Richesse 2014 Summer 発売です。巻頭連載エッセイ「リシェス・オブリージュ」Vol.8、タイトルは 「スポーツを取り巻く支援 Sports a la Mode」です。

今回も担当編集者、野中さんのおかげで美しい写真がちりばめられています。原稿のアラもカムフラージュしてくれる(m(__)m)すばらしいビジュアリゼーション。毎度ながら、深く感謝です。

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今号もずしりと重く、浮世離れしたゴージャスなクルーズの写真で非日常へ連れて行ってくれます。

小ネタで面白かったのが、長坂道子さんのコラム。色恋沙汰における「ヨーロッパ的寛容」。フランスの大統領の不倫やら恋愛沙汰があまりにも続くのでもはやだれも噂すらしなくなったという話。

色恋沙汰はプライベートの問題で仕事や人格とはまったく無関係という見方。

「『他所様のことをとやかくいう資格はうちにもないので(苦笑)』という態度で一貫している。イスラム圏の一夫多妻とも違う独特の『自由恋愛』の伝統、遠くアンシャン・レジーム時代のリベルティナージュに根を持つらしい伝統(=早い話が不倫に関する寛容さ)が、この地には(実は)今も根強くあって、それこそが欧州連合という会員制クラブの、裏の入会資格なんじゃないか、とさえ思うほど」。

新しく覚えた言葉、リベルティナージュ。ラクロの「危険な関係」などに象徴される、当時の貴族社会における恋愛上、道徳上の自由、放蕩、放埓さのこと。

この寛容がヨーロッパの服の色気や優雅な空気感をひそかに支えているのよね。リベルティナージュをホメているわけではないが、その独特の会員制クラブのような秘めやかな雰囲気を理解しないと、ヨーロッパのファッションも理解できないのでしょうね。

2013年1月に出た「日経ビジネスアソシエ」の教養特集号が、
同年6月にムックとして再発行され、
さらにこのたび、手ごろなサイズのムックとして再々発行されました。

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「残念な人にならないためのマナー・教養 まるわかりBOOK」
ビジネスマンが武器として身につきておきたい教養8科目
(日本史・経済思想・日本文化・世界史・現代文学・経営学・英語・スーツ)
に関する入門ガイドとして幅広い支持を得て、このような形で流通し続けています。
今回の小型ムックは、コンビニでも買える500円。
(校正のミスがいくつか目に留まりましたが…)

僭越ながら、スーツについての解説を担当しています。

この特集号が最初に出た去年のはじめもそうだったし、
スーツの本やらダンディズムの本やらを出した時もそうでしたが、
「スーツを着たことも作ったこともない女がエラそうに言うな」
「女のくせに男の服を知ったように語るな」
というヤジやら中傷やらが面と向かって、あるいは匿名で、
それこそさんざん浴びせられました。(おそらく今も)

いちいち傷ついてたら男社会でやってけないので、
「あ~ら、ごめんあせばせ~」とほほえみ返しでスルー。
器の小さすぎる輩とトラブってる時間が惜しいので
さっさと次の仕事をするほうにエネルギーを注いできたら
気が付けば当初の敵の何人かは今の私の強力な理解者。

A smile for a friend, a sneer for the world, is the best way to govern mankind.
(友には微笑みを 世間には嘲笑を それが世渡りのコツである)

セクハラヤジ騒動につられてつい(^-^; 
都議会はもっと大事な仕事をさっさと進めてください。

ヤジをとばしたほうを議員辞職させるとかもう絶対許さないくらいの言説も飛び交っていますが。
誤解や偏見や思い込みから生まれる対立から始まる関係を、時間をかけてよいように変えていく。ここに人間の面白さとすばらしさがあるんじゃないの? と思います。

(念のため、セクハラヤジを擁護しているわけではまったくありません)

リバティアカデミーの「フォーマルウエアの歴史と現在」第2回目。今回は丸井メンズアパレル課によるフォーマル、ビジネス、クールビズ、ジャケパンスタイルまでの実際と提案。

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メンズアパレル課のイケメンチーム。

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実際のサンプルを見せながらの、具体的な実践講座となりました。

なまなましい現実感あふれるお話も勉強になりましたが、製造もおこなっている会社ならではの情報が新鮮でした。

いちばん衝撃を受けたのは、日本の濃染加工技術の話。

日本の略礼服を黒いスーツでと提案したのは一アパレルメーカーであり、そのガラパゴス性を私もいろんなところで指摘してはいるのだが。それが受け入れられてカスタムとして定着しているというのも事実なのである。

