Posted an article on Japan in depth.  It’s about fashionable cultural appropriation.

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Japan in depth に久々に書きました。ボストン美術館キモノウェンズデーに端を発した、ファッションにおける文化の盗用について。Yahoo!ニュースにもなっています。

デリケートな問題なので、書かないほうが、無難な感じはしました。日本で大きく報道されなかったのも、やはり政治的な配慮が働いたからだと思います。でもやはり海外においては今年の後半、熱く議論された問題でしたので、ファッション史家の視点から、できるだけ客観的な立場から書いてみました。いかなる人種偏見も私にはありません。本当の火種は人種間闘争にあるのであって、文化の盗用云々は論点がずらされているだけという印象も実はあるのですが、その問題には踏み込みたくありません。

この問題は根が深く、きちんと議論しようとすれば、サイードの「オリエンタリズム」にまでさかのぼる必要があります。でもアカデミシャンではないかぎり、サイードだれ?の世界(^-^;  できるだけ、敷居を低くして書いたつもりです。

ひとたび世界に出れば、さまざまな禍根をかかえた人々がいて、こちらが予想もしない憎悪やトラブルをふっかけられることがあります。だからといって行動せず沈黙したままでいるのであれば何のために生きているのかわからないし、何の発展ももたらしません。そんな現実もあるのだということを、頭の片隅にとどめおきながら、より平和に共存できる未来へのことばと行動を選択できる勇気を持ちたいと思います。God bless us all.

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This photo is nothing to do with the post above.
One of the superb dishes we had last week at the ristorante “i Luci” at Shiroganedai.  I was invited to meet the tailoring and selling staff of  a famous company. Had a fruitful and impressive conversation thanks to the sensitive and gorgeous dishes, created by the chef, Mr. Masahiro Takeda.  In the world of eating, we are enjoying many fruits of  “cultural appropriation”.  Italian, inspired by the Japanese “Sashimi”. How extravagant.11.25.1Thank you all, who presented me such a fantastic time at “i Luci”.

 

 

Japan In-depthに掲載された記事のバックアップです。

投稿日:2015/11/29

[中野香織]【ファッションにおける「盗用」「誤用」の効用】~ボストン美術館「キモノ・ウェンズデー中止事件」~

 

今年の夏から秋にかけて、海外のファッションニュースに頻出したキーワードの一つが、「文化の盗用(cultural appropriation)」でした。発端は、7月のニューヨークで起きたボストン美術館の「キモノ・ウェンズデー中止事件」です。ボストン美術館は、「東方を見る:西洋のアーチストと日本の魅力」展をおこない、キモノ・ウェンズデーというイベントを企画していました。

1876年にクロード・モネが描いた「ラ・ジャポネーズ」という名画がありますね。モネが自分の妻に赤い打掛を着せて見返り美人のポーズをとらせている有名な絵です。来場者は、モネの絵に描かれたような豪華な打掛を着て、絵の前で写真を撮ることができることになっていました。NHKも打掛を用意するという形で協力していました。

SNS時代らしい「着て、撮って、アップ」したくなるイベントです。ところが予期せぬ出来事が起きたのです。アジア系アメリカ人の若い抗議団体がプラカードをもってキモノ・ウェンズデーにやってきました。「アジア人を侮辱する、文化の盗用」などと書かれていました。同時に、抗議団体はソーシャルメディアを駆使して、美術館に対する激しい批判を続けました。要は、「白人至上主義的な上からの目線で、アジアの文化を表層だけ都合よく盗用するな」という抗議でした。

7月7日、美術館はキモノ・ウェンズデーのイベントを中止しました。BBCとニューヨーク・タイムズがこの経過を報じると、こんどはイベント中止に反対する抗議が起きました。

カウンター・プロテスター(抗議団体に反対する人)たちの議論は、わかりやすく言えば、次のようなものです。抗議団体のなかに日本人はいない。抗議者たちは、アメリカにおけるアジア人のアイデンティティを主張したいがために、このイベントに便乗して乗り込んだだけだ。キモノ・ウェンズデーは、日本とアメリカが協働しておこなった文化交流のイベントであり、それに対して「白人至上主義目線から見たアジア人蔑視」という議論をふりかざすのは、筋違いである、と。

