中田英寿さんが運営する「ジャパンクラフトサケカンパニー」による、日本酒×レストランのコラボレーション企画、「THE INNOVATORS : 澤屋まつもと+Tirpse」に参加させていただきました。 白金台のレストラン、Tirpseにて。

今回のコラボレーションのテーマは「Spirit/スピリット」。Tirpseオーナーソムリエの大橋直誉氏と、澤屋まつもと10代目杜氏の松本日出彦氏が、日本酒と料理のフードペアリングを実現しました。ちなみに、Tirpseという店名は、Spiritを反対から読んだものだそう。

フランス料理を日本酒でいただくのは初めての経験でしたが、むしろフレンチスタイルの日本食といった味わいのお料理で、美しいお皿の数々に目をみはるともに、新しい食の経験に感動の連続でした。

ハイエンドの日本酒を世界にプロデュースしていく中田さんの戦略はユニークで、しかも話は終始、クールで論理的。海外から日本に訪れるお客様は、ホテルのレストランやガイドブックに出ている三ツ星レストランで食事をする。そのような場面でこそ、日本酒を提供し、その魅力を本国へ持ち帰ってもらうのだ、という。

20年前は「鮨屋でワイン?何言ってんだよ」という感じだったのが、今は鮨屋でシャンパンやワインもごくあたりまえに飲める。同じように、フレンチやイタリアンのメニューに、ごく自然に日本酒を組み込んでいくことが普通になる、そんな時代を創る、と中田さんは語るのだ。そのための近道が、ホテルや三ツ星レストラン、と見抜いていらっしゃるのですね。

サッカーにもたとえながら、ビジネスで勝つには、いかに最適な場所に最適な人を配置して巻き込んでいくかというプラットフォームを作ることが大切、と中田さんは語る。「ひとりのプレイヤーの能力には限界があるけれど、プラットフォームには限界がない」というひとことは思わずその場でメモ(笑)。「正解がないからこそ広がる」という名言も。

ほかにも「金銭を介在させない21世紀的な物々交換」のメリットとヒントを教えていただいたり、すべての面において教育されているホテルマンをどのように活かして(という言い方が失礼だったらごめんなさい)いらしたかをうかがったりと、学びの多い濃い時間となりました。

 

トップ写真は同じテーブルでご一緒した方々です。左からアーティスト・リレーションズのアンジェラ・レイノルズさん、中野、中田英寿さん。中田さんの正面はジュン・アシダ社長の山東英樹さん、お隣がバロン・フィリップ・ド・ロスチルドのアジアパシフィック代表取締役アントニー・グルメルさん、そして一番右手前がパークハイアット東京の総支配人エルヴェ・マゼラさん。写真では明瞭にはわからないのですが、中田さんのスーツはトム・フォードで(007と同じですね)、スキンケアもお好きとのことでグルーミングもいき届き、話しぶりばかりかルックスも超クール、ゲストのみなさまをすっかり魅了していらっしゃいました。貴重な機会に立ちあえたことを心より感謝します。

 

25ans 9月号 発売です。

特集「エリザベス女王、90年の麗しき日々」において、巻頭言「エリザベス女王が敬愛される理由」を語っております。

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この特集は、イギリスファン、クイニー(Queeny)ファンにとっては、必携の永久保存版です。8ページにわたり、美しい写真を中心に、エリザベス女王の90年の軌跡がまとめられています。ぜひ、ご覧くださいませ。

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J Wave 葉加瀬太郎さんの番組ANA World Air Current にゲストとしてお招きいただきました。

テーマは、ロンドン、スーツ、ジェントルマン。ロンドンSW地区に住んで10年になるというスーツ好きの葉加瀬さんならではのエピソードを聞くことができて、楽しい対談になりました。とりわけ実際に参加されたというロイヤルアスコット、間近でご覧になったエリザベス女王のエピソードはは面白かったです。

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この日は収録だけで、放送は秋になるとのことです。

美容室Zele networkのスーパースタイリスト講座。今年も招聘講師をつとめさせていただきました。「美」を表現する多様なことばやトレンドワードの解説から、20世紀ファッション史まで、250分盛りだくさんで。学ぶ意欲の高い方々で、とても楽しく時間があっという間に感じられました。

