敬愛するかつての同僚(この3月に定年退官)、山口仲美先生の最新刊は、ガン患者としての心得本。

エレベーターで一緒になった時、いつものように明るくにこやかに「今度ガンの手術をするの。二度目なの」とおっしゃっていた。サイレント映画だったら「こんどタイに旅行に行くの。二度目なの」と字幕がついても違和感のない明るさだった。もちろんポーズには違いないのだけれど、二度のガン手術を経てなお、仲美先生は楽観的で明るくて楽しげで積極的に行動する人なのであった。

昨日も同僚とこの本の話題になり、「転んでもタダじゃ起きないナカミ先生らしいよな~」と泣き笑い。みんな天真爛漫なナカミ先生のことが大好きなのだ。職場にSOSを出したときの同僚の対応も記されていて、周囲のあまりの優しさに泣けてきた。

患者として心得ておくべき具体的な助言がメインの本としても、かぎられた命をどう生きるか?という万人にとっての心構えの本にもなっている。50年、さらに運よく生き延びたとしてもたかだか30年、そんなのあっという間だ。

コウベエ先生の言葉が強烈。「それよりも、生き延びようなんてことを忘れて、一日一日を大切に生きる。調子がよくなってから、あれをやろうなんて考えてはいけない。調子が悪くても、やりたいと思ったことはただちに実行する」。

この先生と仲美先生は結局、コミュニケーションが合わずに訣別するんだけど。医師も人柄。

自分の身体を神からの借り物と思えば、それに感謝することも大事、ということを教えられる。「長い間、ごくろうさま。私は自分の体に向かってお礼を言い、感謝しました。そして、自分にできる仕事をつづけながら、美しい人生の残照を存分に味わうことにしました」。この一文に至るまでの仲美先生のガンとの闘いを思うと本当に頭が下がる。

患者じゃなくても、健康な人間にとっても、示唆に富むエピソードに満ちている。

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