で、日本の略礼服の黒と、ビジネススーツの黒は、同じ黒でも濃度が違うのだそうです。略礼服の黒のほうがより深い黒。その黒に染めるための濃染加工技術において、日本は世界一なんだそうです。他国は年によってムラができるけど、日本はいつ染めても同じ風に仕上がる。他国にまねのできない、日本が世界に誇る技術。

略礼服が育てた日本の技術、といえますね。あるいは紋付袴時代から受け継がれてきた伝統を守っているのかもしれない。その職人さんの努力にまで思いを馳せると、黒の略礼服がガラパゴスだからと言ってばっさりと却下することなんて、私には到底できない。

日本固有の歴史、日本固有の地理から生まれ、受け入れられて定着した日本のローカル・ガラパゴス・ルール。これが世界に誇る染色技術を守り育てていたという衝撃。グローバル基準とズレているのは、案外、悪いことばかりではないのかもしれない。もっと多くの関係者の声を聴く必要がある…と思わされた、意義深い講座になりました。To be continued…

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現在入手困難となっている外務省の「国際儀礼に関する12章」と、日本フォーマル協会発行の小冊子。ルールにズレがあります。日本国内だけでも、さらに「流派」というか、さまざまなバリエーションがあります。

「国際儀礼に関する12章」は、外務省の先輩Sさんが速やかに手配してくださいました。ありがとうございました!

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ご参加くださいましたみなさま、事務局の河合さん、丸井メンズアパレル課のみなさん、ありがとうございました。おかげさまで印象深い講座となりました。

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この日は前回の黒ロングドレスから印象を変えて、ブルーのアンサンブルを着てみました。撮影してくださったのはひぐちまりさん。感謝。

国際日本学部第一期から第六期までの、インフォーマルなOBOG会。

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すでに起業して「社長」の名刺をもっている学生や卒業生も何人かいて、時代の流れを感じるなあ。韓国からの留学生には男子必須の2年間の軍事訓練の話を聞いたりして、なかなか興味深かった。伝統をこれから創っていく、っていいですね。みんながんばれ。

「プラウド」連載記事取材のため、舘鼻則孝(たてはなのりたか)さんのアトリエに取材に行きました。

レディ・ガガの靴をつくっているデザイナーとしても有名な舘鼻さん。世界戦略やファッションとアートの違い、新しさとは何かという話、コミュニケーションとデザインなどなど、話題は尽きず。

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ヒールレスの靴も履かせていただきました。安定感あり、走れる感じ。2時間のパーティーならもちそう!(^^)!

お話ほんとうに面白かった!28歳とは思えない成功哲学をお持ちです。世界に出るというより、世界を引き寄せるための考え方。未来の山本耀司か村上隆になる予感。詳しくは本誌にて。

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記念写真。足元注目。182センチの長身にコム・デ・ギャルソンがよく似合っていらっしゃいます。お父様の実家が富山ということで、高岡でも作品を作っていらっしゃるとのこと。意外な富山つながり。

リバティアカデミーでの講座、「フォーマルウエアの歴史と現在」。最上階の、夜景の素晴らしいファカルティラウンジでおこなわれました。

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テーマにふさわしいエレガントな雰囲気。私もノリノリでロングドレス着用((^-^;)

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おかげさまで大好評!ひぐちまりさんもブログでご紹介くださいました。前回のスーツ講座を受講してくださったらみいさん、今回も参加してくださったうえ、ブログでご紹介くださいました。

ご来場くださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。

来週は、丸井メンズアパレル課の石川さん、笹野さんによる実践編。ビジネスカジュアル、クールビズまで提案がある予定。こちらも楽しみです。

本日発売の「Flash」にちょこっと載ってます。

西麻布交差点での路駐をフラッシュされたった!

