27日、Nina Ricci 新作フレグランス発表会にお招きいただきました。

1.27.2017

Les Belles de Nina. Nina とLuna。Ninaは赤いボトルに入ったトフィーアップルの甘いグルマンノート。10年前に発売されて人気だったこの香りに、「親友」が見つかった、というコンセプトです。今回新しく出たのが、Luna。こちらはパープルのボトル、梨のさわやかさと官能性をあわせもつ香りです。調香師はファブリス・ペレグリン。

香水単品では、それほど目新しさを感じさせるものではないのですが(失礼……もちろんフレッシュで好もしい香りであることにはまちがいないのですが、ターゲットはミレニアル世代)、今回、衝撃を受けたのは、そのコンセプトでした。Nina とLuna、これは女性のカップルフレグランスでもあるのです。

 

1.27.2017.4

カップルと言っても、同性愛ではない。これはミレニアル世代のフレンドシップをコンセプトにしているのだそうです。

いいときも悪い時も感情を分かち合い、さらにそれをSNSで世界とシェアすることで、ますます友情の絆を強くする。二人でいると、より強く、自分らしくいられるという、SNS時代の親密なフレンドシップ。実生活でも親友という二人のモデルがイメージモデルをつとめています。

1.27.2017.2

似ているようでタイプが異なる二人が、互いに手をとりあってフェミニニティを追求する冒険の旅に出る……。このようなコンセプトが提示された時には、ええっ!?と椅子から転げ落ちそうなほどの(陳腐ですが、まさにそんな感じ)ショックを受けましたよ。Friendship is the New Couple.

1.27.2017.6

世界とシェアすることでさらに強まる友情の絆。男性の入る余地はない。笑

そこはかとなく不気味だ…信じられない…と感じた私は古い時代の人間でしょうか。マーケットは確実にミレニアル世代にヒットするように移っている。

SNSによって友情のあり方も変わる。異性(というか現在あるいは未来の恋愛対象)目線が皆無のフレグランスなんて、前代未聞ではないのか。ともかくも、現代を映し出す、斬新なコンセプトのカップルフレグランスの登場です。

 

1.27.2017.9

軽いカルチュアショックとともに発表会会場をあとにしました。すてきな場所でした。

1.27.2017.5

SNSシェア用のプロモーションの装置は完備。屈託なく「フレンドシップ」を誇示する「カップル」が想定されていたなか、一人の私はなんだか居心地悪そうにしておりますな。笑

 

*ニナリッチ「ニナ」はすでに発売中。「ルナ」は2月24日発売です。INTERMODE KAWABEより。

abc, NYTimes, Washington Post, BBC, Telegraph などのニュースが送られてくるように設定しているが、刻々と、ものすごいスピードで事態の進展が送られてくるので、いまの時点でのかすかな不安を個人的にメモしておきます。政治評論家ではないので、以下、解釈の大雑把なところはご寛恕のうえ、スルーしてください。

 

トランプ大統領による、ほぼ連日の時代錯誤的な大統領令。国境に壁。中絶禁止。オバマケア無効。環境破壊するパイプライン建設許可。これにサインしている自分の姿をいちいち写真に撮らせてSNSにアップする。(オバマ元大統領がこんなことをしているのを見たことがないように思う。)トランプ氏の「サインするオレ様」写真は、自分の権力がどれほどのものかを確かめたくて無謀な大統領令を次々と発し、悦に入っているナルシストの写真にしか見えない。

ついに中東・アフリカのイスラム7か国からのアメリカ入国を一時的に禁止。

 

人権を無視したこの大統領令に反対を唱える大々的なデモ。アメリカ全土から空港に弁護士が集結し、ボランティアで入国者を助けようとしたり、空港で足止めを食らったり抗議している人たちのためにピザ・エンジェルが無料でピザを配布したり、難民を助けるクラウドファンディングが行われたりと、「大統領令が発せられると、アメリカが一つにまとまる」というバーニー・サンダース氏の名言に納得のヒューマニスティックな光景も繰り広げられる。

 

アメリカに入国を禁止された人々を見かねて、カナダのジャスティン・トルドー首相が「カナダは、宗教、人種、ジェンダーなどに関わらず難民を歓迎します」というメッセージを発し、世界中からの喝采を得る。

 

と思ったら、カナダのケベックのモスクで、イスラム教徒が祈りの儀式を始めたばかりのところをなにものかに銃撃され、罪のないイスラム教徒が5人が亡くなる。(その後、6人に増える。重傷者も多数)

“In this dark hour, let us strive to be the best version of ourselves.” (By Justin Trudeau)

 

これはこれからやってくる大きな嵐の決定的な始まりだろうか。混乱から衝突が起き、収拾がつかなくなると戒厳令が敷かれ、日本だって当然、何らかの形で巻きこまれる……という流れを想像してしまう。

ファッションの歴史から学んだことは、人間の美意識や流行はらせんを描いて変化していくということだ。どちらかの方向へ行けば必ず揺り戻しが来て、再びかつてきた道を通る(が必ずしも同一にはならない)。政治も同じと考えるわけではないが、かつてと同じような道をたどろうとしているように思えてならない。rasen 6

