フレデリック・チェン監督「ディオールと私」、一足早く拝見する機会をいただきました。

「ミニマリスト」として知られていたベルギー出身のラフ・シモンズが、クリスチャン・ディオールのアーティスティック・ディレクターとして就任し、最初のコレクションを発表するまでの8週間の舞台裏を追ったドキュメンタリー。

理想が高く、「無理難題」を求めるラフ。オートクチュールの顧客(年間5000万円購入!)のために出張し、フィッティングに間に合わせられなかったことを責められる職長のジレンマ。最後の最後まで手でビーズをひとつひとつ縫い付けていくアトリエの職人の誇り。ラフの緊張と重圧と苦悩、アトリエの職人たちとの衝突と信頼。始祖ムッシュウ・ディオールのピンクとグレーの生家と花いっぱいの庭や50年代のフィルムが伝えるブランドの本質。6週間愛情をこめて作り上げたドレスを手放す時の「喜びと寂しさ」を語るお針子。

 

チームとしてコレクションを生み出すまでの、ありとあらゆる葛藤や苦労が、壁一面に花を敷き詰められた会場でのコレクション発表時に、この上ない歓喜へと変わります。スタッフひとりひとりの笑顔と涙にもらい泣きし、人前で挨拶するのが嫌だと言っていたシャイなラフが、喝采の中、自信と誇りに輝くスターデザイナーへと変貌を遂げていることに驚き、心打たれます。

50年代のディオールの「女らしさ」へのアプローチを、21世紀のラフが「解放」と解釈していくあたりも、なるほどと思う。

モードに関心の高い方はもちろんのこと、何かをチームで創り上げたり、表現したりすることを仕事としているすべての人に見ていただきたいリアルでロマンティックなドキュメンタリーです。

3月14日より、Bunkamura ル・シネマ他全国順次ロードショー。

写真©CIM Productions 

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