ヘアメイク+服+時代背景をトータルで考えてイマジネーションを羽ばたかせ、独自の提案をおこなえる美容師さんがもっともっと増えることを祈りつつ。(そういう自分は仕事で時間がないことを理由に3か月もカットせず伸び放題……(^-^;))

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ヴィダル・サスーンのドキュメンタリーDVDは、美容師を目指す人は必見、そうでない人にとっても、キャリアを考えるうえで刺激に満ちた作品です。60年代ロンドンの雰囲気もよくわかる。お勧めです。

本日付の読売新聞(全国版)夕刊2面に、『紳士の名品50』が大きく掲載されました。

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今回の撮影にご協力くださったのは、ヴァルカナイズロンドン南青山店です。

ありがとうございました。

 

 

行方昭夫先生著『英文翻訳術』(DHC)。

モームの「大佐の奥方」(The Colonel’s Lady)を翻訳する過程を、試訳から翻訳にいたるまで、一文一文丁寧に解説していく。英文読解の勉強になるのはもちろんのこと、日本語の奥深さを学ぶことにもつながり、さらに、モーム特有のアイロニーや苦いユーモアを解釈するための「文学」の勉強にもなる。日本人が誤訳しがちな英文や、翻訳しづらい英語特有の言い回しをピックアップした「暗記用例文集」もついている。

翻訳された作品だけ読みたいという性急な方には、その「完成版」を通読できるというおまけもあり、さらにそれをどのように読むかという丁寧な解説もつく。

あらゆる方向から学べる、盛りだくさんな一冊。

ちなみに「大佐の奥方」は、20世紀初頭の「ジェントルマン」の一典型でもある人物像も描かれており、苦味の効いた感慨がじわっとあとをひく快作です。

女の魅力には欠ける地味な中年女とばかり思いこんでいた自分の妻が、はじめて書いた詩集がベストセラーとなり、社交界の話題となる。その内容はと言えば、妻とおぼしき女性と若い青年のエロティックで哀しく美しい愛の物語であった……。文学に縁遠く、プライドの高い「ジェントルマン」である大佐のとった行動とその心情の描かれ方が鋭くていじわる。最後の一行までパンチが効いてにやりと笑える。

何度も書いてきてますが、大学時代に行方先生に徹底的に英文の読み方と辞書のひき方を鍛えられたおかげで、今がある。字面ではなく、文脈をとらえろという考え方は、英文解釈を超えてあらゆる文脈の「読み方」の基本になっている。感謝してもしきれないほど。

 

暗記用例文から。こういう英語の言い回しはやはり、覚えてしまうのがいちばんですね。

She is all that a wife should be.(彼女は妻として完璧だ)

What he is is not what he appears to be.  (彼の実体は外見と違う)

Not a few people read from habit. (癖になっているので読書する人も結構いる)

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matohu表参道本店5周年記念&立原位貫(いぬき)さんの展覧会レセプションにお招きいただきました。

 

版画家の立原位貫さんの存在を初めて知ったが、江戸時代の浮世絵を、紙、染料、道具まで忠実に再現し、彫りから摺りまでひとりでこなす仕事をなさってきた方。

現存する浮世絵は、経年変化しており、オリジナルな色とは違うそうである。というのも、天然染料だから。これも知らなかった事実。立原さんは、当時のままの染料を使って鮮烈に現代に再現させた。鮮やかながら、自然のぬくもりが伝わってくるような作品。

日本の美意識を愛し、自然体で生きた孤高の芸術家、立原さんの作品にも仕事ぶりにも、「まとふ」のブランドコンセプトと相通じるものを感じました。「まとふ」とのコラボ作品も展示されています。31日まで。ぜひ、表参道店でご覧ください。

 

トップ写真は店舗の前での記念写真。左からファッションジャーナリストの宮田理江さん、「まとふ」デザイナーの関口真希子さん、堀畑裕之さん。表参道本店5周年、おめでとうございます。10周年に向けて、さらなるご躍進を!