あおりを食ったのは、日本のキモノ関連産業です。社会問題に意識の高い、善良なアメリカ人のなかには、キモノに魅力を感じても、着ればひょっとしたら「文化の盗用」としてバッシングを受けることになるのではないかとおびえ、着ることを控える人が出てきました。ユニクロが世界的にカジュアルキモノや浴衣を展開しているタイミングで、です。

ハロウィーン前にはさらに議論が過熱しました。「ゲイシャ」の仮装をすることが「文化の盗用」になるのかどうかと心配するアメリカ人の声が高まり、私にまで問い合わせがくる始末。もちろん「どんどん着てください」と答えましたが。

百歩譲って、キモノをその本来の着方を無視して都合のよいように着ることが「文化の盗用」にあたるのだとしたら、19世紀にヨーロッパへ渡った武家の小袖こそ、いいように「盗用」された顕著な例といえるでしょう。なんといっても、小袖がヨーロッパでは部屋着として着られたのですから。当時のヨーロッパの女性服は、コルセット着用を前提としたもので、小袖は、コルセットをはずした私室でリラックスウエアとして着られていました。今でも英語の辞書でkimonoをひくとroomwear (室内着)とかdresssing gown(化粧用ガウン)なんていう意味が出てきます。まったく誤用されていたわけですね。

ところが、ほかならぬそのキモノにヒントを得て、20世紀初頭のデザイナー、ポール・ポワレが、コルセット不要のドレスを創ります。それ以降、西洋では数百年間続いたコルセットの慣習は廃れ、西洋モードが花開いていきます。

文化がその本来の文脈から切り離されて「盗用」され、時には誤解されながら、予想外の新しい創造が生まれ、その成果がまた元の文化に還ってくる。そうしたダイナミックなやりとりのなかでファッション文化は発展してきました。

とはいえ、それは様々な文化を「上」「下」の意識なく、鷹揚に受け入れてきた日本人の「正論」なのかもしれません。差別や迫害を受けてきたという負の記憶が消えない人たちにとっては、「優位」に立つ側が、「下位」にある文化の表層のいいとこどりをするのは、「盗用」に相当する。私たちにはピンと来なくても、そのような感覚がいまだに世界には根強くはびこるのだという現実も、頭の片隅に留めておいたほうがよいのかもしれません。

殺伐としたニュースが続く闇の中、かすかな一筋の希望の光のように見えているのが、イスラム圏におけるムスリマ・ロリータのひそかな流行です。イスラム教徒の女性たちによる、日本のロリータファッションの「盗用」です。パステルカラー、フリルを多用したヒジャブ姿の女性たちのなんと「カワイイ」ことか。

私の眼には、日本のロリータファッションに対する彼女たちからのラブコールにしか見えません。「上」「下」の意識なく、過去への禍根なく、素敵と感じたものを軽やかに「盗用」しあう感性が、なんとか世界を平和に変えていけないものかと、祈るように、思います。

Ultimate luxury magazine, ‘Richesse’ (2015 Winter, No.14) is released today.

(click to amazon)

I wrote an article about Mrs. Cherie Blair, whom I had interviewed at the end of August.richesse 14
Also wrote about the art events, which are recently called “another fashion week”. In my serial column “World Social Calendar”. I wish I could sneak into the party scenes of the Art Basel Miami Beach, which will be held in coming December.

And I’ m honored to appear in the front page of “contributors”.

Thank you so much, Ms. Sogo, editor-in-chief, who offered me this rare and precious opportunity, and Mr. Nonaka,  an excellent editor,  who always realizes my article into these beautiful pages.