そういう憂いは憂いとして、この世界情勢のもと、まったく能天気にしか見えないファッション記事も書かねばならないし、あれこれの交渉を進め、各種の仕事を終えなくてはならない。家族のケアも。将来設計も。どれも待ってくれない。ひとりダイバーシティには切り替え力と集中力と体力が要る。それぞれの場面で、”Best version of myself” で臨むための体力が。

 

 

ナタリー・ポートマンがジャクリーン・ケネディを演じる話題の映画、Jakie。公開前に一足早く拝見しました。

jackie movie

ジャッキー・O・ケネディの生涯、という映画だったらもっと華やかで明るい印象の映画になっただろうと思うが、暗殺事件の直後、どのようにジャッキーが振る舞い、決断して、夫を「伝説の大統領」にしたてあげたかという点に焦点が絞られる。ひたすらナタリー・ポートマンの熱演(とりわけつらい苦しみに耐え抜いている表情)を中心に見せていく。

ジャッキー・ファッションの解説を後日、活字媒体で書きます。しばしお待ちくださいませ。

ラスベガスの不動産王フィリペ・ジアード氏とNIKKEIグローバルのチームが来日中(日曜にはもう日本を発ち、今度は南アフリカへ)。金曜夜にはブガッティ主催の勉強会&パーティーにお招きいただきました。シャングリラ・ホテルにて。

フィリペの話をうかがうのはこれで4度目くらいですが、不動産の取引には全く縁のない私でも、学ぶところが多い。

19歳のときにレバノン内戦を逃れてアメリカに移り、修理工から身を立て、いまやラスベガスでトップ、アメリカで13位の不動産王。修理してより良いものにして売るという技術とテクニックは、中古不動産を修理し、よりよい付加価値をつけて売る、という発想につながっている。

不動産王ということばから連想される世間のイメージを裏切り(ドナルド・トランプ氏みたいのが思い浮かびやすいですよね)、フィリペは謙虚で誠実な人柄だ。だからこそ信頼されているんだろうと思う。今回も話の半分以上が自己啓発的な内容だった。以下、フィリペの話のメモ(ごくごく一部ですが。ここでは書いていない生々しい不動産投資の話も多々)。

・2015年に初めて来日して以来、5度目の来日になるが、日本は一番好きな国になった。テクノロジー、都市の機能性などが優れているだけでなく、人々の高潔さや伝統を重んじる誇り高さがすばらしい。成功の理由をしばしばインタビューされるが、2015年以降は、「サムライ的なもの」を大切にしているから、と答えている。前世はサムライだったのだと思っている(笑)。

・お金を得ても「幸福」にはなれない。幸福は、自分自身にチャレンジし続けることから生まれる。挑戦し、結果を勝ち取り、また挑戦し、勝ち取り、という繰り返しの過程、そこにこそ幸福がある。

・成功に必要なことは2つある。まずはModesty、謙虚さ。他人を敬い、謙虚に話をよく聞くことで学びも協力も得られる。二番目にはServant Leadership。奉仕的なリーダーになること。現場の実情をよく知り、現場の人に奉仕することで、ミッションを確実に達成することができる。

・理性と感情のバランスも重要。仕事をともにする相手の人間性もとても大切で、心が納得しなかったら一緒に仕事をすることはない。

・ドナルド・トランプ氏の政策はつまり、「あなたのおこなうビジネスのコストをお安くしますよ」ということだ。規制が緩和され、大幅な法人税の減税がおこなわれる。これは投資マーケットにとってはとても仕事がしやすくなるということを意味する。

・Commercial vs. Residential 、つまり商業施設に投資するのか、住宅に投資するのか、という問題がある。テクノロジーが加速度的に発達し、アマゾンで注文したらその30分後にドローンが届けてくれるという時代。もはや商業施設は空室率が目だっており、投資にはやや危険が伴う。しかし、そんな時代になっても、人には「住む」ところが必要。これから自宅勤務も増えていくことも思えば、住宅に投資する方が確実。

・リーマンショックをなぜ生き残ることができたのか? という質問をしばしば受ける。ジェネラル・ルールは常に同じで、マーケットを熟知していれば必ず収益は上がるのだ。1.Worst Case Scenarioを思い描く。最悪のケースとは何かを考え、自分自身でコントロールできると思ったときのみ投資する。2.Create Value 付加価値をどうやってつけ、上げていくかを考える。自分で付加価値をつけて高く売ることができるもののみを扱う。3.Exit Strategy 出口戦略を明確にする。お金の流れを明確につかみ、「売り切る」ことを考える。

・(最後に、どうしても話したい、と強調していたこと)Ambition 野心について。リスクとはなにか? リスクをとらないことと、リスクをとること、どちらがよいのか? 私の哲学としては、リスクをとることのほうが、リスクをとらないことよりも、はるかにリスクが少ない。意見を言うときもそうでしょう? 何か発言すれば、かならず批判する人がでてくる。中傷もされる。それをおそれて何も言わないというのは、もっともリスキーだ。You never succeed without risk. 成功するには、必ずなにがしかのリスクをとっていかなくてはならない。愛だってそうだ。もし、誰かを愛して失うのがこわい、とおびえて愛することをしなければ、それはほんとうに虚しい人生になる。失うことを恐れては人を愛することなんてできない。一歩を踏み出さなくては。Don’t fear.

