メンズプレシャスブログ、更新しました。ご笑覧いただければ幸いです。

久々に恋した映画、キングスマンのご紹介。ほんとうはもっと語りたい!あれもこれも語り尽くしたい! が、語り過ぎるとネタばれに。あ~見終えた人たちと早く語りあいたい。カルチュアサロン、やりたいですね。シャーロックナイトみたいに。

キングスマンに恋する日々のBGMは、当然「威風堂々」です。
kingsman siren suit
こちらが、キングスマンに登場するサイレンスーツ。

原稿に書きました通り、「ハンツマン」をモデルにスタジオでセットが作られたのですが、実際のスーツは、マシュー・ヴォーンと、衣装デザイナーと、Mr.Porterというアパレル企業のコラボによるもの。新しく「キングスマン」コレクションを立ち上げ、映画の衣装として着せていると同時に、実際に販売もしているようです。こちらに、その記事があります。

kingsman eggsy

エグジー♡ この初々しいジェントルマンスパイ誕生!っぷりがたまりません。

海外ではノックオフ(模造品)の裁判を頻繁にやっているけれど、日本はノックオフ天国、だれも裁判をおこさないことをいいことに、やりたい放題がまかり通っていた。

そこに歯止めをかけたマッシュ社長、近藤広幸さん。快挙。というか「これと同じものを作ってくれ」と工場にもちこみ、廉価でECサイトで販売して、何年もの間、年間70億円も儲けていたというGio が悪質すぎる。記事は、WWD 7月13日号、Vol.1870.img137しかもGio側は開き直り、Viviなどのメジャーなファッション誌で、親和性の高いタレントを使って広告まで出していたという。テレビCMまで始めていたとなれば、消費者だってパクリかどうかなんて疑わないだろう。

その背後には、ファッション業界全体にはびこるいいかげんな慣習があった。デザインをぱくってもおとがめなし、消費者も同じであれば安いほうを買う、と意識が低すぎた(というか、そもそも消費者はそこまで深く考えて買うわけではない)。雑誌編集側も、思慮がなさすぎた。広告費さえ入ればなんでもいいのか。

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商品形態模倣という不正競争防止法違反で刑事告訴が受理され、逮捕されるのは、日本初のことだそうです。近藤社長の冷静で粘り強い証拠集めにも頭が下がるし、警察もよい仕事をしてくださったと思います。デザインの模倣は犯罪となる。こういう意識が、商品を提供する側、消費する側、メディア、社会全体に広まることを期待したい。

それにしても日本のデパートの売り場にも赤いソウルの靴が増えてきましたが。側面と底面がコントラストをなす場合に限り、赤い靴底はクリスチャン・ルブタンの商標ですよ? 大丈夫なんでしょうか。2012年にルブタンがサンローランとやりあった裁判でそのような認知が徹底されたと思うのですが。国境を越えたら模倣もおとがめなし?

ルブタン裁判の詳細な経緯に関しては、こちらをお読みください。

 

評判のよくない東京五輪の「おもてなし制服」。たしかにダサいとは思いますが、ダサいことが必ずしも悪いことではない。

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14日付朝日新聞の社会欄。最後の引用が、なかなかいいです。

「外国人も声をかけやすいと思う。だって、こんな格好していて、悪い人なんていないよ」(ボランティアの長谷川紀生さん(61))。

たしかに!笑

 

「それどころではない」時代であることはよくわかっています。しかし、それはそれ、これはこれ、アイザック・ウォルトンが17世紀、革命のさなかに「釣魚大全」を書いたような気持ちで、淡々とファッションビジネス界のことを書かせていただきます。第二次世界大戦中、「贅沢は敵だ」の時代でさえ、「千總」は職人技術を死守するために「着ることができない」超絶技巧着物を作り続けていました。どんな産業であれ、携わっている多くの人の生活があります。ご寛恕いただけましたら幸いです。
13日に三菱一号館美術館カフェにおいておこなれたミキモトコレクション2015-2016。

今シーズンの目玉は、長いネックレスとタッセルを組み合わせた「Skipping Rope Collection」。なわとびコレクション、ですね。7.13.5留め具で長さを変えられます。揺れるタッセルがなんとも優雅。