<Information>
■「立原位貫 ―木版画で日本の美に触れる」
会期:2016年7月23日〜31日
時間:11:00-20:00
場所:matohu表参道本店
住所:東京都渋谷区神宮前5-9-25

Van Cleef & Arpelsの新作発表会にお招きいただきました。

メインは「ペルレ」コレクションの新作。「ペルレ」は2008年に登場したコレクションで、職人さんの手仕事によるゴールドのビーズが特徴。

 

ゴールドビーズの歴史そのものは1920年代までさかのぼる。きっかけになったのは、1922年にエジプトのツタンカーメン王の墓が発見されたこと。エジプト風のジュエリーが流行し、金属の粒を連ねた細い糸が、ジュエリーのモチーフを引き立てるために多用されたとのことです。

書棚に並ぶのは、膨大な量の本……と見えて、これは顧客からの注文リストです。このブランドの歴史の重みを物語ります。

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試着させていただきました。ブレスレットは、ペルレ ゴールドパールブレスレットと、ペルレ クローバーブレスレット。幅のあるクローバーブレスレットは、細かいゴールドのビーズでぎっしりと縁どられています。指輪はペルレ クルール アントレ レ ドア リング。緑の石はマラカイト、白く見えるのはダイヤモンドがぎっしりセットされたゴールドです。「アントレ」、すなわち指と指の間に石が見えるような珍しいデザインです。ほかに赤いカーネリアン、ブルーのターコイズをセットしたバージョンがあります。

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“These gems have life in them:  their colors speak, say what words fail of.”  By George Eliot
(「宝石には命が宿る。ことばにならないことを語りかける」 ジョージ・エリオット)

 

 

コンゴ共和国よりサプールが来日。20日、伊勢丹メンズ館カフェ・リジーグでのパーティーにお招きいただきました。FullSizeRender (105)

それぞれに個性的な踊りとウォーキングで登場し、ポーズを決める。スタイリッシュにスーツを着ていることが楽しくてしかたがない!というノリノリの喜びが伝わってきて、無条件に笑顔になれる。

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上の写真、挨拶するのは、コンゴ共和国大使館のボニファス・レゾナ参事官。サプールは「平和の大使」と。闘うなら武器ではなく、ファッションで!という挨拶に会場拍手。過剰ともいえるドレスアップでの「優雅な装い」の誇示は、平和を希求する強いメッセージなのですね。

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こちらはサプール歴43年という「大サプール」、セヴラン。この日は山本寛斎の大漁スーツで。

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今回のドレスコードが「原色」だったので、コンゴ共和国の国旗の色と日本の国旗の色に共通する赤を選びました。ふだんだったら白パールのネックレスですが、サプール的な色使いに敬意を表して、反対色のターコイズを合わせてみました。

今回来日したのは、24歳から60歳までの6人。サプールが日本を旅するというテーマの写真集の撮影も兼ねており、鎌倉、東京を皮切りに、これから沖縄、仙台、横浜、大阪、京都、福岡をツアーするそうです。あなたの町でも会えるかも?

WWDにも記事が紹介されています。こちらです。

 

 写真家の茶野邦雄さんによるサプール写真集。今回の「日本を旅するサプール」プロジェクトでも、茶野さんが写真を撮ります。茶野さんご本人も派手やかなサップです。

 サプールブームに火をつけることになった一冊。大サプール、セブランが着ているのは、ポール・スミスのスーツ。

 NHKのドキュメンタリーにもなりましたが、その番組の制作班による本。

本日(21日)付けの毎日新聞夕刊一面に、史上4番目の若さで新・名人となった棋士の佐藤天彦さんのインタビューが掲載されています。

インタビュー当日は同席させていただき、ファッション観や将棋観をたっぷり伺いました。たいへん頭の回転の速い方です。

紙面には、私のコメントはひとことだけさらりと書かれておりますが、将棋の闘い方と通底する彼のファッション観はていねいに論じるに値するので、また別の機会に書きたいと思います。

