映画「イヴ・サンローラン」は、9/6より公開スタートし、先週末の連休を経て、興収5000万を突破する大ヒットになったそうです。祝!

ミニシアターランキングでも1位に輝くなど絶好調で、メイン館の角川シネマ有楽町では日計記録、週計記録を塗り替え中とのこと。

実在のデザイナーを描いたファッション映画としては、シャーリー・マクレーンの「ココ・シャネル」が興収2億という大ヒットだったことが記録されていますが、「イヴ・サンローラン」はそれを上回るかも。

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チラシに掲載されている私のコメントです。

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デザイナーの苦闘と喝采。
ファッション界の通俗とモードの崇高な美。
愛の歓喜と残酷。
深い余韻が残ります。

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ワールドカップフランス大会決勝直前のスタジアムでのショーを見ることができるドキュメンタリーも、あわせてぜひご覧ください。

名古屋のファッション専門学校の先生方の研修で、講演でした。「ウィンクあいち」にて。

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「スーツが秘める物語」と題して、スーツの歴史と各パーツの由来やきまりごとの変遷などを120分。さすが先生方だけあって、反応もよく、こちらも楽しくお話させていただきました。ありがとうございました。

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今年1月にモデリスト協会で話した内容が好評で、同じ話を名古屋で、とお声かけいただき、この日のご縁につながった次第。半年たてばスーツ事情も新しくなっているのでヴァージョンアップしていきましたが、ひとつひとつの仕事に没頭することではじめて「次」のご縁に導かれていくものなのですね。「次の機会」を与えていただく、というのが仕事に対するいちばんの報酬というか喜びだなあ…としみじみ感謝した機会でもありました。プライベートでは「次の機会」がないということは多々ありますけどね(^-^;

朝日新聞11日付夕刊、ブリオーニと千總のコラボが紹介されていました。

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千總さんはリシェスの仕事で取材に行きましたが、第二次世界大戦中の、友禅染などとてもありえない困難な時期にも、ぎりぎりの企業努力で伝統技術を継続させてきた、すばらしい会社です。

究極のリシェス・オブリージュの精神が発揮された、「腰から下だけのキモノ」を紹介したリシェスの記事の反響も大きかった!

職人さんの高齢化、着物需要の低下で、友禅染の中間工程の廃業も相次ぐ中、職人の伝統技術を次世代に伝えていくことが難しくなっています。そのなかでのヨーロッパブランドとのコラボは、また新しい希望となるはず。

「職人にとって、継続的な仕事とプライドの維持が課題」という磯本さんのコメントがリアル。

それにしても、京都は元気。京都GO ONのメンバーの海外での活躍もめざましい。茶筒の開化堂の八木隆裕さんの作品も、ヴィクトリア&アルバート・ミュージアムに飾られている。

伝統技術を継続させるのが厳しいという現状を嘆かず、グローバルに活路を見出して奮闘し、めざましい活躍を見せてくれる頼もしさ。ワクワクし、励まされます。

伊勢丹メンズ館11周年パーティー。おめでとうございます。

メンズ館のスタッフと顧客のみなさまの楽しげな装いをたっぷり拝見して眼福でした。全館、店員さんの「何かお探しですか」プレッシャーなく見て回ることができる貴重な機会でもあります。

ぐるぐる上っていって最後は8階のサロン・ド・シマジ。資生堂が100万円かけて作成したというかつらをかぶり、文字通り爪の先まで藤田嗣治に扮した島地勝彦バーテンダーが。店内やその周辺には伝説の「オフクさん」はじめ、島地エッセイに登場するキャラクター、メディア関係者や常連さんが続々入れ替わり立ちかわり現れ、大西社長も気さくに交流していらっしゃいまして、ああこの雰囲気こそが伊勢丹の文化パワーを支えるエネルギーかと感心しました。

サロンの隣のカフェではこの日、マッカランのサービスがあり、結局、ル・パラン(客層がほぼ同じなんですね)の常連さんたちとそこでわいわいと飲んでました。

そこへル・パランから「特使」が来て、「席を空けて待っているから来てください」とお招きが。2年前の伊勢丹メンズパーティーの帰り、立ち寄ったら満席で入れなかったことを、これで帳消しにしてくださったわけですね。笑。 ビターなジンのカクテルを芸術的なグラスでいただいて、最高の締めくくり。

ほとんど会場の写真を撮らなかったのが心残りですが、唯一、撮ってもらったスナップ。

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それにしても、メンズ館誕生とともに広がったあの「メトロセクシュアル」ブームからもう11年も経ったのですね…。もはやそんな言葉をあえて使わなくていいほど男性のグルーミングもファッションもフツーになった感。

≪追記 9・16≫

オフクさんの専属カメラマンさんが撮った写真をいただきましたので、ご了承を得て、アップします。

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左から、シマジさんの著作と言動をすべて暗記しているウォーキング・シマジ・ディクショナリことモリマサさん、NHK「全身編集長」プロデューサー「真美さま」、藤田嗣治に扮したシマジさん、中野、バタク丸の内店長の川部純さん、オフクさんこと長谷川高士さんです。