……というふうに最後は愛の話にまで及びます。一歩を踏み出し、リスクをとる、というマインドが、不動産投資に向かうマインドへとつながる、という誘導とも読める。でもそんな商売気をほとんど感じさせないのがフィリペの不思議。

 

その後、Nikkei Global 日本側の代表取締役(金融・相続対策)の大田勉さんからの具体的な節税対策としての海外不動産のお話もあり。(私には縁のなさそうな話ですが、そういう世界からの視点を知っておくことも大切ですね。)

パーティーでは、マジシャンGO!とアシスタントのYouさんがいらしていて、マジックを披露。さらなる進化を遂げていて、大興奮でした。ブガッティ社長の山本章博さんのご配慮でしたが、そういえばGOさんもラスベガスでゼロから修業を始めたのでした。

1.27.2017.11

(左がフィリペ、右がGOさん)

異なる仕事をしている方の視点から学ぶことはほんとうに多い。門外漢の私にまでいつもお心を配ってくださるNikkei Global 総合代表CEOの皆見友紀子さんはじめ大田さん、小嶋さん(日本側のアメリカ不動産対策代表)ほか写真のみなさま、フィリペ、ブガッティの山本社長に感謝します。
1.30Special thanks to Phillippe, Reina(U.S.Hi-Tech Industries Japan Co.), Mr. Yamamoto, Mr. Kojima, Mr. Ota, and Yukiko.

今回、フィリペのお友達の中東の大スター、ナジワ・カラームはご一緒ではなかったけれど、フィリペはナジワの香水をまとっていました。まさにそこにナジワがいるかのような、なつかしい感覚。パワー・オブ・フレグランス、ですね。

 

*今日驚いたプチ情報。日本でプライベートジェットを所有しているのは16人だそうです。

 

 

 

 

スライ・スタローン、ジェイソン・ステイサム、シュワ、メル・ギブ、ハリソン・フォード、ウェスリー・スナイプス、ドルフ・ラングレン、アントニオ・バンデラス、ジェット・リー……  20世紀のアクション大スター満載で、これでもかというくらい延々と派手でにぎやかなアクションを見せていく。ユーモアも舞台裏ジョークも楽しく、最後は巨悪とヒーローの素手格闘というお約束もしっかり踏襲、スリラーのはずなんだけど安定の展開。

紅一点の戦士ルナはロンダ・ラウゼイ。アメリカ初の柔道オリンピックメダリストで、総合格闘家として有名な女性で、いろんな格闘技に挑んでるチャレンジャーなんですね。

と知ると、

Luna: You know, if you were 30 years yonger…… (もしあなたがもう30歳若ければ……)
Barnie: I’d be afraid of you. (怖がってたろうね)

というルナとバーニーの会話もいっそう笑える。

ロンダの存在を知ったことは収穫。expendables 3

「レンズが撮らえた19世紀英国」(山川出版社)。これまであまり目にしたことのない19世紀のイギリスをとらえた写真が豊富。海野弘先生はじめ、専門家の解説により、それぞれの写真の「意味」がわかりやすくなっている。

個人的にはアルバート=エドワード(のちのエドワード7世)のオクスフォード大学時代の写真がツボにはまりました。立ち方、帽子の持ち方、視線の方向に、バーティー(愛称)の美意識がありありと現れているように見えます。

当時流行したファッション、ヘア、メイク、「英国美女」にも新鮮な発見あり。南方熊楠、夏目漱石、高村幸太郎ら「日本人から見たロンドン」の章もあります。「学問好きだが学校は嫌い」だった南方熊楠の型破りな学究生活ぶりに心打たれる。

 

行方昭夫先生『英文読解術 Mr. Know-All』(DHC)。

英文精読シリーズ、最新刊。モームの「物知り博士(Mr. Know-All)」の原文を精読しながら英文読解を学ぶことができ、同時に、行方先生による全訳も味わえる。

(あちこちで何度も書いているが)行方先生の「コンテクストを読め!」「辞書を引け!」という厳しい英文読解特訓の授業があったからこそ、どんな英語でもほぼ「読める」ようになった。字面の裏側を「読む」習慣ができた。そんな授業を思い出しながら読むと、あらためて確認できることも多く、教え方の勉強にもなります。

 

短編としての「物知り博士」も、最後のどんでんがえしが小気味よい。登場人物それぞれの心の中を想像して、思わずニヤリとしてしまう。人間がいとおしくなるような物語。誰からも嫌われる厚かましい奴、楚々として上品で慎ましい人妻。表面を見ているだけでは、人の本質なんて最後までわからない。

 

この物語のもうひとつの主役は、真珠。1925年に書かれた小説ですが、その頃はちょうど、御木本幸吉が精力的に海外進出をしていますね。1913年にロンドン支店開設、1926年にはフィラデルフィア万博にも出品。世界中から「日本の養殖真珠はニセモノだ」とバッシングを受け、そうではないことを証明するためにミキモトが真珠裁判を起こしている、まさにその最中ではないですか。養殖真珠排斥運動は1927年まで続いているので、養殖真珠が「本物」なのか「ニセモノ」なのか、まだ世界中がその判断に揺れていた時代のさなかに書かれた小説ですね。The cultured pearls which the cunning Japanese were making という表現から、ささやかな悪意が感じられます。

