待ち時間に、積読状態になっていたDVD2本。

 まずは「ヒッチコック」。「サイコ」を世に出すまでの、ヒッチコック監督と妻アルマのハリウッドでの奮闘。多方面からの反対にあい、大きなリスクをとってまで、なぜ「サイコ」に固執したのか。当初の「駄作」を稀代の大ヒット作に変えるために彼らがとった方法は。編集・音響・宣伝の力もあらためて実感。

妻アルマがヒッチコックにとってそれほど大きな存在であったことは初めて知った。偉業を成し遂げる人には必ずといっていいほどすばらしいパートナーがいて、「陰・陽」の組み合わせがうまくいっている。二人とも表に出るタイプではダメなのですね。(サンローラン、アルマーニ、御木本幸吉、エトセトラエトセトラ、いつの世にも、「陽」の天才の影に、それを陰で支えた偉大な人がいる。)

女の才能だけ利用するために、いかにも「あなたに気がある」風を装って近づく男がいる。アルマの才能を利用したクックとか。くだらない男ほど口がうまく、女を表面的に喜ばせる「紳士的な」(笑)ハウツーを知っている。いつの世にもいる。長い期間、仕事をしていかなくてはならない女性ほど、そんな男の表面にまどわされず、人間としての本質を見抜く目を鍛える必要がある。

存在感たっぷりだったヒッチコックに似せようとしたアンソニー・ホプキンズの苦労もまたしのばれる。

ジャネット・リーを演じるスカーレット・ヨハンソンが魅力的すぎて目が釘付け。

ブリティッシュ・ユーモアがさりげなくちりばめられていて、ひそかに笑う。

映倫の人:Is there any improper suggestion of nudity in this, uh, murder in the shower scene?(不適切な裸など出てきますか?シャワールームでの殺人シーンには)

ヒッチコック: She won’t be nude, she’ll be wearing a shower cap.(裸にはなりません。シャワーキャップをかぶっています)

 

そしてジョディ・フォスター監督の「マネー・モンスター」。ある企業の株価暴落で人生を棒にふった若者が、投資を促した金融番組に乗り込み、スター出演者を人質にとる。やがてプロデュ―サー(ジュリア・ロバーツ)とスター(ジョージ・クルーニー)が強力して真実をあばいていく……という、現代社会にいかにもありそうな金融のからくりに迫る硬派な映画。

ラストがあまりにもあっさりと哀しく、殺伐とした感があとをひく。ドライで賢いジョディ・フォスターらしい解決のしかたかもしれない。

プロデューサーとスターの、性別を超えた信頼関係。恋愛ざたをもちこまず、犯人とその恋人含め、ベタつく男女の感情をクールに無視した監督はさすが。男女関係を超えた男女の「バディ」だって、いつの世にも存在するのだ。

映画の本題とはずれるけれど、メグ・ライアンの「経年変化」ぶりがSNSで騒がれていたのを見て、やはり女優は「コンスタントにどこかに顔を見せ続けている」ことも大事なのかと思ったりした。長いブランクがあって久々に表舞台に登場すれば、そりゃあ「大きな変化」に見えるけれど、ジュリア・ロバーツのように常にどこかになんらかの形で出ていれば、そんなに「変わった」感を与えることもないのかもしれない。

 

銀杏会(東大OB会)から講演依頼をいただき、こんなタイトルで講演してきました。神保町の学士会館にて。icho
配布された案内には「異色の講師」と紹介してあるし、司会の方は「東大卒業の女性のなかではおそらくもっとも変わった人」と紹介するしで(本人はいたって普通に生きているつもりですが)、場違い感もマックスでしたが、ここまできて遠慮しててもしょうがないので、楽しませていただきました。

聴き手は会社社長を退任、官公庁の役人を退官、医師、会計士、といった70オーバーの男性がほとんどで、そのような方々に「ダンディズム」の話をしてきたわけですが、これが意外と大うけで、熱心にメモを取る方もいらして、こちらがかえってびっくり。

メインテーマの「ラグジュアリーに生きるヒント」よりもむしろ、合理的にできているスーツのルールの話や、イギリスの皇室メンバーのスーツの着こなしの話が、意外にも、喜ばれました(「今までの服の疑問がすべてクリアになった」とか「毎日スーツを着てきたが、これまでの70年間そんなことを考えたこともなかった」とか「チャールズ皇太子を見る目が変わった」などのコメントをいただきました……。ファッション業界以外の、多くの男性にとってはそういうものなのかもしれませんね)。

本も完売御礼。盛り上がりの勢いで、二次会にもお誘いいただき、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。会長からは、「今まで経験したことが少ない、新鮮な刺激的な内容だった」とのお言葉をいただきました。ほめられたのか、呆れられたのかはわかりませんが、このまま「異色」でGO!と背中を押していただいた思いがいたします。

お招きいただき、ほんとうにありがとうございました!