……っていうんならかっこいいのですが、んな華やかな事件には縁がなく。

先週、編集部の方が大学に取材にいらして、がっちり一時間ほど濃いめの話をしましたが、ごくさらりあっさりとまとめられました。そんなもんですね。自分も取材をするのでよくわかる。

提供した大学時代の写真は、タイミングよく、友人の大里真理子さん(本サイトのデザインをしてくれているアーク・コミュニケーションズの社長でもあります)に送ってもらった、なつかしのもの。本誌ではモノクロで一部しか使われなかったのですが、せっかくなので、こっちで公開。ちょうど30年前の写真です。ちなみに左の真理子さんも同じ特集に載ってます。

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にしても「ご笑覧くださいませ」とは勧めづらい表紙だわ……・中身も、いきなり袋閉じだし……(^-^; 

アンジェリーナ・ジョリーについての原稿を仕上げた、と思ったとたんにまた新しいニュース。

なんとエリザベス女王からデイムの称号を与えられることになったと。あっぱれ!

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…だが原稿書き直さねば(^-^;

abcニュースのサイトで知ったのだけれど、ジョリーの、誰も反論できない「どや」スピーチの前に出てくるジャギュア(イギリス人はジャガーをこう発音する)の広告が面白い。

コマーシャルフィルム単独の映像はこちら

アメリカ映画では悪役の多くがイギリス人だ、それはなぜか?という分析をするのだけど、もっともらしい性格分析が続いたあと、最後のオチが…「われわれはジャギュアを運転するから」。そしてシメのひとこと。

It’s Good to be Bad.(ワルいのも、なかなかいい)

こういうセンスがたまらなく好きなんです。

6月13日、金曜日、雷雨のあとの快晴、満月でハニー・ムーン。

代官山蔦屋で、干場弓子さん、干場義雅さんと、シャネルトークショー。

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大学で講義3コマ終えたあとの限界越え感のあった夜のトークショーでしたが、おそらく、一生忘れることのできない、レアで貴重な時間を過ごしました。

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(トークショー前、Anginでの打ち合わせ)

というのも、これまでのトークショーはかなり、自分がうまくできるかどうかということでいっぱいいっぱいだったところがあるのですが、この日は、意識の枠みたいなものが一段広がっていて、この場・この時間を共有している人たちと、いかに喜びをシンクロさせて楽しむか、ということにエネルギーを注ぐことができたフシがあります。

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お客様にも恵まれました。スタッフの方が「トークショーの会場だけとてもいい香りが漂っている」(笑)と言ってたくらい、とにかく華やかでした。はじめてお目にかかる読者の方もみな美しく装っていらして、さらに感激したのは、サプライズで多くの友人たちがかけつけてくれたこと。

蔦屋ご近所とはいえ、超ご多忙のデザイナーの芦田多恵さんと、秘書の熊井美恵さん。N-style編集長の廣瀬規子さん。アナウンサーの堤信子さんと放送作家の野呂エイシロウさん。

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(信子さんと野呂さんは、こんなゴージャスな真っ白いお花までプレゼントしてくださいました!)

畏友パーソナルスタイリストの政近準子さん。ハケットロンドンの大西慎哉さん。はじめ多くの友人たち。客席にお顔を見つけて、心がじわ~っとアツくなりましたぜ。

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(終了後の記念写真。左から政近準子さん、山内美恵子さん、干場弓子さん、大西慎哉さん、中野、干場義雅さん)

貴重なお時間を割いてきてくださったお客様のよいオーラが集まり、ダブルホッシーとの相性も抜群で、会場のみなさまと一体感というかコラボ感を感じられた、このときにしか生まれえない祝祭的な時間となりました。「観客のみなさまとともに作り上げる」ライブ感覚を成功体験として実感できたのは、私にとってはそれこそ「静かな革命」となりました。

当日の様子の一部は、政近さんのブログにも。

廣瀬さんのブログにも。アナウンサーの大平雅美さんのブログにも。

最後の質疑タイムで、「あなたにとっての仕事とは?」という質問がお客様から出て、「私から仕事をとったら何も残りません…(笑)」と答えましたが、やはり、自分の限界を超えさせてくれるのは仕事しかないのかな。高みに導いてくれるのはともに仕事をする人だったり友人だったりお客様(読者)だったり。そういう時間や思いを積み重ねたりシェアしたりするのは、世間でいう「趣味」もない(というか趣味が仕事になってしまっている)私にとっては最高の快楽です。限界越えする経験も仕事を通して。最高のスリルも、極上の冒険も、感動の感涙の瞬間も、仕事が与えてくれた。笑。さびしい人生といえばさびしい仕事一筋の人生ですが、そんなふうでしかありえなかったからしょうがないですね。

喜びの時間をシェアしてくださったすべてのみなさまに、心から感謝します。Love!