 

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リシェス 2015 Winter No.14 本日発売です。
先日、シェリー・ブレア氏にインタビューした内容をもとに記事を書きました。
Cherie Blair Foundation for Women​のことを日本でももっと多くの方々に知ってほしいです。

連載「世界のソーシャル・カレンダー」では、「もうひとつのファッションウィーク」とまで呼ばれるまでになった、アートイベントをテーマにしました。12月のアートバーゼル・マイアミビーチに潜入したいものです…

現代アートの世界に関しては、『巨大化する現代アートビジネス』がたいへん参考になりました。読後の紹介記事です。 

コントリビューターのページにもちらっと出ています。
ブレア夫人にインタビューするというまたとない貴重な機会を与えてくださった十河編集長と、いつもながら美しいビジュアルページに仕上げてくださった編集担当の野中さんに心より感謝申し上げます。

I was invited by Prof. Shinji Koiwa and gave a lecture for the Koiwa Seminar at Hitotsubashi University. 11.24.4It’s about the Great Composers seen from the history of western fashion.
Discussed about the portraits of great composers, such as Liszt, Beethoven, Bach, Brahms, Mahler, Wagner, Chopin, Clara & Robert Schuman, etc., from the perspective of fashion history. 11.24.3It was first time for me to tackle this theme, and poured a lot of time and energy into the preparation.  But I was rewarded more than that. Inspired so much from the questions and discussions made by the musical professionals after the lecture.

Campus of University looks so academic, stately and beautiful, colored with yellow and green. Reminded me of Komaba days… I love this atmosphere. 11.24.2 A wonderful day. A day to remember forever. Thank you all, who shared the precious time.11.24.5

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一橋大学大学院 言語社会研究科の小岩信治先生にお招きいただき、研究科の先生や大学院生の方々を対象に、「ファッション史から見る音楽史」について講演しました。

はじめてのテーマで準備に手間取りましたが、これまで作曲家の肖像をそのような視点から眺めた人はいなかったということで(小岩先生のアイディアです)、喜んでいただけたようです(I hope)。私自身も、リサーチを通してすべてが新しい発見で、逆にこのテーマをもっと深めたいと思うようになっています。レクチャー後にもたくさんのご質問やご意見をいただき、それを今あらためて調べているところです。

終了後は国立の老舗店で、ワインを飲みながら歓談しました。専門分野は異なれどヨーロッパ文化に精通するプロフェッショナルな方々ばかりで、ハイコンテクストな会話を楽しませていただきました。

黄色に輝くイチョウ並木とコントラストをなす、壮麗でアカデミックな建物。ギンナンの匂い。駒場時代を思い出しました。この雰囲気、心の底から落ち着きます。忘れがたい一日になりました。小岩先生、言語社会研究科のみなさま、ありがとうございました。またお目にかかれる機会を楽しみにしています。

An inspiring book by Prof. Ayumu Yasutomi. “Who I really am”.

I, as a fashion historian, share the idea written in this book:  Beauty is a gold mine of your own, which could be found only by digging yourself.

This is exactly what I am talking in the lecture of Fashion Studies.  Fashion is not about decorating you, nor shaping you into the trendy stereotype .  It is about  liberating you. Giving you confidence to become who you really are. That is why I believe Fashion Studies can be one of the last fort for the Humanities.

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女性装で活躍している男性(ゲイではない)、東大教授の安冨歩さんの『ありのままの私』(ぴあ)。

美しさの追求には勇気が必要だったが、それが安冨先生の精神にはてしない安らぎを与えていったという、体験から生まれた話に非常に説得力がある。

「『自分は、美しさなどとは無縁だ』と思いこんでいた男装時代、そのことが、私を深く傷つけてきたことに気づきました。それは、女性装するかどうかは、関係ありません。男性として生まれたら『美』とは関係ないよ、ということそれ自体が、男に対するひどい暴力なのです」

「美しさは、作るものではありません。掘り出すものです。自分自身という金鉱を探し出して掘り当てる。そうすると人は美しくなるのではないでしょうか」

「自分自身がある、そのあり方のままに生きることが、人間に与えられた唯一の使命だと信じています。そのような生き方は、さまざまの外部の力とぶつかりますが、それを恐れずに勇気をもって生きるべきであり、その試練から学び、成長することが、人間にとって最高の倫理だと思っています」

