負の感情とのつきあい方が非常に難しい件において、タイムリー(というのも失礼ですが)な記事に出会いました。

朝日新聞26日金曜日朝刊。 asahi 6.26.2015介護していた夫(79)を殴って死なせた妻(71)の話。

その怒りの原因は、1979年、36年前にさかのぼる。夫は時効と思って当時のことを打ち明け始めた。妻としてはいちばん聞きたくないことを聞かされ、理性を失って暴行に及んだ。当時「夫を責め立てることはしなかった。自分のプライドもあった」。そんな「よいこ」を装った封印こそが、憎悪を絶やさず育ててきたのだろう… むしろ何らかの形で発散か爆発か昇華させておけばよかった。

裏切りを受けた恨みに時効などない。むしろ時が経てば経つほど、煮詰められてゆがんで濃くなっていくことがある。そして「復讐」という料理は冷めたころがいちばん美味しい、とは古今東西で語られ尽くしていること。そんなこと、人間に関する普遍の真理の宝庫である文学の世界では常識です。

人文学的な教養は、すぐにお金儲けには役立たないかもしれないですが、命に関わることがあるんです。今頃忠告しても遅いけど。ご冥福を祈ります。

教訓1:裏切ったことを告白するのは、誠意でもなんでもない。すべての人を不幸にする愚行。自分だけすっきりしようとせず、秘密は墓場までもっていけ。たとえ目の前で「目撃」されても、証拠がなければ徹底的に否定せよ。

教訓2:裏切られた恨みに時効なし。むしろ恨みは時間とともに煮詰まって濃厚になることがある。なにかのはずみで封印が解けた時は、本人すらコントロール不可の化け物になっている。

教訓3:人文学系の教養は、すぐには役に立たないかもしれないが、ここいちばんのときに命を救う。(これはどさくさにまぎれたこじつけ。人文学系の学部を国立大学からなくせという文科省の通達および人文学軽視の時流は、使い捨ての部品を大量生産したいだけの愚策として、ささやかに抵抗中)

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