中央には、長さ3メートルのパールのなわとびが展示されていました!!! ぐるぐるとスカーフのように巻いて装うのだそうですが…。家が買えそうな価格(◎_◎;)
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ちらちらとセクシーにゆれるディナーリング。食事の時って手元に目が行くのですよね。このリングは高い悩殺力を宿しています。7.13.8

そしてチャリティのためのギフトアイテム。7.13.6「ミキモト」からは、ト音記号のピンブローチ。「ミキモト インターナショナル」からはリボンでト音記号を書いたボールペン。売り上げの一部は、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)を通じて、アジアの芸術文化の支援に役立てられます。ボールペンは贈りやすい価格でもあります。

今回も高い職人技術に裏付けられた芸術的なコレクションで、眼福でした。ミキモトスタッフのみなさま、ありがとうございました。7.13.9

10日、ファッションデザイナーの渋谷ザニーさんにゲスト講師としてご来校いただきました。

「黒色と生花」と題し、主にスペインにおける権力の象徴としての黒のモードと、「母国」ミャンマーにおける生花ファッションについて、レクチャーしていただきました。zanny 3

興味深かったのはやはり、ミャンマーにおいて、生花を髪飾りとして装うことがいかなる意味をもつのかということ。アウン・サン・スーチーさんが髪に生花を飾るのには意味がある。私(あるいは私の夫または父)が、こんな色とりどりの花を咲かせることのできる領地をもっている、という証明として花を飾るのだと。

ザニーさんはミャンマー出身ですが、幼少のころお母様とともに日本に亡命しました。政治難民でしたが、「いじめられないように」ファッションで武装というか防衛し、闘ってきた歴史も話してくださいました。

スペインに留学したかったけれど、当時は国籍がなかったために行けなかったという悔しさ。

あたりまえに国籍をもっていることが「常識」でしかなかった学生にとって、ザニーの人生の話は、衝撃的な体験となったようでした。

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おもいがけず、ザニーのお母様もいらっしゃいました。誠実さをたたえる、素敵なお母様でした。母国語ではない言葉でこのように堂々と人前で話をする息子を見て、お母様はどれほど誇らしい気持ちであったか。<母の気持ち>が想像できるだけに私も感無量の一日となりました。

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先週3日、LEON編集長の前田陽一郎さんをゲスト講師としてお迎えし、「ファッションとは何か」「編集とは何か」「情報とは何か」について熱く語っていただきました。7.3.8

生々しいファッションの現場の話や舞台裏のエピソードなどに受講者の眼はランラン、終了後も前田さんは学生からの質問攻めにあい、なかなかホールを離れられないほど。

・興味深い話がほんとうに多かったのですが、とくに「クラス社会」であるヨーロッパの船上パーティーに招かれたときのドレスコードの話が際立ってました。「カジュアル」でお越しください、と書いてあっても、前田さんはダブルのジャケット(船乗りといえばダブルですね)、青と白のストライプ、デッキシューズ素足ばき、シアサッカー素材、きちんとした時計、で「武装」。すると向こうから「わかるやつだ」ということで話しかけられ、ご縁ができたとのこと。Tシャツと短パンで参戦した人たちはついぞ話しかけられることなく、最後までその人たちだけで固まっていたそうです。ファッションはコミュニケーションであるという、活きた具体例ですね。7.3.4・「デザイン」はドルガバ、アルマーニあたりで終わった。90年代後半のブランド戦争時代に入り、トム・フォード、エディ・スリマンが活躍する頃は、「マーケティングと編集」でファッションが成り立っている。というメンズファッションの近年の流れの解説も。興味深い話題は山積だったのですが、以下、そのなかから数点だけ、ポイントをメモ。

・日本人は細部に凝る。遠景や全体像が見えず、どんどん細部をくっつけていく、という意味でカオスを創り出していく。一方、ヨーロッパ人はざっくりしていて、遠くから見て美しいものを作ることに長けている。7.3.9

・インターネットはただの箱。キーワードを知らないと何も始まらない。キーワードを知るためにはじかに世界と接することが必要。そして日経新聞の株価から時代を読んでいくことの必要性も。

・正しい情報と正確な情報は違う。正しい情報とは、読者が漠然と求めているものを肯定し、後押しするような情報。マイナス面はあえて伝えないことがある。一方、正確な情報はマイナスもすべて含めた正確なデータ。読者がほしがっているのは、正しい情報。

・日本人の美は日本人にはわからない。アニメも伝統工芸も、外国人が見つけてくれている。

・お洒落じゃなければ意味がない。ただ倫理的によいだけでは共感は得られない。

7.3.30

その後のインタビューでは、編集において目指していることは「共感・共有・共犯」の必要性である、と。納得。

意識をどのようにもって「ファッション」「情報」とつきあい、それらをいかに利用していくべきなのか、ヒントに満ちた濃い時間となりました。ありがとうございました!