日本はもともとトランスジェンダーには寛容で、両性を具有し、越境できる異能の人は、神と人との仲介者扱いされていたという指摘も興味深い。日本語の「性同一性障害」って、あきらかに間違ってることばですよね。Gender Identity Disorderを訳したものだそうですが、「障害」じゃないの。トランスジェンダーなの。レアTを見よ。アンドレイ・ベシックを見よ。唯一無二の、かっこいい存在なの。

 

この本を読みたいと思ったきっかけは、次のインタビュー記事でした。
東大教授、安冨歩さんのインタビュー記事より。

「他人から道でジロジロ見られることは、今でも多いですよ。もしも理論的に何も考えられなかったら、怖かったかもしれません。でも、親しい友人知人はもちろん、初対面であっても、まともな人なら、女性の装いをしているからといって、私をジロジロ見るような失礼はしないんです。

たとえば、黒人を差別的な眼差しでジロジロ見る白人がいたら、問題は黒人じゃなくてその白人の中にあるんですよ。自分とは違う奇妙な人間を露骨に見たりする人は、その人自身が問題を抱えているということを露呈しているにすぎないんです。

つまり、白い目はそれを向ける人自身の中に問題がある。そのことを思想的に理解していたので、視線の暴力に怯えるようなことはありませんでした。むしろ、そのような視線を実際に体験できたことは、私の思想に大きな影響を与えてくれました」

「それよりも考えなければならないことは、フランツ・ファノンという思想家が指摘したことですが、差別される人々が、自ら帯びかねない暴力性です。なぜならこのような白い目にさらされて、それを自分が原因だからだ、と思っていると、深く傷つきます。そして残念なことに人間の本性として、自分のせいで傷ついたと思い込んでいる人は、その傷から発生する暴力を、我が身に帯びてしまうのです。その暴力は無意識のうちに発動し、自分に向かえば自傷してしまい、他人に向かえば、他の人を差別したり、暴力を振るったりしてしまいかねないのです」

だから各人が自分を解放し、ありのままを生きること、他人がそれを寛容に受け入れることは、暴力のない社会を作ることにもつながるんですよね。ひいては万人の幸福としてかえってくる。「自分を掘り出すことで形づくる=ファッション」は、そのあり方を、導くことができる。

女性装といってもさまざまで、たとえば20年前からこのような格好で活動しているお福さん。サロン・ド・シマジではじめてお会いしたのがきっかけでしたが、先日、変身前の長谷川高士さんとしてお食事をご一緒して、お話をうかがい、多くの気づきを得られました。人生のどん底にあったときにお福が「降臨」し、美しいお福になりきることで、長谷川さんの人生が好転していったという。もうダメだということきに、違う自分になることで元気になり、救われる。トランスジェンダーを意識的におこなってみることは、無意識のうちに人を縛る偏見から自分を自由に解放する第一歩でもあるのかもしれません。ofuku

 

Presentation of the new fragrance of “Les Parfums de Rosine”, at Ritz Carlton Tokyo.

Madame Rogeon herself made a persuasive speech for the “Rose D’Amour”, which is coming on 17th Feb. 2016.11.20.2

The impression of the “Rose of Love”  is so sweet, fruity, joyful and a little painful. Like Love.11.20.3With Madame Rogeon.  She always shines elegantly as roses…

We had a talk about the untold merits of perfume.  For example, perfume lovers do not catch cold. Perfume cures the mood of depression.  It’s true.11.20.4

Beautiful illumination of Midtown Tokyo.  Love this season.  Thank God for giving us these wonderful and mysterious world of fragrance, without which I cannot live through the pain and burden of real life.