科学者らの証言により、ミキモトは最終的には裁判に勝ちます。それはこの小説以降のこと。

ラムゼイ夫人の「本物の真珠」は、天然ものか養殖ものか、はたしてどっちだったのかな。

 

それにしても1931年生まれの恩師のますますのご健筆ぶり!! 85歳になっても、何歳になっても社会から求められる冴えた仕事ができるというお手本でもあります。

*The cunning Japanese をどう解釈するか?に「文脈を読む」力が問われるわけですが……。「ずる賢い日本人」という否定的なニュアンスにするか、「技術力にすぐれた日本人」というホメことばにするか。

行方先生によれば、次の通り。

“モームは85歳で日本に来てから偏見をなくし
日本が好きになったようですが、この作品執筆時は
「ずる賢い」と思っていたのでしょうね。”

ここまで作者の背景を知ることが「文脈を読む」ということでもあるんですよね。Google翻訳やAI(現時点)ではとてもできません。

SPUR 3月号発売中です。

別冊 「靴&バッグ 新作コンプリートブック」巻頭で、靴とバッグの役割について語っております。

spur 3 2

「”ひとりダイバーシティ”時代の今、必要なのは靴なのか、バッグなのか?」 笑えるタイトル。として聞こえていればありがたいですが。

spur 3 4

機会がありましたらご笑覧くださいませ。

ヴィスコンティ生誕110年、没後40年。メモリアル作品がいくつか続々上映されておりますが、その最後を飾る作品として、デジタル完全修復版の「家族の肖像」がロードショー公開されます。2月11日(土)より、岩波ホールにて。

 

img087

バート・ランカスター、ヘルムート・バーガー、シルバーナ・マンガーノ、クラウディア・マルサーニ、クラウディア・カルディナ―レ、ドミニク・サンダといった濃厚な俳優陣が、豪華絢爛なインテリアのなかで繰り広げるえぐい人間ドラマ。鑑賞にも体力が要ります。

conversation_piece

目を釘付けにするマンガーノの衣装はピエロ・トージによるもの。感想は別媒体に書きます。しばし。

*タイトルに書いたのは、映画中のリエッタが暗唱するW.H.Audenの詩の一部。

 

 80過ぎてからスタイルアイコンとして脚光を浴びるようになった、90歳超えのニューヨーカー、レアバードことアイリス・アプフェルを追ったドキュメンタリー。

大胆なアクセサリー重ね付け、カラフルでポップな色使いの装いだけじゃない。スパッと切れ味のいいひとことひとことが小気味よい。公の場で夫のカールの頭をなでていたりするのがかわいい。

“You have to be interested. If you’re not interested, you can’t be interesting.” (おもしろがることが大切。おもしろがることがなければ、あなたがおもしろい人にはなれるわけがない)

“More is more, and less is a bore.” (もっとつけるともっとよくなる。減らせばタイクツ)

” I never felt pretty. I don’t feel pretty now. I’m not a pretty person. I don’t like pretty. So I don’t feel badly. And I think it worked out well, because I found that all the girls I know who got by on their looks, as time went on and they faded, they were nothing. And they were very disappointed. When you’re somebody like myself, in order to get around and be attractive, you have to develop something, you have to learn something, you have to do something. So you become a bit more interesting.” (私は美人じゃないし、美人は好きじゃない。美人じゃなくてよかったわ。美人ってだけで世の中を渡ってきた女たちを見てごらんなさい。年をとったら空っぽでひどいもんだわ。わたしみたいな女だったら、魅力的になるために、ものすごく努力して、勉強して、がんばらなくちゃいけない。そうするとおもしろい人間になれるのよ)

人生は「ワントリップ」だから、ほんとうに自分のやりたいことを選択して、世間体などにかまわず思い切り楽しむべき、と。旅と仕事をとったかわりに、アイリスは子供をあきらめた。覚悟があるから、楽しみ方は半端ではなく突き抜けている。意志、大胆さ、ユーモア、鋭い人間観と達観。それがそのまま外見に現れている。「スタイル」ってこういうことですね。

 

 

元ファーストレディ、元大統領、元副大統領、毎日のように届いたそれぞれの『最後のスピーチ』にいちいち感動しながら、自分自身の2016年度『最後のレクチャー』がいくつも続いた、ハードながら感慨深い2週間でした。

 

笑いと刺激と友愛にあふれていて、毎週楽しみだった今年度プレゼミ(officially 教養講座)も昨日が最後でした。

オバマ、バイデンのブロマンスな(笑)スピーチに思いを託しつつ。

「心から生まれたものは、心に届く」。

1.23.2-17

みなさんほんとうにありがとう! (記念に、拙著にひとりひとりにぴったりだと思う言葉を入れて一冊ずつ贈りましたため、全員、本を手にしています。宣伝ぽくて恐縮です。)

 

 

ちなみに男子はほぼ全員が「リア充」。オフ時には、クリスマスや誕生日にいかに知恵を絞って彼女を驚かせたかという自慢?話披露会(OBもそうです。その技に磨きがかかっていく)もあり。「若者が恋愛しなくなった」という一般論は、あくまで曖昧な一般論でしかないことがよくわかる。