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インタビュー当日の記念写真。佐藤名人は、アン・ドゥムルメステールのフル装備に、靴はドルチェ&ガッバ―ナ。細部の凝った装飾が写真では完全にご紹介できないのが悔しいところですが、十字架のチェーンや靴の装飾など、雰囲気だけでもご覧くださいませ。ヘアカットも、服の雰囲気に合わせて考えられているとのこと。

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インタビュー場所、将棋会館。

 

こちらから読めます。

安い服を買っては捨てる、チャリティと称して要らない服をどこかに送る、なんてということを繰り返して平然としている人にはぜひとも観てほしい問題作。「ザ・トゥルー・コスト」

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ファストファッションが台頭してくる1997年くらいから、デザイナーに代わってクリエイティブディレクターなるものが活躍しはじめ、巨大資本によるブランド買収戦争が激化し、明らかにファッションのシステムが変わった。ファッションのシステムだけならいいけれど、それをいかに安く作り、いかに儲けるかという欲望が肥大化して、地球規模で、人類を破滅させかねない惨事が起きている。それを生々しく告発していく力作である。

世界の6人に1人がファッション産業に従事している。そんなファッション産業は、いま、石油産業に次いで地球を汚染している産業である。華やかな産業を支えるために地球各地で起きている悲劇を描く衝撃のドキュメンタリーは、ホラーかブラックなSFかと見まがう、真実の記録。編集もたくみで、ファッション産業の裏側、消費者の行動、選択肢がないので命をかけても働かざるをえない人、資本家の論理、犠牲者、偽善者を交互にテンポよく見せていき、ぐいぐいと引きこまれる。

バングラディッシュの縫製工場の崩壊は記憶に生々しいが、スウェットショップの問題だけではない。原材料の生産地にも深刻な問題が起きている。大量の綿を生み出すために遺伝子組み換えの種子を使い、大量の農薬を散布しているパンジャブ地方ではなにが起きているのか。化学染料で染色をする地方では川がどういうことになっているのか。障害をもつ子供、がん、奇形など人体への影響が顕著となり、医療費も払えない弱い立場の人々は死を待つのみ。種子や農薬の代金も払えなくなった農業従事者は農薬を飲んで自殺する…。

捨てられた、あるいは「寄付」された安価な服は、ぺぺに送られるけれど、古着屋ですら売れない大量の安い服は処分しきれないごみの山となり、化学染料が使われているので大気も土地も汚染するばかりか、もともと地元にあった縫製産業も廃れさせていき、人々から仕事を奪う… どこが「チャリティ」なのか。

カンボジアでは最低限の生活ができる賃金を求めて人々がデモをおこなうけれど、工場を誘致したい政府がそれを暴力で鎮圧し、死人が出ている… ただただ、人間としての最低限の生活をしたいというだけなのに。

先進国で、人々が気軽に買いあさり、気軽に捨てたり「寄付」したりする服は、「わたしたちの血でできています。血でできた服なんてだれにも着てほしくない」と涙とともに訴える女性。

ファストファッションだけではない。

数字だけを追いかけて、人の犠牲をかえりみないツケを払うのは、自分たちの子供世代だ。いや、このスピードを思えば、もう自分たち自身だ。地球の裏側で起きている環境破壊や惨事と、渋谷や原宿で売られるファッショングッズはすべてつながっている。

「服を着る」一人でも多くの人に観て、考えてほしい、資本家のみなさまには行動を起こすきっかけにしてほしい映画です。

 

「ビル・カニンガム&ニューヨーク」 。原稿を書くためにDVDで再見。前に見た時はまだビルが生きているときだった。もうこの人はいないのだ、こんな人はもう二度と出てこないだろう。これはやはりとても価値のあるドキュメンタリーだ。求道者のような、子供のような彼の姿に、最後は泣かされる。

詳しくは活字で書くので、おぼえておきたい彼のことばのなかからいくつか記します。

A lot of people have taste, but they are not daring enough to be creative.
(誰でもセンスはある。ただ勇気がないだけ)

Fashion is the armor to survive everyday life.
(ファッションは日々を生き抜くための鎧)