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パルファン・ド・ロジーヌから来年2月17日、新作「ローズ・ダムール」が発売されます。愛を象徴する薔薇をテーマにした香りで、調香師はデルフィーヌ・ルポ。優しく、歓びに満ちて、少し切ない香りです。

マリー=エレーヌ・ロジョンさん、発売元フォルテ社長の吉岡さんたちと、香水の知られざる効用について話をしました。香水に携わっている人は風邪をひかない。香水は鬱病、ないし、陰鬱な気分を治癒してくれる。などなど。これは、ほぼ真実です。

スペシャリスト地引由美さんのブログに、ロジーヌというブランドと、この新作に関するより詳しい解説があります。私がpainful と直感した印象の源は、どうやらダヴァナだったようです。キク科ヨモギ属。少しの苦味が、大人のアムールを表現しております。

明治大学リバティーアカデミー<1111>ボンド講座には大勢の素敵なお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。1111.kawai

(photo from the administrative office of Liberty Academy.  Thank You.)

決してミッションをはずさないのに必ずヒネリを加えてくる田窪氏は、まさかの、余裕のタキシード着崩しで登壇。日頃の闘いぶりの厚みを時折感じさせながら、だいじなこともあくまでさりげなく語り去る。伏線のようにちりばめたキーワードや印象を最後にさらっと回収して大団円にまとめあげる。「ダブルスタンダードの壁は厚いが、ロジックとプライドをもち、自分ルールを貫いてやんちゃに正面突破すれば新しい視界が開ける」 という力強いメッセージとともに。やはりボンドみたいな。笑1111.bondlecture revised 2

田窪氏のこのディナージャケット(アメリカ語ではタキシード)は、ギヴズ&ホークスでのビスポークです。
・ポケットに軍服仕様のひし形フラップがついている(室内で着るフォーマルには、雨ふたであるフラップはつけないのが原則)
・後ろはダブルベンツ
(ベンツはスポーティーなアレンジなので、フォーマルはベントなしが原則)
・トムフォード風のコンケーヴショルダーにウエストをぐっとしぼったエレガントなライン
つまり、「英国紳士のフォーマルの掟」を破るミリタリー+フォーマルだったのです。これは仕事の戦闘服+エレンガントなフォーマルという田窪スタイルのダブルスタンダードな表現であり、そのうえ、タイをほどいたまま登壇というやんちゃぶり。この日のお話の内容をそのまま体現するスタイルでした。

ちなみにディテールをめざとく指摘したのは、社長アテンドについてくださったハケットロンドンの大西さん。田窪さんご自身はまったく服についての解説はせず、大勢の人からは「気付かれない(Unnoticed)」まま。ハケット氏がいう、ジェントルマンの条件ですね。
にくらしいくらいかっこよすぎです。笑。1111. bondlecture 1

内田栄治さん撮影ありがとうございました。お忙しいなかお運びくださいましたみなさま、重ねてありがとうございました。事務局の方々にも心より感謝します。

The invisible wall of the gentlemen’s society is so high, but if you go through it adventurously with your own rule, you will see the brave new world.

<追記>
フェイスブックには、ご参加くださいましたお客様よりたくさんのあたたかなコメントをいただきました。転載の許可を得たコメントを以下にいくつかご紹介させてください。前例のない(おそらくどこの大学でも、ないであろう)講座でしたので、皆様からのあたたかいお声が、今回はとりわけ、励みになりました。ありがとうございました!

田窪ボンドがヴェスパー中野をエスコートするオープニングから、ワクワクしました! 007プレミアでのキャサリン妃、ダニエル・クレイグとのドライブ(!)など、貴重なお写真も楽しめました。そして生の田窪様からは、本を拝読しただけではわからなかったオーラを感じました。J.ボンドとR.ブランソンというロールモデルがあったにせよ、幾度も失敗を重ねながら自分らしさを追求していった結果が現在の田窪スタイルなのですね。英国のビジネスはプライドとロジック。自分の意見をしっかり持ち正面突破でガンガン進め、というビジネスのお話も興味深かったです。ダブルスタンダードの英国ジェントルマン社会に受け入れられるには「自分らしくあれ」ということでしょうか。そして中野様によるボンド映画の粋な大人の会話・・すべてが楽しく、かつ奥が深い! 素敵な講座をありがとうございました。(まりさん)

