菊地成孔さんの『時事ネタ嫌い』(文庫ぎんが堂)。2007年から2010年に起きた政治・経済・芸能・文化・スポーツ・食などをめぐる時事ネタに関する菊地さんの率直で生々しい感覚と、それを5年後の現在から見直すやや冷めた視線が交錯する社会時評エッセイ。

近過去のことって、ほんとうにまったく忘れているものですね。スマホもフェイスブックもなかった時代が、ほんの5、6年前のことだとは。「ラブ注入」とか「ハニカミ王子」とか「ゲゲゲの女房」とか、記憶のどこへ行ってしまったのでしょう。

こういうことがあったことと、それをあっさりと忘れてしまう自分たちの愚かさというのを忘れてはいけない。なんて思いながらやはり忘れてしまうんだろうな…。ということまで菊地さんは予見して、書いている。その時々のご自分の感覚に正直で、それゆえに今読んでもみずみずしい。あとがきとして書き下ろされたSNS論も、的確なところをついてます。SNS垂れ流し中毒になっているすべての人に読ませたい。

とりわけ「過共有」によって、かえって極端な自閉に走りたくなる欲求が増すという指摘。

「市民がする最も崇高な『表現』というのは、他人様に見られぬように行う労働や家庭の維持が第一」

SNSでの「自己表現」により会社をクビになったり家庭崩壊させたりした人の顔が思い浮かんだりして。

同じ時期に、4年間、「フラウ」で隣どうしで連載していました(「ドルチェを待ちながら」)。おそらくそのよしみで、出版社さまよりご恵贈いただきました。ありがとうございました。

 

 

 

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