。そもそも出会いが飛行機のファーストクラス。舞台は壮大なスケールなんだけど、感情、とくに男の嫉妬はとてもせこかったりするのが愛らしかったりして。

岸恵子のリアルな経験がもとになっているのだろうなあと思わせる描写も多々で、でもまあ、そう思わせてナンボ、ですね。そう読まれることは織り込み済みの、成功している「ファクション」。あくまで小説とはいえ、書いたのが岸恵子だからこそ説得力をもつ特異な物語。岸恵子、かっこいい!

書かれていることはあくまで表現であり、よい表現であるかどうかだけが重要なのであり、「真実かどうか」というべったり下世話な関心はどうでもよいことなのだ。

覚えた表現。「アミティエ・アムルーズ」。限りなく恋に近い友情。アンドレ・マルローがルイーズ・ヴィルモラン夫人に感じていたようなちょっとどきどきするような友情。恋が始まるか始まらないかわからない、このまま友情を保つのかそれとも一歩進むのかわからない段階の楽しげな感覚を的確におさえたフランス語、いいですね。

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