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☆来週のリーガロイヤル大阪講演も、目指すところは同じテーマです。「あなたを形づくる」ためのファッション学に、ぜひ一歩、足を踏み出してみてください。関西方面の方、ご来場をお待ち申し上げております。

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明治大学リバティアカデミー、コーディネートしているもう一つの講座、フリーアナウンサー堤信子先生による「一瞬で人の心をつかむ話し方」講座も、満員御礼をいただいております。ありがとうございます。

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この日は、滑舌の訓練を中心に。

 

第二回が無事終了、あとはハロウィンの日に最終回を迎えるだけになりました。

明治大学リバティアカデミー(公開講座)、コーディネートしたビジネス講座、放送作家・野呂エイシロウさんによる「戦略的PR」講座、満員御礼の上、たいへんな熱気のうちに全三回が終了しました。

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業界の固有名詞や生々しい裏話、驚きの実話などを早口で披露しながら受講生を笑わせつつ巻きこんでいく講座は、毎回、あっという間に時間がたち、30分以上質問の嵐が途切れないという盛り上がりを見せました。noro-4

受講生のみなさま、事務局の方々、野呂先生、ありがとうございました。

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このたびJクオリティ認証第一号となったのが、グランプリを獲得した三陽商会のSanyo 100年コートです。

三陽商会が2013年に会社設立70周年を迎えたことをうけ、「コートのSanyo」を象徴するようなものを作りたいという思いから発足したプロジェクトです。

「日本における匠の技を集結させ、世代を超えて永く愛してもらえるコート」がテーマ。100年オーナープランを打ち立て、たとえばベルトが痛んだ、生地が色あせた、というときにも、三陽商会が100年にわたってケアし続けるとのこと。

実際、着用させていただきましたが、見た目よりも軽く、とても着心地がいい。細部に至るまで丁寧な作りで、三陽商会のプライドの象徴、という言葉にも納得がいきました。デザインにクセがないことも、タイムレスで着続けるための条件ですね。

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このコートにつき、ある方から、「トレンチなのにベルトにDリングがついていない」と指摘がありました。トレンチコートと銘打っているわけではないので細部をそこまで再現する必要はないのではと思いましたが、やはり、服にうるさい方にとっては、細部こそが重要になるのですね。いちおう、開発担当者である三陽商会の梅本祐助さんに質問してみました。

以下は、「トレンチ型の100年コートにDリングがついていない理由」、梅本さんからの回答です。長すぎるところなど、ほんの少しだけ、アレンジを加えてありす。

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三陽商会の歴史に登場したトレンチコートの代表作『ササールコート』が原型だからです。
100年コートは元々開発する際に、三陽商会の象徴となるものを作りたいとのコンセプトや想いがありました。
もしコンセプトが本物のトレンチを作りたいから始まっていれば、おっしゃるようにDリングを付ける事もあったかもしれません。
デザイン面でのリソースになっているのは、弊社創業者吉原信之が1959年に当時三陽商会で一番ヒットした(1シーズン5万着売れた)と言われている、映画3月生まれでジャクリーヌササールさんが着た『ササールコート』がベースになっております。
Dリング以外にも背中のアンブレラヨークやガンパッチ等、特徴的なデイテールがデザインソースで当時のトレンチコートにもDリングが付いておりませんでした。
ササールコートは婦人のトレンチコートなので紳士では付けようか?との議論もあったことは事実
ですが、三陽商会らしさを大切にしたかったことや、紳士婦人で並んだ時に違和感の無いように、Dリングをなくしています。
また、もう一つの理由として、

100年コートが描く未来に向け必要が無い付属品だと判断したからです。

ご存知の様にトレンチコートの起源は1914年に英国陸軍が第一次世界大戦の際、塹壕用に作ったコートです。元々はタイロッケンのコートをベースに作られていると思いますが、当時戦時中だった為に、手榴弾をぶら下げるようとDリングが付いておりました。

また当時は腕を負傷した兵士が袖を通し易い様にラグランスリーブにしていたり銃や水筒を掛けられるように肩章が付いていたりと、デイテールの全てに意味があり塹壕が戦争中に必要な装備を付けトレンチコートは作られていました。
上記の事から紳士用のコートがトレンチコートの起源という事だと思いますが、ササールコートを創業者が作った時代は女性が社会に進出して、お洒落着としてトレンチコートを着ており、女性のコートにDリングを付けるということはおそらくですが創業者は考えなかったと推察しています。
また、三陽商会は1943年に設立し最初の3年はコートを作っておりませんでした。(当時は石を切る機械やパンクしないゴムボールを作っていたそうです)
その後に起きた第二次世界大戦により創業者は全てを失い、軍隊時代の友達から防空暗幕が日本画材という会社の倉庫に眠っているのを聞き、雨を凌ぐレインコートを1946年に作りました。
非常に大変だったと想像される時代の中で、二度と我々も戦争が起きて欲しくないとの思いもあります。

色々と調べましたが特にDリングについては武器等をぶら下げる以外に意味が無く、今の時代やこれからの未来に必要のないものだから外しました。

私がもし仮にバーバリーの企画をやっていてトレンチコートを作るなら必ず原点であるトレンチコートをコンセプトにするのでDリングを付けます。
またメンズで本物のトレンチコートを作る事が目的であればもしかしたらDリングを付けるかもしれません。しかしながら、今回の100年コートは男性も女性も親から子、子から孫へ受け継いで欲しいとの思いがあります。2013年の当時から100年先を考えて未来に向け意味のないものは付けないとの理由が一番大きいかもしれません。
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とても説得力のある回答ですよね。このような作り手の思いがわかると、コートの見え方も変わってくることがあります。
さらに詳しくは、こちらから。