Money is the cheapest thing.  Freedom is the most expensive thing.
(金なんて安いもの。自由ほど価値のあるものはない)

It’s not work.  It’s pleasure!
(仕事じゃない。好きなことをしているだけです)

変人じゃなくて、むしろ、まっとうで正直な人なのですよね。忙しすぎて恋愛をしたことも一度もない、でも心から仕事が楽しかった、と。一週間に一度、教会へ行くのは「必要だから」「人生を導いてくれるよきガイド」。この答えを口にするまでにとても長い時間がかかっていた。表には出さない葛藤もあったであろうことがうかがわれる。胸に迫るシーン。

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本日発売の「Begin」9月号。begin
いであつしさん×綿谷寛・画伯による連載「ナウのれん」にて、先日、明治大学でおこないましたデーヴィッド・マークス氏によるアメトラ特別講義 & その後のインタビューの模様がリポートされております。

nownolenデーヴィッドの似顔絵は実物よりも本人にそっくり!

「オヤジが若いヤツに昔話をすると嫌われるけど、若いヤツがオヤジに昔話をすると喜ばれる」(笑)。たしかに。

いでさん本文に出てくるMade in U.S.A.catalog と、Take Ivy。

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講義後のインタビュー、というか、いでさんがデーヴィッドに「これ知ってるか?あれ知ってるか?」と挑み続けるの図はこちらです。いでさんの隣は編集の市川さん。

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「中野香織先生」もイラストに登場しますが、ちょっとヤな女っぽく描かれております(^-^;

機会がありましたら、ぜひ全文&全イラストをご覧くださいませ。

 

 

 

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先日、京都国立近代美術館 でおこないましたポール・スミス展トークセッションの模様を、9日付けで大阪読売新聞が記事にしてくださっていました。ありがとうございました。

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しかし、これだけ読むとなにか誤解が生じるところがあるな……。とくに英王室の話。このように字数が限られた紙面では限界があるのかもしれませんが。近日中にフォローアップの記事をどこかで書きます。

ロンドンのフレグランスメゾン、ミラー・ハリスの調香師、Mathieu Nardin マチュー・ナルダンが来日、新製品のプレゼンテーションを行いました。

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マチューはフレグランスの聖地グラースで生まれ育ち、家族がほぼ全員フレグランスに関わる仕事についており、自分も当然のように香水の仕事をすると信じてごく自然にパフューマーになったという人。13歳のときからすでにロベルテで研修を始め、31歳の現在は、ニューヨークで活躍中です。若きベテランですね。

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ミラー・ハリスは良質なボタニカルの原料を使い、ロンドンのハイストリート感を基本に、ひねりのきいたパリ風の洗練を加えて独自のニッチブランドの地位を確立しているモダンブリテンを象徴するメゾン。

イラストを描くのは日本人のボタニカルアーティスト、Mio Matstumotoさん。この日は裸足でライブペインティングのパフォーマンスをおこないました。

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マチューが手がけた2種類の新製品「ルミエール ドーレ」と「エチュイ ノワール」は、相反する要素でありながら、ふたつでひとつのセットになるというコンセプトをもちます。光と影。昼と夜。陽と陰。オレンジと革のジャケット。なるほど、それぞれ単独でも際立った特徴をもつすばらしい香りですが、ふたつ重ねると、いっそう深みが増します。実際、試すとミステリアスで、心臓の鼓動が早まります。

香りの構成要素を色で視覚化してみせるという手法もユニークでわかりやすい。納得。

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ルミエール ドーレはトップにビターオレンジ、ミドルにネロリ、ラストにオレンジのフローラルウォーターと、光り輝くオレンジのイメージ。これからの季節にぴったりで、日本人ウケもよいはずです。上級者にはエチュイ ノワールとの重ね付けをおすすめします。レザーノートに、高価なイリスがアクセントを添えています。二つ重ねると、相反する二面性をもつ神秘的な魅力を放ちます。8月24日発売です。

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調香師マチューと記念写真。

発表会後、SPURの秋の香水大特集に関し、香水の歴史について取材を受けました。香水好きな人と香水の話をしていると時間を忘れます。以下、私が愛読する匂い関連の本(本棚の一角をがっちり占めていますが)のなかから3冊ご紹介します。

こちらはもう絶版ですが、香りの記憶に関する多くの著名人によるエッセイ集。新潮社編。復刻を希望します!