7.3.31

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年に引き続き、今年も三越伊勢丹百貨店社員研修において、ファッション史の講座を担当させていただきました。

メンズ、レディス、それぞれに分け、古代エジプトから2015年秋冬トレンドまでのファッションの歴史を150分で語り尽くすという大胆無謀というかチャレンジングなレクチャー。人数を70ずつほどに分けるため、同じ講義を2日ずつ。メンズ、レディスそれぞれなので計4日。不思議なもので、聴衆の反応が違うと話も変わってくるんですよね。反応や熱気によって、語ることを省略したり、予定外のことをついしゃべってしまったり。まったく同じ講義なんて二度とない。ライブみたいな?(^-^; 最後の回は160分となってしまいました。

就職した教え子に再会できたり、講義後にメッセージをいただいて新しいご縁が生まれたりと、ハードながら充実した4日間となりました。isetan kenshu
好きなように積み重ねてきた研究や学びが、ファッションビジネスの現場、最前線に立つ方々のお役に立てるというのが、なによりも嬉しい。

「キングズマン」の試写拝見しました。キングスマン_メイン_WEB

久々に、恋をした気分になれる映画に出会いました。

コリン・ファースと新人タロン・エガートンのスーツアクションに萌えます♡ というかもうかっこよすぎて息がとまります。

詳しくは後日、別媒体において記事として書きます。

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「キックアス」のマシュー・ヴォーン監督、いい仕事してます。あのキッチュなヴァイオレンスシーンのセンスに笑える方であれば(ここ、けっこう重要。あのセンスについていけない人は後半キビシイかも)、全力でお勧め。

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写真はすべてKadokawaさんよりご提供いただきました。

 

「キングスマン」
9月11日(金) 全国ロードショー
配給:KADOKAWA
(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation 

SNSはたかがSNS ですが、個人の「表=現実」世界でのイメージを大きく左右するというのはもはや常識になっています。

ブランドはここ2、3年、やたらとコレクションやイベントを増やしていますが、その背景にはSNSの隆盛があります。雑誌に何百万円と広告をかけるくらいなら、インスタグラマーやブロガーに来ていただいて、おしゃれな写真スポットを提供し、写真を各SNSで拡散していただいたほうが、よほど宣伝効果が高いということになってきたようです。ジャーナリストが苦労して書き上げる2000字の原稿よりもインスタグラマーの一瞬のかっこつけポーズのほうが評価され、影響力も大きいというのは、微妙に悔しかったりするのですが。笑

誰もかれもがSNSで写真をアップするような時代には、そこに参戦しないのがもっともセクシーだとは思います。謎めいていたほうが、断然、神秘的でいいですし、よけいな人間関係のトラブルに心煩わされることもありません。しかし、たとえば私などは仕事上、書いたものを少しでも多くの方に読んでいただくためには媒体を告知するほうがいいし、公開講座などはできるだけ多くのお客様に知っていただくために宣伝する必要がある。そうすることが、編集者や出版社、大学事務局の方など、関わってくださる多くの関係者のご尽力に報いることにもつながります。

ただ、その必要だけに徹し、宣伝だけしかアップしないとなれば、それはそれで人は敏感なので、「なんだ宣伝かよ」と途端に冷淡になるものです。時たま宣伝をさせていただくのであれば、それ以外の、フォロワーの方にとって有益であったり楽しみになったりする情報も折々に提供する。そうして情報のバランスを保ち、人様に受け入れていただくことで、はじめて宣伝も機能する、そういうものではないかと思っています。(ちなみに匿名で罵詈雑言もとびかうTwitterにはついぞ近寄っていません。いかなる情報も、だれが、どのような文脈で発するのか、ということが重要なので、それが不詳な情報が飛び交う場は混乱を増やすだけです……もちろんメリットもあることは承知していますが。)