多くの無邪気な「恋する男子」を見ていて得た結論です。☟

男子というものは、あらゆる知恵と体力を総動員して女性を驚かせることに生きがいと喜びを感じるものらしい。

 

逆に、「彼女にサプライズのプレゼントをもらうのは嬉しいけど、ちょっと悪いなと思う。こっちがいろいろ考えて驚かせ、喜ばせてあげるほうがはるかにうれしいし、楽しい」そうです。

 

 

もちろん、そんな話ばっかりしていたわけではまったくありませんが。笑

今年度もまた、新鮮な学び合いの場に恵まれたことに感謝します。

 

 

読売新聞 夕刊連載 「スタイルアイコン」。本日は、ビル・ゲイツ氏について書きました。機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

Bill and Steve 2

Bill and Steve

ジョブズとゲイツ。年月とともにその人の本質めいたものが外に現れてくる……ということがうかがえる写真。

実は長年の隠れファン。富豪だからではなくて、あのヘアスタイルとメガネ、ラベンダー色のグランパセーターのビル・ゲイツは、あたたかさと寛大さに満ち溢れて(いるように見えて)、見ていて飽きない。

Microsoft Chairman Bill Gates (L) looks on during a news conference at company headquarters in Redmond, Washington June 15, 2006. Microsoft announced that effective July 2008 Gates will transition out of a day-to-day role in the company to spend more time on his global health and education work at the Bill & Melinda Gates Foundation. After July 2008, Gates will continue to serve as the companyÕs chairman and an advisor on key development projects. Robert Sorbo/Microsoft/Handout

 


Your most unhappy customers are your greatest source of learning. (by Bill Gates)

文句を言う客からも学ぶ姿勢。見習いたい…。

朝日新聞1月17日(火)、オピニオン欄「若手政策の乱」。
koizumi

小泉進次郎氏はやはり人の心に届くことばの使い手だとわかる。Men’s Exの先月号でも、シャツの着こなしのお手本として小泉氏を挙げた時、一部、業界関係者からは不服の声もあったようなのですが、スタイルアイコンはやはりルックス(着こなし)だけではなく、語ることばと行動とともに総合的に見るべきという考え方は変わりません。

「僕は政治を職業だと思っていない。生き方だと思っています。自分の意志でこの道を選んで本当によかった。もし親から跡を継げと言われて政治の世界に入っていたら、おそらく途中で心が折れていたんじゃないかな」

「いまも苦しいとき、自分の能力の限界を感じることもありますよ。でも最後は自分がこの道を選んだという事実が力として返ってくる」

「将来を考えたら、どんどん課題は大きくなる。経験知を積んでおかないと、次の高さは跳べません」

確かな口調と目力で語られるこんなことばの力があり、行動が伴い、信頼感が生まれる。そうすると見る人の目には、「美しく」見えてくる。

かっこよさだとか美しさは、単独で、鏡の中に存在するものではなく、あくまで、周囲の、その人を見る心の中に生まれる。心が幻滅すれば、どんなイケメンやダンディだって、よく見えるはずはない。

 

デヴィッド・ボウイ展が盛り上がりを見せていますが、会場の寺田倉庫まで往復すれば一日がかかり。なかなか時間がとれないので、こちらの本でしばし、しのぐ。

David Bowie Is Inside” (ed.by Victoria Broackes and Geoffrey Marsh. Space Shower Books).

大型の、重い写真本ですが、ボウイの全容が整理、網羅されています。V&Aでの回顧展のオフィシャルガイドブックの復刻版のようです。文字による解説も多く(日本語訳版)、ファンにとっては永久保存版です。

david bowie is 1

david bowie is 2

V&A director マーティン・ロスの序文から。

「彼が私たちの文化生活に与えた最大の影響のひとつは、個人主義の擁護にあります。私たちは何でもなりたいものになれる、したい格好ができる、そして常に他人の目に依存する必要はなく、追従するのではなくリードすることができる」

自由自在に変化し続けるボウイを眺めていると、ささいなイメージにこだわることがいかにばからしいことかと思えてきます。

2013年のオリジナルバージョンは、こちら。


関西日英協会設立80周年記念誌。1935年以降の、イギリスの状況、日英協会の活動、会員からの寄稿などが豊富な写真とともに記録、掲載されています。

img084

80周年記念講演会「ロイヤルな生き方」の模様も掲載していただいています。ありがとうございます。

img085

こうして、活動を記録し、まとめておくということは大切ですね。それがメンバーにとっても帰属の喜びにつながるし、組織(ブランド)の重みというかステイタスを生むことにもつながります。後日、思わぬページがどこかで役に立つこともあります。

日々流れていきがちな個人の記録も、積み重ねてまとめあげると、意外に大きな「ストーリー」になることもありますよね。

 

会員の方々の寄稿を読んで、イギリス文化に造詣の深い、教養も社会的地位も高いメンバーが、関西だけでこんなにも大勢いらっしゃるのだと知り、生半可なことは書いたり話したりできないなとあらためて身が引き締まる思いがしました。知らないことはまだまだたくさんある……。

重ねて、80周年おめでとうございます。

 

「バイオハザード・ファイナル」。原題はResident Evil: The Final Chapter.

resident evil

監督ポール・アンダーソン、その妻ミラ・ジョヴォヴィッチ、二人の娘エヴァー(レッドクイーン役)とファミリーで作り上げているホラーアクションサスペンスSF映画。シリーズの最終章。

