上阪さんとは、ジョン・キムさんのパーティーで二度ほどお目にかかりました。謙虚ながらオープンマインドな、信頼感にあふれる方で、「一ヶ月に一冊のペースで本を出している」という言葉に驚愕した記憶がありますが、そのノウハウもこの本のなかに書いてあります。

有名人や成功者、スポーツ選手、大学教師(!)が「著者」の、あんなベストセラーやこんなベストセラーを実際に書く人は、これまで「ゴーストライター」と呼ばれ、黒子に徹してきました。そのうしろ暗い呼称を一掃し、「ブックライター」という肩書きを創り、表舞台に出るべき職業であることを宣言したのが上阪さん。あっぱれ!

仕事観が私と似ています。たとえば、仕事が仕事を呼ぶ、という考え方。目の前にある仕事にとりあえず全力で取り組んでいく、その結果、次の予想外の仕事につながる、だから、たかが想像できる範囲の未来ではなく、縁や偶然に導かれる、想像もしていない未来に賭けたいといった姿勢。

でも、仕事を有能なビジネスマンのようにこなしていくやり方(たとえば、締切はなにがあっても厳守するというなマネージメント)は、私には到底できていないことで、それはそれはもう、心から反省いたしました…。

成功者のコンテンツを伝えるというのが目的であれば、上阪さんのような有能なブックライターが書いた、無色透明な読みやすい文体がふさわしいのですね。さくさくと本を作っていく方法論が書かれていて、とても刺激を受けました。

それはそれ、として高く評価したい。

ただ。本を読むという楽しみのひとつに、コンテンツなどよりもその作家ならでは癖のある文体そのものを愛でるというものがあって。

何を歌うかではなく、誰がどう歌うか。何を書くかではなく、どう表現するか。中身よりも表層のスタイル。

蓮實重彦・愛とか、三島由紀夫・愛とか、リリー・フランキー・愛とか、高山宏・愛とかがそうですね。コンテンツもさることながら、それ以上に、文体そのものの変態ぶりが好きだ、みたいな。笑。

そういう、変態文体そのものを味わう楽しみを与えてくれるのも「本」。社長さんが「著者」で、実質ブックライターが執筆する、役立つコンテンツを届けてくれるのも「本」。ビジネスになるのは圧倒的に後者で、出版不況と言われる現在では後者ばかりがもてはやされている感もありますが、前者の文化も廃れず存続していくことを祈ります。

0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です