そのようなスタンスでSNSとお付き合いする中で、マナーブックには書いてないかもしれないけれど、それをやっちゃだめだろうと思うことがあります。今日は、日頃「これはSNSタブーだろう」と感じていることを3点、書いてみます。

・イベントの招待やイベントの告知での公開コメントに、「たいへん残念ですがその日は出席できません」とわざわざ書きこむこと。これが一つでも書きこまれると空気が盛り下がります。ましてや「その日は法事で…」とか、縁起のよくない理由を書くものではありません。「できるだけ調整します」もしらけます。「万難を排して参加する」のが本来の姿勢であろうと思うので、それができないのであれば、わざわざそのことを公に見える場で書きこむ必要はまったくありません。あなたの都合なんて誰も知ったことではない。主催者の立場になってみて、どうしても不参加メッセージを伝えたいのであれば、こっそり、主催者にだけ送れば十分です。

・プライベートの会合写真は、その人がどういう方々とおつきあいをされているのかがよくわかって非常に興味深いので(つきあう人はその人を映し出す鏡)、観察者としては大歓迎なのですが、そこにわざわざ「この仲間はやっぱりサイコー」「このメンバーだと心許しあえるのよね」みたいなコメントを書くのはいかがなものか。そのグループに近いところにいながらその輪に入れてもらえなかった人はどのように感じるのか、ちょっと想像してみればわかることでしょう。そのようなコメントをわざわざ書くならば、写真に写っている人のみで共有できる設定にしてからにすべき。

・あっちのカワイイ子ちゃんを褒めちぎったとおもえば、こっちの美人さんを褒めそやす男性。あるいは、あっちの「ダンディ」さんに媚びまくったと思えば、こっちの「紳士」にもすりよりまくりの女性。そのような「行動」がセクシーであるわけないどころか、かげで、いや、リアルの世界で多くの人に嘲笑されている滑稽な愚行であるということ、いいかげん気づきましょう。笑われているのを知らないのは本人ばかりなり。

つまり、現実社会と同じ、想像力の問題です。周囲の人にどのように見えるのか、どのように受け取られるのか。アップする瞬間はハイテンションになっていることが多いので、私もときたま「やらかす」こともありますが、やはりちょっと頭を冷やし、情報を受け取る他人の気持ちになってみたうえで、アップする。その一瞬のささやかな考慮の積み重ねをするかどうかが、その人の印象を決定的に変えていくように思います(自戒を込めて)。

 

 

 

2日、ヴァルカナイズロンドン メンズ2015-16秋冬コレクション展示会にうかがいました。7.3.1グローブトロッターはボンド映画新作の公開に合わせて、ボンドコレクション。ターンブルアッサーもボンドに合わせて。この秋はまたボンドブームが訪れますね。7.3.14ハケットロンドンは、トラディショナルな英国紳士のワードローブにひねりというか遊びを加えた、見ごたえあるコレクション。上、左のプリンス・オブ・ウェールズ チェックは、赤いラインがポイント。赤いネクタイと引き立て合って美しい。

7.3.21

カヴァートコートには、袖口にボタンがつかない。木などにひっかかるのを防止するためだそうです。でもボタンの代わりにラインが入っている。ハケット印の袖口のボタンは2×2の4個なのですが(二個と二個の並びに若干空間があるのが特徴)、このコートのラインはそれに合わせて、2本と2本のラインに若干空きを作ってます。7.3.167.3.15

この写真では見えづらいですね(^-^; この袖口に4本のラインが、ボタンと同じような感覚で並んでいるのです。7.3.19

キルティング素材のテイラードジャケットも新鮮。白いボトムは引き続き「イン」であるらしい。 7.4.38

マニアックな世界をわかりやすくご案内してくださったハケットボーイズのみなさん。それぞれに個性的にハケットを着こなしていらっしゃいました。ありがとうございました!7.4.39

そして大好きなプレスの岡田さん。レディースに引き続き、ありがとうございました!

 

明治大学広報 Meiji University News 7月1日発行の7月号(No.681)。先日行いました公開講座のことが掲載されました。

7.3.10

意外なポイントが記者さんにウケたんですね(^-^; 男性デザイナーと女性デザイナーが作る服の着心地の違いとか。

あらためて、ご来場くださいましたみなさまと関係者のみなさまに心よりお礼申し上げます。