ゲーム発の映画ということで、最初から最後まで、次々休みなく襲いくる敵に、不死身のアリスがありとあらゆる戦い方で勝っていき、人類を救うお宝を手にして、自分のアイデンティティを獲得する(←このあたり、脚本がHero’s Journeyをおさえている)。

殺伐荒涼とした世界の終わりの風景が延々と続くなか、不気味きわまりないアンデッドやらクローンやら怪鳥やらモンスター化した犬やハイテクな仕掛けやらが休みなく襲ってくる。アクションの連続で感覚がマヒしてくるし暗くて何が起きてるのかよくわからない。クローンもうようよでてくるので、なにがなんだか。

でもゲームを意識している映画なので、「これはこういう世界観の話だからこの感じがいい」のだそうです(次男コメント)。どちらかと言えば、お化け屋敷のような印象でした。

15年間もシリーズが続くってたしかに偉業。リスペクト。あまりDVDで見直したくはないが。

感染で世界が滅びる。このテーマは最近フィクションに登場する頻度がひときわ上がっている気がする。あながちSFとは片づけられない恐怖を、うすら寒く感じる。

 

 

あまり期待していなかったのですが、美容院の待ち時間に流してくださっていて、爆笑の連続だった快作。「ゴーストバスターズ」(2016)。

ghostbusters

オタクで冴えない科学者3人+1人、4人のゴーストバスターズがニューヨークを救う。1984年版のヒーローを女性に変え、84年版へのオマージュもところどころにある。この4人の女性がとにかくチャーミングで、「バカすぎるイケメン」ケビン(クリス・ヘンズワース)の扱いも最高に笑え、最後はバットマンのような感動。ばかばかしくて楽しい。

幽霊を語る科学用語を駆使する彼女たちの会話がテンポ良いし絶妙。ホルツマン役のケイト・マッキノンはクールだし、アビー役のメリッサ・マッカートニー、エリン役のクリスティン・ウィグもダサさがなんともかわいい。見ているうちに、惚れ惚れしてくる。

Erin: What year is it? (今、何年?)

Holtzmann: It’s 2040. Our president is a plant! (2040年。大統領は植物よ!)

なんだかリアリティを帯びてきたセリフ。

北日本新聞別冊「まんまる」2月号が発行されました。img080

 

連載「ファッション歳時記」第64回。「着てみてわかる、鹿鳴館」。

年末に鹿鳴館コスプレをさせていただいた経験をもとに、服が立ち居振る舞いに及ぼした影響を書いてみました。

manmaru 64

今回はプロフィル写真も鹿鳴館バージョンです。

La La Landが7部門を受賞したゴールデン・グローブ賞。ライフタイム・アチーブメント賞を受賞したメリル・ストリープのスピーチに、引き込まれる。こちら、ワシントンポストのサイトでも聴くことができます。

トランプの名前は一度も具体的に出さなかったけれど、明確なトランプ批判。

 

“Disrespect invites disrespect, violence incites violence. When the powerful use their position to bully others, we all lose.”

(「軽蔑は軽蔑を招き、暴力は暴力を招きます。権力者が地位を利用して他人を迫害すれば、私たちはみんな負けに追いやられる」)

“As my friend, the dear departed Princess Leia said to me once: ‘Take your broken heart and make it into art.

(「私の友人、故レイア姫がかつて私にこう言いました。『こわれた心を拾い集めて、そこから芸術を作るのよ』」)

 

これに対して、ドナルド・トランプ氏がムキになってメリル攻撃のツイートを。

“Meryl Streep, one of the most overrated actresses in Hollywood, doesn’t know me but attacked last night at the Golden Globes.

“She is a Hillary flunky who lost big

(「メリルはハリウッドでもっとも過大評価されている女優のひとりだ。オレのことわかってないくせに、昨夜ゴールデングローブでオレの批判をした」「そういえばメリルは大負けしたヒラリーにへつらっていたな」)

次期大統領、小さいしセコいし。どうしようもなく品がなさすぎる……。こういう動物的な行動に出る人の気持ちはわからないでもないが、最高権力者になる人、大人のふるまいの見本になるべきなのに。へんに深読みされて、ロシアとの関係から国民の目をそらす戦略的ツイートだと評価されたりするのは、幸いなのかな。笑

(ロシアとの関係の報道も……黒いものから「金色」のものまで出てくる出てくる)

メリル・ストリープのスピーチに戻ると、コメンテーターのメーガン・マケイン(父は共和党のマケイン上院議員)が、こんなツイート。

“This Meryl Streep speech is why Trump won. And if people in Hollywood don’t start recognizing why and how – you will help him get re-elected”

(「このメリルのスピーチこそトランプを勝たせた要因よ。ハリウッドのセレブがいったいなぜトランプが勝ったのかをわかろうとしなければ、彼の再選を許す」)

 

「恵まれている」ハリウッドのセレブリティが、「正しく」トランプ批判をすればするほど、皮肉にもトランプ人気が高まるという構造ですね。まさしく昨日書いた、Post Truth。