中国の『端麗服飾美容』(日本のRayとの提携)、数か月に一度、掲載誌がまとめて送られてまいります。

最新号は9月号。

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連載コラム、今月のお題は「ファッション・イノヴェーション」でした。どんなニュアンスに訳されているのか、ついぞわかりませんが。スタッフのみなさま、いつもありがとう。

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『イヴ・サンローラン』初日は満員御礼で、立ち見の回も出たそうです。鑑賞後に多くの方々からメッセージなどで感想聞かせていただきました。あらためて感動をシェアできたり、新しい発見があったりと、私にとっても嬉しい日でした。

コミュニティ・カレッジのサンローラン講座にご参加くださいました寺部真理さまからも、とても知的な刺激に満ちた感想をお送りいただきました。なるほど!と思わされることも多かったので、真理さまのご了承を得て、以下、抜粋して紹介させていただきます。

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個人的な思い出:

私がサンローランのファッションについて知ったのは、1970年代後半でした。
映画評論家の今野雄二さんのコラムを通してであった、と記憶しています。
今野さんもゲイ的な感性の持ち主で、ラガーフェルド、マノーロ・ブラニクなどに、かなり早い時期から注目しておられました。4年前に亡くなられた時は「シングル・マン」のような最期を遂げられたのが印象的です。
余談ながら、トミー・ナッターの「21世紀にはネクタイはなくなる」という予言を40年前に引用していたのも今野さんでした。
まさかクールビズの時代を予言したわけではないでしょうが・・
ちなみに私は学生時代にリヴゴーシュを愛用し、オピウムについては海外旅行に行く親戚に頼んで、発売当初さっそく買ってきてもらいました。当時、水戸黄門の印籠のようなデザインに驚いたものです。(笑)

ミューズと映画ファッション:

「昼顔」のドヌーヴは、ベージュのスーツやトレンチコートが印象的でした。
人妻・不倫・トレンチコートの三点セット?を踏襲したのはブライアン・デパルマ監督の「殺しのドレス」でしょうか。
この作品はヒッチコックの「サイコ」よりも、むしろブニュエルの「昼顔」へのオマージュだ、とデパルマ監督が言っていたそうです。
こんなところにもYSLの影響があったのですね。

グローバルビジネス:

デザイナー個人としてのブランドと、グローバルビジネスとしてのファッションブラ
ンド、シャネルとサンローランの会社としてのその後・・・
この対比は、国際ビジネスを専攻した私にとって、とても興味深く、かつその矛盾について深く考えさせられるテーマです。
ファッション・ブランドのグローバル戦略については、ビジネス関係の学会でもテーマとして取り上げる先生方がおられるようです。しかし、アーチストの個性が深く絡むファッション産業においては、もっと多角的な分析が必要ではないか、と私は考えています。

デザイナーの感性とマネジメント:

「社会的意味はなく、ただただ美しくあることを唯一の基準として選んだことが、結果的に時代を変えるきっかけになる」、というデザイナーの感性のすごさ。
これがクリエイティビティの真の原動力ですね!
アーチストとしてのデザイナー、ビジネスとしてのマネジメント、イブとピエールの関係も興味深いです。
アーチストには、プライベートも知り尽くして存在をまるごと受け止められる有能な、愛あふれるマネージャー兼パートナーが必要ということで・・・

リシェス・オブリージュ:

最後に・・・もしもシャネルやサンローランが現代に生きていたならば、エコロジー、社会貢献、リシェス・オブリージュといった潮流を、独特の感性でどのようにとらえ、どういう形で表現し、何を起こしていたか・・・?想像するとたいへん興味深いです。
それを考えることは、ファッションを志す若い方々にとっても刺激的なことではないか、と思いました。

本当に楽しく、かついろいろ考えさせられるところの多い講座でした。

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こうして整理してコメントをいただくことで、私が無意識に話したことがどのように受けとめられたのかを確認できて、さらに視野が広がり、私にとっても大きな学びになります。他の受講者の方々にとっても、体験がより深く刻まれる貴重なご意見なのではないかと思います。真理さま、ありがとうございました。他の受講者の感想からも多々学ばせていただきました。受講者のレベルの高さにあらためて身が引き締まる思い。

それにしても、デパルマ、ブニュエルにつながるトレンチコートをめぐる三点セットって、キャッチーで、いい視点です!

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ご参加くださった内田栄治さんもブログ記事でご紹介くださいました。5日のコメント欄からもリンクできますが、あらためて、こちらです。ありがとうございました。

サンローランのドキュメンタリーは何種類かありますが、たとえば、ユーチューブで見られるのは、こちら。全部観ると長くなりますが。


恩師である行方昭夫先生の新著、『身につく英語のためのA to Z』(岩波ジュニア新書)。

ジュニア新書とはいえ、大人が読んでも面白い。読み書き聴き話す、すべての領域にわたって英語力を向上させるためのヒントや盲点などが、アルファベットのAからZまで、一ワード、ワンテーマをタイトルに掲げた26のエッセイ集として書かれています。どの項目からでも読めます。

もちろん、表層的なハウツー指南とはまったく別物。読むのに基礎的な教養が要ります。でもそれゆえに、修得すればいっそうレベルの高い英語の使い手になれるでしょう。

たとえば、比較級の使い方の例として、ウィリアム王子がパパになったときの一言が紹介されます。

I couldn’t be happier.