 匂いに関する面白ネタが満載。一時、流行した匂いつき映画「オドラマ」をめぐる攻防の話が結構好き。
 調香師でもある名文家、鈴木隆さんの本。鈴木さんにはほかにも「匂いの身体論」ほか匂いに関する興味深い本があります。鈴木さん、また書いてくださーい!

アンチエイジングに定評のあるシスレーから10月1日に新しいファンデーションが発売されます。

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発表会に出席しました。シスレージャパン本社にて。

時間がたってもくすまず、輝きが増し続ける処方。同時に発売となるリップバーム、進化したクレヨン型リップ「フィト・リップ・ツイスト」、アイライナーとしてもアイシャドウとしても使えるアイペンシルなどを駆使し、モデルにデモンストレーション。ビフォアと、

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アフター。ビフォアも十分お美しいのですが、少しメイクアップを施すことで、人の視線を奪い取るほどの引力が生まれます。FullSizeRender (74)
アンチエイジングというのは必ずしも自然な経年変化に逆らうということではなく、変化していくその時その瞬間を最大限に生きているという生命感を表現することではないかと思っています。時間に逆行する若返りを目指す「美魔女」とそこが決定的に違います。「マイナス〇歳」という世間(だれ?)が決めたスペックを追い続けているかぎり、永遠に心の中にはかすかな不安と不満が残っていきます。

プレゼンするのは、その時の「最高」。その瞬間の連続を淡々と続けていけばいいのではないか。

「いま、ここを最高にする」というファッション学の立場に立てば、アンチエイジングもそのように考えることができます。

(などと科学用語満載の解説を聴きながらぼんやりと考えていました。笑)

実際、視線ついでに心まで奪っていくような「美しい」人って、男女を問わず、年齢のことなど考えさせません。

会場で偶然に、アナウンサーにして大学講師も務める堤信子さん、大平雅美さんとお会いしました。おふたりともそれこそ年齢など感じさせない美人。とりわけ「アナウンサー立ち」というのか、美人ポーズの決め方にプロの風格まで出ています。

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ファッションディレクターのホッシーこと干場義雅さんに、中野キャンパスにゲスト講義に来ていただきました。5年ほど前には和泉校舎に来ていただいたことがあります。

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今回はアシスタントのサトシーノくんもご一緒に登壇していただきました。
下の写真、左がサトシーノ。35歳ということですが、学生の中に溶け込んでしまえる雰囲気です。ピュアにファッションが好きで、ホッシーが編集長をつとめる講談社のウェブサイト、Forza Styleで編集アシスタントとして仕事をしています。

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ホッシーはとにかく存在感が濃くて、登壇しただけで学生からどよめきが起きるほど。

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ファッションメディアの作られ方。「女性にモテたい」という根源動機がどのように発展して「ビジネスにおいてもモテる」につながっていくのか。一見、ばかばかしく見える記事の裏で、どのようにお金が動いているのか。夢をかなえるためにはどのようなマインドセットをもつべきか。などなど、熱く語っていただきました。

最後は近著2冊を学生の「じゃんけん勝者」にプレゼント。

その後も近隣のカフェにて、サトシーノをまじえ、キャリアの話、仕事の話を中心にしばらく話が尽きず。全く違うタイプに見えますが、根本のところで仕事に対する態度や考え方は、私のそれと通底するところがあるんですね。「365日、手抜きをせずに毎日なんらかの仕事をしている」とか、「周囲に対してまず感謝し、与えることから始める」とか、「いま、ここを最高に幸せに生きるために努力をする」とか、「チャンスが来たらとりあえずつかむ、そのために日々準備をしておく」とか。「自分のことばを磨いて発信し、それによって口説く(異性もビジネスパートナーも)、あるいはチャンスを引き寄せる」とか。「他人を妬むひまあれば自分の関心事を究める」とか。フリーランスとして名前を売りながら、むだに敵を作らず、長く働き続けるためにはやはりそのような発想と行動が最低限、必要なのかもしれません。というよりむしろ、それを苦に思わず好きでやっていける人が結果として生き残っていけるケースが多いのでしょう。(例外は常にあります。)