ハリウッドで起きていることは日本でニュースになりやすいのでアメリカの大部分のように聞こえたりすることもあるけれど、実はそれはごくごく一部の、特殊な、特権的な人々の世界、ということが、続くツイートをチェックしてみるとありありとわかってくる。

それでもやはり。メリル・ストリープは良識、ヒューマニティに訴える、勇気ある行動をしたと讃えたい。言葉が美しいし、スピーチはお手本にしたい。

 

 

 

img079
10日付の朝日新聞、鷲田先生。

このようなことは最近、いたるところで感じる。(以下は、触発されて連想したことなので、上の文意とは少しずれていきます、ご寛恕)

「真・善・美」を表現すると、嫌われる。「正しさ」が正しさゆえに疎んじられる。そんなものをふりかざされても生活は崖っぷち、前途まっくら。正しいことを公言されると、そうしたくてもできない人が、自分が間違っている、無視されている気になって深く傷つく。生活と環境が窮地に追い詰められていくとそんなふうに心が反応するのは当然のことなのかもしれない。

真・善・美・正・知を屈託なく表現できるのは、「恵まれた」一部の人間だけなのだ。だからそれが絶対的にいいもの、めざすに値するもの、と何の疑問も抱かず表現してしまうと、そこに至りたくても至れない人々を傷つけてしまう、という構造が生まれる。ヒラリー・ヘイター(ヒラリーを嫌う人たち)、ドナルド支持者、ブレグジット(英EU離脱)賛成者のなかにも、このように「傷ついた」または「むかついた」人が多かったはず。

 

Post-Truthとはこういうことでもあるのか。
(客観的事実よりも感情的な訴えかけの方が世論形成に大きく影響する状況。真実かどうか?などたいして重要ではなくなり、嘘でももうかればいいじゃないか、面白ければいいじゃないかという状況。OEDが2016年のワードとして選んだ)

 

真・善・美・正・知は絶対的でいいもの、表現するにふさわしいものだと思っていたとしても、表現する側は、受け取る側の影の感情にまで思いをめぐらして、そうとう繊細にやらないと、「正論に傷つけられた」と受け取ってしまう人たちから、嫌われる。どころか、不条理な攻撃にさらされかねない。

 

マリー=アントワネットによる「パンがなければお菓子(ブリオッシュ)を食べればいいじゃないの」というコメントは、彼女の世界観においては正しかった。小麦粉がないなら、小麦粉の割合を減らしてバターと砂糖を増やしたブリオッシュを作ればいい、という発想は、宮廷周辺だけで過ごしてきた彼女の世界観における、屈託のない「正論」だった。

brioche

(Still life with brioche, Jean-Baptiste-Siméon Chardin, 1763. Wikimedia Public Domain)

 

正しさを語ることができるそもそもの前提が大きくずれていたから、大衆を傷つけた。

(そもそもこのことばは、ルソーの本のなかの「ある上流階級の女性」のことばの引用であって、王妃が言ったのではなかったらしいのだが。それをマリー=アントワネットと勝手に決めつけ、憎しみの矛先を向けた大衆がいたということこそ、Post Truth。これは現代に始まったことではないのだ。)

 

現在も、正しさや善を語ることができる共通前提が、おそらく、同じ日本語圏においても、なくなってきている。それほど社会格差が広がっている。だからいっそう、慎重になり、警戒する必要がある。正直、足がすくむ。こんな時には、何も語らずやりすごすのがいちばん「無難」だ。それでもあえて真・善・美・正・知を語ろうとするとき、これまで以上に勇気と覚悟と繊細な気遣いが要るような気がしている。

 

あるいはむしろ、なにを表現しても攻撃にあうのであれば、まったく世俗とは切り離された宇宙に住んでいるかのように自由奔放に、別次元の世界の人になってしまうか。

いずれにせよ、中途半端は、淘汰されていくしかない。

成人式ですね。大学生の晴れ着姿が続々、SNSにアップされてまいります。みんな素敵!まぶしい!

新成人になられたみなさまに、心よりお祝いを申し上げます。

☆         ☆         ☆

20歳だったころ何をしていただろうかと思い出すに……今のように日常的に写真を撮るなんてこともなかった時代、アルバムはないし、もうまったくといっていいほど記憶はないのですが、幸か不幸か、旅レポーターのアルバイトは続けていました。

メキシコを筆頭に、グアム、沖縄、奄美大島など、実にいろんなところに出かけては、書いていたのです。

その頃の仕事が掲載された雑誌(レジャーアサヒ 1984年10月号)があったので、恐怖を承知で当時の記事の一部を引っ張り出してみました。33年前ですよ。笑。

img078

このときの取材のテーマは、「大井川から御前崎 ~森羅万象浴の旅にトライ!」というものでした。金谷で茶畑を取材し、奥大井で森林浴と温泉浴、御前崎で海水浴、そして締めは中部電力原子力発電所で原子力の仕組みを学ぶという知識浴の旅。

なんと20歳の私は原子力発電所の見学にも訪れていたのだった。写真を見てもまったく記憶がよみがえらない。

leisure-asahi-84-10-2

右側が私です。髪型がダサすぎるし、服が場違いすぎるしで、憤死しそうです。leisure-asahi-84-10-1右から2人目が私のはずですが、本当に行ったのかどうか、まったく記憶がよみがえらない。