ランヴァンの秋冬展示会。リッツカールトン東京にて。

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テーマはSwinging in the dark。トライバル&ゴシック&ロックな印象で、がつんと力強いアイテムが勢ぞろい。

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パールをひとつひとつ手で縫い付けてフリンジ風にした贅沢なシルクワンピースとか。

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メンズではショッキングピンクのスニーカーが目をひきました。メンズピンクはGQも特集してましたが、たしかに最近、増えている印象。着ているのは業界人周辺だけかもしれないけど。

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ひときわ存在感のあった、トライバル感がユーモラスなお帽子をかぶらせていただきました。笑

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そのまま雨笠としてかぶっていきたくなったほどの、外はどしゃぶり。「嵐の夜」ってちょっとワクワクするね。昔っからナニカが起きるのは「嵐の夜だった。」と相場は決まっている(?)

「エッジ」にて米シャーリー・ジャクソン賞を受賞した作家、鈴木光司さんをお招きし、「日本発コンテンツを、世界へ」というテーマでご講演いただきました。

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「世界で通用するのは情緒ではなく、論理、ゆえに徹底的に言葉を鍛えろ」

「競争するのではなく、自分のスペースを広げていくという感覚で協力」

「ターゲット獲得までの道程を書き出してみる。そのなかに非論理的なもの、他力本願的なものが入っていたらそれは実現しない」

「ターゲットに徹底的に論理で近づいていくが、最後の最後にふと正しい方向へ導いてくれるものは、祈りや直感であったりする」
 

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 …などなど、「人間パワースポット」ならではのアツいトークが繰り広げられ、時間を忘れた濃いレクチャーでした。「エッジ」で意識的にとられた意外な「戦略」の公開もアリ。

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私は一週間ほど前に、結膜下出血を起こしてしまい、完治までの間、高山宏先生メガネで失礼しておりますm(__)m

その後、HENJIN 会議。笑。そもそも昨年、光司さんとお引き合わせくださったのは、<変人塾>の塾長、川下和彦さんでした。お二人に感謝します。ありがとうございました!!

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Boys and Girls、Be Eccentric.

イギリス特集の雑誌2冊。

Courrier

courrier 巻頭のコリン・ジョイスのインタビュー記事が面白かった。現代イギリスにおける階級。まだ頑として存在するのね。コリンはオクスフォードを出て、ジャーナリストとして働いているけれども、出身が労働者階級なので、現在も「間違っても上流階級ではない」と。

・階級を含めた人間のバックグラウンドが、話しかたや仕草、ヘアスタイル、服装、趣味などからわかります。

・中には、訛りで推定した出身地(ロムフォード)から、私を「酒飲み」と呼ぶ者もいれば、「白い靴下はどうした?」と聞いてくる者もいました。ロムフォードのあったエセックス州の人は白い靴下を好んではく、つまり趣味が悪いとされていたからです。

・上流階級の金持ちの学生たちには、驚かされることが多くありました。彼らは、気取った服を着ているのかとおもいきや、かなりカジュアルな格好をしていました。破れたジーンズやくたびれたブーツを身につけていたのです。しかし後にわかったのですが、それらは計算されたラフなスタイルでした。ジーンズは古着ふうに仕立てた高級品で、ブーツも150ポンドもする革製品でした。穴の空いたジャンパーは、よく見るとカシミア製でした。

・「イートンで得られる良質な人脈が、子供の人生を最後までしっかり支えてくれる」。

その次のパーヴィス家のインタビューも興味深かった。写真の中のパーヴィス家の家長、正真正銘の上流階級のジェントルマンであるが、スーツ姿がゆるゆる。ずるっとさがったブルーの靴下と足を組んで上がったトラウザーズの隙間から脛が見えている。ネクタイの赤とシャツのパープルと靴下の色もあってない。だけどそれでOK.。ホンモノの紳士の余裕ですね。えてしてホンモノはゆるくてもホンモノだから何をしても許される。それにあこがれる部外者が、形の上でのマナー(脛を見せてはいけないとか色を統一とか)だけを厳格になぞればなぞるほど哀れに見えるというジレンマ(^-^;

学生の頃の、スノッブなカジュアルダウン。年をとってからの、ダサダサ演出。本場の紳士の、かくも高度な排他意識というか特権意識にはかなわないよねえ。