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そのうえで、ホッシーがあっぱれだなあと思うのは、妬みや中傷に対する考え方でした。彼のマルチな活躍ぶりに妬みを感じ、ネットで中傷を書き込む輩もいるらしい。それに対し、ホッシーは「わざわざ僕のことを書くために貴重な時間を割いてくれて、ありがとう」と考えるのだそうです。そうですよね、時間は財産。それをわざわざ他人の悪口を書き込むために使うというのは、愛というか、強い関心の裏返しですものね。どうでもよければスルーします。助手のサトシーノいわく、ホッシーは、自分に対する悪口にも「いいね」を押すそうです。人気の秘密は、卑屈には決してならないこの肝の据わった悟りの境地にもありますね。

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お忙しい中、学生の視野を広げ、彼らのこれからの過ごし方の刺激となるお話をしていただきました。私も見習いたいヒントを多々いただきました。ありがとうございました。

 

6.15 公開講座「時代を導く男性像とモード」の模様を取材してくださったDress Up Menさんによる記事がアップされました。

こちらです。自分としては恥ずかしいところも多々ありますが、認めたくない欠点も受け入れて、それが気にならないくらいの芸風(?)をみがいていかねばと思っております…。

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公開講座にご参加くださいましたみなさま、Dress Up Menスタッフのみなさま、あらためてありがとうございました。

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Brilliant Glanz (株式会社Shunka)2016 summer issue 創刊おめでとうございます。

 

インタビューページ「輝いている女たち」第一回目にとりあげていただきました。輝きってなに??という不可解はいまだにありますが、新刊と一緒に写真を撮っていただいたのは光栄でした。ありがとうございました。

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最後に、「品格と色気」を保ち続ける方法を聞かれました。品格も色気も、他人が感じるもの。おそらく、最も必要なことは「上善如水」の感覚だと思っています。無難にやり過ごすのではなく、さらさらと水のように立ち入り過ぎない関係を長く保ち続けながら、ここぞのときには強い力を発揮するという。

群れずつるまず、日頃は自分の能力を磨きながら、いざというときにチームのために貢献できるような関係だと、互いが互いを「品格と色気」のある存在として認めあえるし、はたから見てもその関係は品のいいセクシーな関係と見えるのではないか。ルパン、次元、五右衛門、(不二子?)のように。

先日書いた「個」を強くする、というのはまさにそのような関係を保ち続けられるような、ここぞのときには全体に貢献できる強い「個」を鍛えるということです。実はあのような考え方をオフィシャルにしてから、まさかの「変人」呼ばわりされたのですが。しかも同僚に(^-^; 若干、へこみつつも、変人上等、と堂々・淡々としていたいと思います。

 

6月18日に行われましたチャーリー・ヴァイスのサロンのレポートが、Isetan Men’s netに掲載されております。
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「中野香織×綿谷寛×バー『ル・パラン』 21世紀に生きる日本の紳士を語り、描き、飲む」。

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前編はこちらから

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後編はこちらです

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あらためて、ご参加くださいましたみなさまに、心より感謝申し上げます。

 

 

 

京都国立近代美術館で開催中の「ポール・スミス」展記念シンポジウム「メンズファッションの歴史と現在」。昨日、盛況のうちに終了しました。FullSizeRender (101)

14時開始のシンポジウムでしたが、11時から整理券が配布され、15分ほどで100名様分の整理券が終了してしまったそうです。これは主催者側も予想外だったとのこと。

早くからお並びいただき、ご来場くださいましたみなさま、ありがとうございました。入場できなかった方々、ほんとうに申し訳ありませんでした。FullSizeRender (103)

客席の熱気と真剣な緊張感にやや気圧され、いつになくあがってしまい、伝えたいことを(わりあてられた時間のわりに)詰め込みすぎたこともあり、自分としては反省点も多々でした。情報が少なすぎるよりもたっぷりのほうがいいだろう、という発想からはなかなか抜け出せません…。次への課題です。