☆007ジェームズ・ボンドを通じての英国高級ブランドの裏側についてお話しくださり、相当楽しかった。イギリスについては知っていることも多々あるけど、知らないこと知られざる世界の方がはるかに多い。実際に英国ブランドのビジネスに携わっている田窪氏のお話は生々しくも興味深く、そしてコーディネーターの中野氏が英国人男性社会の暗黙のルールをさりげなく解説してくださって、これもまた知らない扉を開けてもらった感じ。
日本人にイギリス人のあのしたたかさが少しでもあれば、外交面も交渉面も違っていたはず、と頷きながら聞いていた。考えたら、あの中国もアラブ世界もイギリス人に翻弄されたんだった。(R.K.さん)

☆着崩したタキシードがジェームズ・ボンドのようにラグジュアリーのなかにやんちゃさを思わせるBLBGの田窪さん。そして誰もが憧れるボンドガールのようにセクシーな装いで登場した中野先生。オトナな空気感に包まれての講座でした。『ダブルスタンダード』こそ、まさにヨーロッパ文化の深さと誇りだと思いました。閉ざされているから、知りたい!入りたい!
おふたりから発せられる言葉が、いちいち豊かな表現を纏っていて、それでいてわかりやすく、ユーモアがあって…学びの多い、とっても有意義な時間でした。…そして意図せず、自分の生き方について、背中を押されたような、心が軽くなる、そんな講座でした。(Akiho Takakoさん)

☆大変大変楽しい、知的好奇心をくすぐるひとときありがとうございました!!!
ボンドとボンドガールのおふたりの装いとトークにうっとりでした。閉演がお名残りおしかったです。ぜひぜひ第二回も開催してくださいませ。(Y.F.さん)

☆ボンドのスピリットも英国の流儀ですね。ダンディズムの系譜にあるのだと感じました。仕事で「ケンカ上等、正面突破」に活かしている田窪さんの余裕が魅力的でした。
原作のけしからん内容を、大衆が支持したあたりにイギリス人の面白さを感じます。映画の台詞もいつか使ってみたいです!架空の人物が映画だけでなく経済効果を生み、男の理想にもなっているなんて リアルなロマンを感じました。
素敵なドレス姿にタキシード、大学の教室とは思えないゴージャスな授業でした。
個人的には、中野さんのショールケープを田窪さんが外すときに、 「はじめようか?」 「本当のことを話してね…」なんてセクシーな会話が聞きたかった!と妄想しました。ありがとうございました!(中井信之さん)

 中井さん、演技が中途半端だったことを反省しています。笑。ほかにもたくさんの好意的なご感想を頂戴して、感涙中です。もちろんご不満の声もあると思います。できるだけ多く方のお声に耳を傾け、次に活かしたく存じます。あらためて、ありがとうございました。
1111.students revised(Photo from my student of Meiji, who also attended this lecture.  Thank you!)

 

 

 

4日、伊勢丹メンズ館チャーリー ヴァイスのサロンにて、BLBG社長、田窪寿保さんのゲストとして、ジェレミー ハケットさんとともにトークショウをおこないました。
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タイトルが ”Be an English Gentleman!”. 自分以外のだれかになりたがることじたい、紳士ではないだろうというツッコミで打ち合わせの時から盛り上がっていたのですが。

田窪さんとお仕事をご一緒すると、イギリス紳士にかこつけてなにげに皮肉や意地悪を優雅に?言いたい放題できることがなんとも痛快なのですよね。「リシェス」のジェントルマン特集でも炸裂していましたが。不快を与えないぎりぎりの感覚を保って笑いに換えるセンスが似ている(というのもおこがましいのですが)のかもしれません。田窪さんの場合はビジネスの現場での百戦錬磨に支えられたセンスで、もうレベルが違いますが。

