ファッションメディアの多くがただの広告媒体と化してきてなんだかつまらなくなってきたなあと思っていた矢先、久々にちょっと胸が躍る特集を組んでいた雑誌に出会った。Themという、(株)Rightersが発行している雑誌で、編集・発行人は右近亨さん。

them

No.005は、90年代特集。90年代のファッション、音楽、映画、カルチャーをきれいに整理してある保存版。思えば90年代は、「カルチャー」としてのファッションと音楽が輝いた最後の時代だったのかもしれない。2000年代にラグジュリーブランドも巨大資本の傘下に入るようになってから、多くのものが「マーケティング」の話になっていって、つるんと表層的に消費される薄いものになっていった。

本誌の最後、EUGENE RABKINが、「90年代が今、アツい理由」を書いているが、それを読んでいたらちょっと切なくなってきた。

「そしてその後、すべてが崩壊した。資本主義の波がカルチャーを丸呑みにするという、不可避的な出来事が起こったのである。オルタナティヴな音楽シーンは真っ二つに割れ、魂のないインディロックが創出された。ヒップホップは完全にポップへと変貌し、そのエネルギーは見かけ倒しのものになり下がった。インダストリアル・ミュージックはといえば、衰退の一途をたどるのみの存在となってしまったのである。 ファッションもまた、同じような運命に翻弄された。ラグジュアリーなコングロマリット企業が参入し、インディペンデントなデザイナーたちを力づくで制圧したり、札ビラを切って傘下に入れたりし始めたのである。営業や広告、きらびやかなショーを行っていくために、デザイナーたちはこの新勢力に屈するほかはなかった。90年代に黄金期を迎えたベルギー人デザイナーの実に半数が、このときシーンを去っている。」

ヘルムート・ヤング。スパイク・ジョーンズ。ハル・ハートリー。ポール・トーマス・アンダーソン。90年代に愛されてやまなかった才能あふれるデザイナーや映画監督。彼らも「カネ」の力の前にフルに活躍し続けることが難しくなっていった。なんだか虚しい。

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