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とはいえ、モデレーターのクールな蘆田裕史さん、クレバーな百々徹さんのおかげで、内容の濃い、刺激に満ちた有意義な時間となりました。とくに、百々さんの、「日本人とポールスミス」の話は興味深く、日本人にとってのスーツを考えるための新しい視点を与えていただいたように思います。

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左が百々さん、右が蘆田さんです。展覧会の最初に登場するバイクの前で記念写真。シンポジウム終了後も、楽屋でメンズファッションの話で盛り上がり続けておりました。

最後に客席から受けた質問のなかに「メンズファッションを学び続けるための心意気はなんですか?」というものがあり、意表をつかれました。「モチベーション」じゃなく「心意気」。いい言葉ですね。たしかに、なにごとにおいても。

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最後は 決めポーズで展覧会の宣伝(笑)。この日は展覧会のテーマカラーと同じピンクのジャケットを着ていきました。写真では見えませんが、百々さんの靴下はポールスミス風ストライプだそうです。入場者も日々記録を更新とのこと。東京では今月下旬から始まります。

BLBG & Hackett London 2016AW 展示会へ伺いました。

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ハケットロンドンは「メイフェア」コレクションを打ち出しましたが、その隠れテーマは「ベルグレイヴィア」。

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バッキンガム宮殿の南西に位置する高級住宅地ベルグレイヴィアに暮らす貴族階級や外交官を連想するとともに、そう、あの、「ベルグレイヴィアの醜問」(「シャーロック」、シーズン2の1)を連想するのが正しい。

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シャツとタイが同系色というコーディネートはどこかシャーロック的。写真ではなかなか説明しづらいんですが、見えない細部の工夫がすばらしく、服マニアに根強いファンが多いのは、言われないとわからない細部の遊び心ゆえでもあることを実感します。

今回、ハウンドトゥースならぬパピートゥースという言葉も学びました。大型の猟犬ハウンドの歯形模様ではなく、子犬パピーの歯形模様。ネイビースーツに用いられていました。変わり映えがしにくいネイビーですが、遠目にはほとんど無地にしか見えない小模様があしらわれることで、ひそやかに楽しい変化の気分を味わえますね。

そして秋冬から再上陸するギーブズ&ホークス。3つのロイヤルワラントがそろう、サヴィルロウNo.1にあるテイラー。ちなみにエリザベス女王はこちらで儀式用のマントを仕立てていらっしゃるそうです。

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ロンドンの本店から特別に、ギーヴズ&ホークスが仕立てた軍服が運ばれ、展示されていました。まるでここだけコスチューム博物館のようで、テンションが上がります。右は1920年代ホークス製 ジョージ5世時代の馭者のハーフコート。ロイヤルアスコットのために仕立てられたそうです。左は楽隊の制服。

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こちらはロイヤルネイビーのリーファージャケット。ギーブズ製。艦隊の提督が着用したジャケットです。金モールの重厚な迫力に圧倒されます。

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ベルグレイヴィアつながりで、デレク・ローズのプライベートウエア。室内着に特化したブランドで、このガウンはカンバーバッチもドラマのなかで色違いを着用していました。総カシミア、裏はシルクで、えもいえぬラグジュアリーな感触です。なんちゃってアイリーン気分でモデルをつとめさせていただきました。しつれいしました。

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小物も充実しています。ジョシュア・エリスのストール、トゥルーフィット&ヒルのコームやネイルケアキットなど。そして一目ぼれしたのがロンドンソックス。これは贈り物に活用できそうですね。

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そして根強い流行が続くライダースも。老舗レザーウエアのJames Groseが復活、昨年秋に日本初上陸し、ライダースをバリエーション豊かに提案しています。肉厚なのに、柔らかく身体に吸いつくような着心地です。これ一枚で気分も印象もがらりと変わります。ドレスの上にこれを羽織って出かけるのもありですね。

BLBG & Hackett London スタッフのみなさま、ありがとうございました。