紳士論を語るふりして、そこはかとなく意地悪を言える。また、あとになってわかるような意地悪をされる。笑。たとえば「ダウントンアビー」のヴァイオレットおばあさまの言葉を連想してください。その快感あって私はこのテーマを追い続けていられるのかも(^-^; フィールグッドのわかりやすいハウツー的啓発や、スピリチュアル&ヤンキーの入った”魂”なんぞが議論に入りこんできづらいのも心地よい。いや、そういう大衆迎合的な要素を巧みに排除することでブランドを保ってきたものこそ、「ジェントルマン」という、排他的なシステム。

それをさらに自覚しているだろうとさりげなく思わせながら、どこまでも好印象しか与えない田窪さんの話芸が上手すぎてコワイ。笑

ジェレミーも鋭い。一言で人の本質をいいあてる。二次会では、「ジャパニーズ・ダンディ」の写真集を見て盛り上がっていたのですが、ある男性を見て「ジュディ・デンチ」とか「ページ3ガール」とか。あくまでエレガントににこやかに。たまりません。(イギリス的なブラックコメントに一同、大笑いしましたが、そこには愛があるので、貶めない。品がいいのです。写真集そのものには好意的でいらっしゃいました。)

ショートノーティスにも関わらず、立ち見のお客様まで大勢いらっしゃいまして、大盛況でした。エクスクルーシブなサロン独特の雰囲気で、お洒落なお客様の熱気がよい刺激になりました。スタッフのみなさま、お運びくださいましたお客様、田窪さん、ジェレミーさん、ありがとうございました。

アレンジしてくださいましたハケットロンドンの大西慎哉さん、撮影の内田栄治さんにも感謝します。

二次会は、ル・パラン。シガーのもくもくぶりに、イギリス人のお二人は「Opium Den(アヘン窟)」のようだと形容してましたが。11.4.1

左から、ル・パランのマスターバーテンダーの本多啓彰さん、ハケットさんの親しいお友達でもある綿谷寛画伯、中野、「ミスター・クラシック」ことジェレミー・ハケットさん、やはりこの日「キャンぺーン・フォー・ウール」のために来日した服地会社Fox brothers社長のダグラス・コルドーさん、ハケットロンドンの大西さん。

この日の洋服はジュン・アシダです。艶のある型押し素材で、左前スリット、左胸ファスナーというセクシーな意匠を凝らしながら、品の良さをきちんと保っているデザインです。着心地も最高で、何よりも着るとマインドからがらっと変わります。さすがエレガンスの巨匠!

どさくさにまぎれて宣伝させてください。田窪さんの「英国流ビジネス」をテーマにしたレクチャーが来週水曜日、明治大学中野キャンパスで行われます。まだ間に合いますので、ぜひ、リバティアカデミーHPよりお申込みの上、ご参加くださいませ。私も僭越ながら登壇し、漫才よろしくときどき控えめに合いの手を入れさせていただきます。お目にかかれますことを楽しみにしています。

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3日文化の日に行われた、日仏フレグランス文化財団主催「ル・パルファム」発売記念イベント。

この大著はほんとうにすばらしい。前にも書いたかもしれませんが、見開きで一年分。右側にその年の香水のボトルの写真があり、左側にその年のニュースやファッション、スタイルアイコンとなる女性の紹介があります。それが100年分。届いてすぐに読みたかったので持ち歩き、満員電車のなかで広げていました。笑。監修の地引由美さんに「持ち歩きは想定していなかった」と笑われつつも。わたしにとってはけっこうど真ん中の、ワクワクする本です。このような学術成果をゴージャスな形で世に出してくださった地引さんと、フレグランスジャーナル社さまに心より感謝申し上げます。le parfum

イベントでは私も僭越ながら登壇し、「ファッションと香水の蜜月の100年」と題して講演させていただきました。伝説となって売れ続け、語り継がれる香水には共通点があると思っています。各時代を象徴する香水をとりあげ、その時代背景との関わりの中でどう受け取られたかという話をしてまいりました。2015-11-03 15_31_23
日頃愛する香水についてより深く考えることができた充実した文化の日となりました。日仏フレグランス文化財団さまとご来場のみなさま、ありがとうございました。2015-11-03 15_30_28