否定形を使って「最高の幸せ」を表現する、これはいかにもイギリス的で、なかなかすぐには出てこない。ゆえにマスターすれば最強だなと感じました。

We couldn’ agree more.(大賛成)とか。メモメモ。

英語のなぞなぞも知っておくと便利かも。いちばん長い英単語は? 

の正解はsmiles. 第一文字と最後の文字の間が1mileあるからですって! 

っていう頓智もいいし、実際にfloccinaucinihiliplification (富への軽蔑)という単語があると知ったことも衝撃でした。 ほかにも知的な刺激が満載。

ペンハリガンからメンズグルーミングライン、「バイオリア BAYOLEA」が発売されるとのこと、その発表会に伺いました。虎の門ヒルズのホテル、アンダーズ東京のスイートにて。話題のホテル、初めて入りましたがおしゃれすぎて入口がわからないほど(^-^;  ホテル内はハイアットチェーンならではのスノッブな別世界の空気。

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カイゼルひげがチャーミングな理髪師、關さんと丸山さんが、男性ゲストの髭剃りサービス。某紙編集長がサービスを受けているところ。総ガラスばりのベッドルームから都内を見下ろす贅沢なロケーション、スイスのステンハイムの音響システムから流れる癒しの音楽、爽快感とアロマ感のあるバイオリアの香りにつつまれたシェービングサービスは、それはそれは気持ちよさそうでした。終了後のリフレッシュした表情はぴっかぴか。

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うらやまし~。私は座ってマヌカン(死語?)のようにスタイリッシュな理髪師のお二人と記念写真のみ。笑

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カイゼルひげは、ひげの先端がぴんと上がっているのが特徴ですが、それは専用のマスタッシュワックスで形づくるんだそうです。こんな手のひらサイズ。女性が化粧直しする感覚で、食事の後などこまめにチェックするとおっしゃってました。

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BAYOREAのロゴ、Aの文字にはひげをアレンジしてあるんですね。とことんおしゃれで上質なグルーミングライン。

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発売は10月8日とのこと。

アンダーズはバスルームまで木を生かして作られているのですが、こんな風にグルーミングラインが並ぶと圧巻ですね。

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池袋コミュニティカレッジでの「イヴ・サンローラン」講座には、50名ほどのお客様にご来場いただき、ご一緒に楽しい時間を過ごさていただきました。ありがとうございました。

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至らぬところも多かったかと思いますが、好意的に受けとめていただき、多くのお客様がSNSなどで感想をアップしてくださいました。心より感謝申し上げます。

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この写真は内田栄治さんが撮影してくださいました。感謝。


美しいお花まで頂戴いたしました。サプライズで感激、嬉しかったです!マリさん、ありがとうございました。

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手前味噌っぽくてたいへん恐縮ながら、フェイスブックにアップしてくださった、ファッションを志す若い男性、頼富雄介さんの感想を紹介させてください。感性、表現力もとても素敵だと思ったので。

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まだまだファッションの世界を勉強中の僕にとっても聞き覚えのあるデザイナーの話もたくさん登場し、ファッション業界の歴史や人物の繋がりなどについて、わかりやすく面白いお話をたくさん聞かせていただきました。

そして何よりも、早くこの映画を見たくなりました☆

質疑応答にて「男性デザイナーと女性デザイナーの特徴の違い」について質問させていただいたのですが、お応えいただいた考えもとても興味深く勉強になりました!

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一流の人の情熱
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そして知識や歴史を楽しく学ぶことができたことはもちろん、僕がこの度先生から強く感じたのは、

「とにかくファッションの世界の歴史や人物が好き!」

というオーラというか雰囲気を持っていらっしゃること。

歴史や人物について様々な話をされている先生は、やはりその会場の誰よりも興奮されているように感じ、ご自身のお仕事に対する情熱というものが伝わってきました!

やっぱり、一流の方はご自身の仕事に対して誰よりもアツイ情熱を持っている。

だからこそ、こちらがその世界に引き込まれるんだなと痛感しました。

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『社会を変えるなんて大層なことを思ったことはない。ただ純粋に黒人の美しさに惚れ、自分の作った服を着せてみたいと思い採用しただけである』
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イヴ・サンローランが、有色人種のモデルを採用し、当時の社会に大きな影響を及ぼした際に本人が言った言葉だそうです。

純粋に自分が楽しめること、情熱を持つものに真摯に向き合うこと。

それを積み重ねた結果、周りに影響を与えるようにもなる。

本当に大きな学びを得ました。

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こんなふうに受けとめてもらえると、背筋が伸びます。反省点をしっかり踏まえて、いっそうの研鑽を積みます。あらためて、ありがとうございました。

みなさま、またどこかでお会いしましょう。