鹿島茂先生の新著『進みながら強くなる―欲望道徳論』(集英社新書)。
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どのように仕事の成果を上げながらインプットしていくか? どのように「考える」べきか? 人は何のために生きているのか? ということを、ご自身の経験や、フランス文学者・哲学者のことばをひきながら丁寧に説く、鹿島先生流自己啓発本、でしょうか。

最後のほうに行くにしたがって引用が増え、なんと引用で終わってしまうというなんだか荒っぽいところもありましたが、前半は非常に刺激的で、物書きでもある自分が警戒しなくてはいけない注意事項も満載。以下は、本書から学んだ、自戒のためのメモです。

・「エネルギー切れになったり、故障したりした場合、戻って次の出撃に備えることのできるような基地や母港が必要なのです」

出撃基地たる専門分野を財産として大切にもっておくことが、重要、と。私の場合、イギリス史とイギリス文学、がそれに相当する。この分野も常にインプットを続けようとあらためて気を引き締める。

・「同じ歌を歌え」という注文には、条件交渉をして、注文主を満足させよ。これが「進みながら強くなる」秘訣。「提案を踏まえた上での逆提案こそが、ヒットする新曲作りの勘所」。

・ホリプロは、「一人のタレント依存率は二割五分が上限」という原則を割り出した。それに従えば、物書きも、「書けるジャンルを4つ持つ」ことがサバイバルに通じる。

・お金にならない書評は、脳幹を鍛えるのに非常に役立ったという話。本書の中でも引用されている、『歴史の風 書物の帆』からのことば---「私が本を評価していると考えるからいけないのであって、本のほうが私を試練にかけ評価を下していると考えればいい、という『逆転の発想』が浮かんだのである。ひとことでいえば、書評とは、書評する人間のほうが価値を評価される『人評』でもあるのだ」

とくとくと、上から目線で筋違いの「書評」をしてよい気になっている人は、上のセンテンスを読んでからもう一度同じことを書けるだろうか、と思う。他人のことを、あたかも自分が全能の神のごとく平気であげつらう人もそうだ。そんなときにはっきりとわかるのは、批評された「対象」のことではなく、それを語る人の人品のほう。

 

今年はサヴァティカル(7年に一度の、有給の研究オンリーで過ごせる年)で大学ではお目にかからない鹿島先生ですが、その分、刺激に満ちた本をたくさん生み出していただきたい!!と一ファンとして強く希望します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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