J Quality × Dress Up Menのトークセッションには、定員を大幅に超えるご応募をいただき、大勢のお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。

レナウン・ダーバンの志村裕之さん(右端)、オンワード樫山・五大陸の大圃祐二さん(右から二人目)、三陽商会・100年コートの梅本祐助さん(左から二人目)、それぞれに情熱的、かつ整然とスーツやコートに秘められた技術と思いを語り、純・日本産の質の高さを具体的に知る画期的な機会となりました。

J Qualityとは、「織り・編み」「染色整理」「縫製」「企画販売」このすべての過程を日本国内でおこなった商品に与えられる認証制度です。このたびは、100年コートがグランプリを受賞、五大陸がプロフェッショナル賞を、ダーバンがクオリティ賞を受賞しました。
お三方とも、自社ブランド云々をこえて、高品質の日本製のスーツやコートのブランド価値と信頼を世界基準にするという使命感に本気で燃えていらっしゃいます。日本国内の産地や工場の灯を消さないためにも、がんばりぬく、という決意の表明に感動しました。
日本のスーツはセンスが、という声を数年前まで聞いたことがありましたが、いやいや、実際にこのお三方が着るスーツのなんと素敵なこと!! 間近で見るとさらに美しいのです。あとは国内外への正しい発信、Dress Up Menをはじめ、ビジュアルや動画で、言葉の壁を超えた発信を積極的に続けてください!
個人的には、常日頃から「カワイイ」や「アニメ」ばかりがクールジャパンではない、「ジュンアシダ」や「ミキモト」に代表されるような、世界に通用する大人のエレガンスの世界がある、ということを言い続け、次回の大学公開講座でもテーマにしますが、そこにぜひ、大人の男性が着るJ Qulaityのスーツやコートも加えたい、と思った次第です。

林信朗さんの鋭くユーモアあふれるツッコミが最高でした!

ゲストのみなさま、関係者、登壇者のみなさま、ほんとうにありがとうございました

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WWD 10 月17日号(Vol.1940) に、6日におこなわれた旭化成×Dress Up Menのイベント模様が掲載されています。

wwd-10-17プチうれしい。WWDさんありがとう。

胸のすくような秋晴れに恵まれた土曜日、京都女子大学での半・分解展&トークショーで京都日帰りでした。

東京から、名古屋から、福井から、福岡から、神戸から、大阪から、ヴェトナムから、120名を超える方々に来場いただき大盛況、楽しい交流の機会をもてた、忘れがたい一日となりました。

トークショーも楽しんでいただけたようで、大勢の方々に本を買っていただきました。心より感謝します。(講演後の本の売れ行きは、お客様満足度のシビアなバロメーターとなるのです。)

ご来場くださいましたみなさま、支えてくださいました京都女子大のスタッフのみなさま、ありがとうございました!10-15-2016-2

一般のコスチューム博物館では、手袋をしてさわることも許されない貴重な歴史的資料である服に、ざくっと鋏を入れて分解してみた。この蛮勇あってこそ出てきた新しい発見の数々。
キツネ狩りの赤いジャケットの裏地が、風雨を入れないよう、袖口がすぼまるように作られていたことなど、表から見ていてもまったくわからなかった発見があります。日頃、実際に服を作っているテイラーの方々は、さらに多くの技術上の工夫を見つけて驚かれるようです。
お客様は実際に服を着てみることもできます。フランス革命前のアビ(ジュストコール=上着)が一番人気で、試着して写真を撮る人絶えず。この服を着て人はどんな生活をし、なにを考えていたのか。想像することも楽しくなってきます。

展覧会中は、長谷川くんが常駐しています。ぜひ、試着し、話を聞きにいってみてください。

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アマゾン・ファッションウィーク開催中の10月19日(水)、日本を代表するメンズアパレルが集結して、Japan Qualityの魅力を探るトークセッションを開催します。

オンワード樫山、三陽商会、レナウン各社を代表する若き論客と、『MEN’S CLUB』『Gentry』など、数々のファッション誌の編集長を歴任した、ファッション評論家の林信朗さん。中野は進行役をつとめます。
【日時】10月19日(水)18:30~19:30
【場所】渋谷ヒカリエ8階COURT
ゲスト:ファッション評論家・林信朗氏
進行:服飾史家・中野香織
抽選で50名様のご招待となります。参加費無料。
【応募締め切り】10/14(金)
詳細・ご応募はこちらから→http://dressupmen.jafic.org/event/
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あこがれの女性ナンバーワンのアイリーン・アドラーに、10秒だけなりきってみました。

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失礼しました。

南青山のヴァルカナイズロンドンに、カンバーバッチくん、ご来店中です。12日まで。マダムタッソーの館よりも先にこちらへご来店とのことです。みなさまぜひ、ご一緒に記念写真撮っていらしてくださいね。