ファッションディレクターの大住憲生さんと、UOMO専属モデルのリヒトさんのコラボにより、エディフィスから「パルマンティエ」というメンズウエアのブランドがスタートしました。

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左が還暦を迎えたばかりの大住さん、右がリヒトさん。

トレードマークはジャガイモの花をかたどった銀のブトニエール。
ブランド名「パルマンティエ」は、飢饉におそわれたフランスを、ジャガイモの開発と普及で救済した農学者、アントワーヌ=オーギュスタン・パルマンティエ博士に由来するそうです。

ブランドに対する思いはどんなもの?とファッション業界の仕事をするきっかけを与えてくれた大恩人でもある大住さんに聞いてみたところ。

リヒトと「パリっていいな」という話をしたのが始まりだそうです。1970年代、大住さんが20代のころ、舶来品は高値の花でした。グッチやセリーヌの靴、ランバンのセーター、ジバンシィのベルトなど小物は買えたけれど、洋服は高くて買えなかった。そのころ着たくてたまらなかったヨーロッパの趣味性の高いファッション、とりわけサンローランのテイストを入れた服を、若いリヒトの現代感覚をとりいれながら、作ったのだという。

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20代のころ手が届かなかった夢を、還暦を迎え、自分自身の力で果たす。なんだかじわ~っとくるいい話ですね。年を重ねれば重ねるほど、やりたいことができるようになる自由を増やしていく。そんな生き方の模範を若い人に見せていく姿勢も、素敵です。

で、ブランド名に戻ると。リヒトがパリコレデビュー(1996年)のとき投宿したホテルの最寄りの駅名が「パルマンティエ」だったとのこと。その駅のプラットフォームには、貧民にジャガイモを施すパルマンティエ博士の石像が展示されています。

17世紀末、フランスにおいてジャガイモは貴族階級にとっては美食の対象でした。でも、一般大衆においては、味が淡白すぎて、飢饉におそわれていても、口にするものではありませんでした。

そんななかパルマンティエ博士は、一計を案じます。収穫時期に、「このジャガイモは美味で栄養に富む。王候貴族が食べるものである。これを盗んで食べた者は厳罰に処す」と畑に看板を立てます。その看板を見て、これまで好んでジャガイモを食べることのなかった付近に住む農民たちが、好奇心にかられて盗み食いを始める……。

かくして、ジャガイモの大衆への普及に貢献し、フランスの飢饉を救済した功績により、パルマンティエ博士はフランス国王ルイ16世に謁見します。その際、ジャガイモの花でつくったブトニエールを国王に献上したそうです。ブランド名は、そんな洒脱な博士に敬意を表して名付けられました。

博士のエピソードを聞いて思い出したのは、キャプテンクックが壊血病予防のために、船員たちにザワークラウトを食べさせた時のエピソード。やはり、誰も食べようとしなかったところへもってきて、いかにも高級でレアもののように扱ってみせたところ、みんな好奇心から食べたがった、という話。やはりレアで高級なようにふるまう、見せる、ということは欲望を引き起こすために大事なことなんですね。

話を大住さんに戻しますと、今出ているUOMO 11月号に、句会の記事があります。そこに大住さんはじめ数人の粋人の俳句が披露されてますが、服がらみの俳句、けっこう笑えます。機会があったらご一読を。

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