東京ミッドタウン、21-21デザインサイトで「イメージメーカー」展開催中。土曜日は鑑賞がてら、舘鼻則孝さんのトークショーにうかがいました。

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ひと月前ほどアトリエにインタビューにうかがったばかりですが、オフィシャルなトークもまたたしかなボキャブラリーを駆使してすばらしかったです。アートを超えて普遍的な結論にまでおとしこめる力量は、かなりの成熟を感じさせますが、28歳なんですよね。アンファンテリブル。

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ヒールレスシューズのインスピレーション原になった高下駄も、舘鼻目線で制作。ぽっくり。円形を二つに割って左右のゲタになるが二つそろえると絵が完成する。鈴までついている。歩くと鈴の音がする。

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かんざしの彫刻は、「富山チーム」こと、富山は高岡市の鋳物関係者とともに作っている。「引退のスキを与えないように発注し続ける」という、職人さんに対する舘鼻さんの優しさがいい。富山の職人は微妙な敗北感を抱いているけれども、舘鼻さんは腕のいい職人を探し求めて富山にたどり着いたのだと彼らに告げる。コラボというよりもコミュニケーション。この関係が作品に血を通わせる。

それにしても、この彫刻の英語のタイトルがHairpin(ヘアピン)。まあ、間違いではないでしょうが(^-^;

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これも職人技が光る作品。純銀を特殊な塗装で加工してある、「ムサシガワさんの工房」と言っていたがどこだろう。上ふたに太陽が描かれ、その下へ順次、雲、雷、雨粒、海へと続いていく。飛行機がない時代、雲の上は神の領域だった。「雲の上にはいつでも青空」ということを人は知らなかった、という舘鼻さんの指摘にはっとする。

ヒールレスシューズで世に出る、ということになったときに、彼は、他に作っていたドレスやバッグなどをすべて引っ込めたという。「どういう存在で有意義になれるのか?」 その打ち出し方を取捨選択するという戦略的姿勢にも感心。(比べちゃいけないが、私にはまったく欠如している姿勢…イタタタ)

香水講座にゲスト講師として来ていただいた地引由美さん(左から2ばんめ)と、フレグランススペシャリストの村岡輝子さん(左)もお誘いしました。舘鼻さんを囲んで記念写真。3人でミッドタウンを歩いていたら知人に遭遇、「君たちは美術館のショーピースか」とからかわれましたが、香水関係者って、言われてみれば確かに、どこか浮世離れしたところがありますな…。

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アイデンティティ×コンテンポラリー=トラディショナル・ジャパニーズ。トラディションとはあくまで未来から見たトラディション。それを作り上げるのは今この瞬間を生きる私たち、という力強いメッセージは、多くの人と共有したいテーマです。

2 返信
  1. かいしん
    かいしん says:

     富山の職人さんが微妙な敗北感を抱いていらっしゃるとのこと…、それはなぜなのでしょうか。
     私は日本酒が好きで、全国の名酒・銘酒を味わってまいりました。それぞれに良さがありますから、どれが美味しかったのかを順位付けするのは難しく、また、そのようなことはあまりしたくありません…。しかし、最も美味しかったお酒とそれに続くものは特別で…、即答できます。それは勝駒と満寿泉、どちらも富山のお酒なのです。ですから、日本一の酒所は富山だと、私は考えております。
     富山の方々には、もっと自信をお持ちいただきたいと切に願っております。

    返信
  2. kaori
    kaori says:

    >かいしんさま
    心強いコメントをありがとうございます。
    本ブログを読んでくださっている(かもしれない)満寿泉の社長(中部高校同窓生です)はじめ富山の読者のみなさまもお喜びになるしょう。

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