何度も書いてますが、究極の憧れの女はやはりアイリーン・アドラーにヴェスパー・リンド。女には基本興味をもたない最高の頭脳をもつ男が「比類なき女」と認めた唯一の女がアイリーンであり、世界中の美女を知る最強の男が唯一心の底から愛した女がヴェスパー。まあ、自分がそんな存在になれるわけもなく、非現実的なロマンティックな夢ゆえに憧れるわけですが。そんな話を、レジィーナ・ロマンティコのオーナー・デザイナーである角野元美さんと交わしていて、せめてそんな女が着るような服を作ってほしい、と厚かましくもお願いしたのです。2年ほど前の話です。

そんな難しい服、お願いする私も私ですが(ほんとに申し訳ありません)。ドラマや映画のなかでキャラクターが着ている服の模倣ではなく、最強の男がかなわないと認める女が着る服というきわめて抽象的なイメージに基づいたまったくオリジナルな服。そんな服をなんと元美さんが試行錯誤の果てに、完成させたのです。2年越しのお約束を果たしてくれた元美さんの誠実なお仕事ぶりに、深い感動と、心からの敬意を覚えます。

モデルが私で至極恐縮のかぎりなのですが、ヴェスリーン・スーツ。(しかも勝手にヴェスパーとアイリーンから造語してるし)8.10.2
これはボレロをはおったときのシルエット。ボレロって一歩間違えると婚活服みたいにダサくなるのですが、そうならないぎりぎりのバランスを保っています。元美さんは、このボレロのバランスにいちばんお悩みになったとか。

8.10.1
ボレロを脱ぐとスリーブレスのワンピースになるのですが、いたるところに工夫が凝らしてあります。まずは背中に入った絶妙なスリット。

そして正面。きちんとした襟で首元を隠しながら、ぎりぎり上品な三角形でデコルテを見せる。しかも、リボンでデコルテがセクシーに二分割される…という、エロいのか修道女風なのかよくわからない(ここがポイントですね)悩ましのデザイン。

スカート部分も、アイリーンやヴェスパーなら当然タイトであろう…という期待を爽快に裏切ってあえてタイトにせず、適度に広がりのある品のよいシルエット。膝が見え隠れする永遠不滅の丈。8.10.3

そしてしわにならず、通気性高く扱いやすい素材はレジィ―ナならではのもの。元美さんが考える「大胆セクシー」と「女性の永遠のかわいらしさ」と「上品の秘訣はひとつかみの野暮」が見事に融合した、比類なきスーツです。これを着ると、せめて中身だけでもアイリーンやヴェスパーに近づかねばと、マインドが変わります。これが服のパワーですね。難題に2年間かけて応えてくださった元美さんに、あらためて、とびっきりの愛と感謝を捧げます。

このスーツはレジィーナ・ロマンティコで商品化されています。ボレロ単品のみの販売も始めるそうです。撮影は南青山店にて。

 

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