現在の自分から見ると20歳のころのこのヒトはまったく別人にしか見えません。でも書いている文章を読むと、リズムがそのまんまだったりするんですよね。進歩してないというか。

 

思えばこのころから現在まで途切れず、何かを書いてくれという依頼だけは細々と続いているのでした。テーマは依頼主によって映画だったり、レストランだったり、テクノロジーだったり、演劇だったり、マナーだったり、食だったり、ほんと、さまざま。ツボにはまったのが、ファッション史だったのでしょうか。今から思うに、試行錯誤であれ、なにか行動し続けてみないと、自分が何に向いているのか、世の中のどの需要とマッチするのか、わからないものです。(ちなみに、このころは「ファッション関連のことについて書く」という未来はかけらも想像できなかった……それはこのダサすぎる格好をご覧になれば一目瞭然でしょう。笑)

 

私自身がまだまだ大成には程遠く、偉そうなことを言うことなど憚られるのですが、20歳のあなたが、「何をしていいのか、どの方面に向いているのかわからない」と感じても、あまりひとりでうじうじ悩むことはせず、まずは一歩、なにか具体的に行動してみてはいかがでしょうか。

行動して、他の人々と関わっていく中で、次第に他とは違う自分の輪郭もはっきりしてくるものです。そして新たな仕事や、予想もしなかったチャンスをもたらしてくれるのは、常に「人」、血の通った「人」なんですよね。

だからこそ、

・感謝を伝える
・常に、自分のほうが多く与える(サービスする)
・前例がなくても、こうしてあげたい、と思うことはやってみる
・決して人を貶めず、うわさ話も聞き流すだけにとどめる
・排他せず、党派に偏り過ぎず、すべての人にオープンで、裏表なく接する
・他人に依存しすぎず、距離を置くべき人とは品よく距離をとり、上手に頼り、頼られる
・八方美人はもっとも不信を買う。「あちらでもこちらでも仲良しアピール」は、長期的に見ると孤独への道まっしぐら(「あちら」と「こちら」が不仲な場合、両者から警戒される)
・口は堅く、虚栄を慎む

ということを心がけ、実践するようにしておくと、その積み重ねが「信用」につながり、長きにわたって安定して機会に恵まれやすくなるのではないかと思います。あなたが、こういう人と一緒に仕事をしたい、旅をしたい、というまさにそんな人になればよいのですよね。もちろん、武器となる能力を磨き続けることを大前提としたうえでの話ですが。

(組織のなかの処世術は、また違うのかもしれません。独立して、あるいは個人の名前で何か仕事をやっていきたいという方には有効です。)

みなさんの人生が、希望にあふれ、輝かしいものでありますように。With Love and Respect.

 

 

 

 

 

ボブ・ディランのことをほとんど知らなかったので、せめて基本中の基本みたいなことだけでも知っておこうと思って鑑賞。

 スコセッシ監督が撮った、ボブ・ディランのドキュメンタリー。”Bob Dylan: No Direction Home”

とにかく長くて途中でめげそうになるのですが、この人の音楽と、50年代終わりから60年代の社会の関係がとてもよくわかるように、丁寧に作られています。

デビュー前は人の家からレコードを無断で大量に持ち去っていったり、他人の音楽をパクッてレコーディングしてしまったり、けっこうやんちゃなことをやってるのですが、それでも「被害」にあった人が楽しげに回想しているんですよね。

ステージでは聴衆からあからさまな罵声を浴び続ける。それでも、淡々と演奏する。

ポーカーフェイスの下に隠す心中のストレスは、相当なものだったのでは。聴くに堪えぬ観客の罵声との闘い、そのステージの後に起きた事故は、無関係ではないように思える。

50年代から60年代にかけてのアメリカについては、主にハリウッドの黄金時代を通したイメージを抱いていましたが、実は、核がいつ爆発してもおかしくはないという暗い危機感のなかに人々は暮らしていた……という一面もあったんですね。

歌詞の字面以上のことを聴衆に考えさせる。これはやはり「文学」の領域。

まだまだディランの深みはわかってないと思う。とりあえず一本のドキュメンタリーから感じただけの浅いコメント、ご寛恕ください。

 

People seldom do what they believe in. They do what is convenient, then repent.(「人は、信じることなどほとんどやらない。便利なことをやる。そして後悔する)(By Bob Dylan)

 

こやまゆかりさん原作、霜月かよ子さん作画の「ポワソン」3。遂に完結。

宮廷に行くか、別れるかの賭けに出て、別れを選択したルイ王を前に、いったんは潔く引き下がったジャンヌ。涙。

そしてジャンヌを失ってみて、はじめて「愛」を自覚したルイ王。二人の覚悟の行動により、ジャンヌが正式な寵姫となるまでが描かれる。

ジャンヌの夫だったディテオールのこと、ジャンヌの母の「前夜」の教育、宮廷内の凄絶ないじめ、王妃の心の中……なまなましい多様な感情をかきたてるように書き込まれているから、ぐっと入り込める。

宮廷生活の細部のマナーもさすがの調査力で迫真性がある。

なによりも、ルイ王が、(貴族の若い美女軍団のだれかではなく)、平民のジャンヌをどうしてもそばにおかなければならなかった理由に、とても説得力がありました。

うわべだけのこびへつらいにあふれ、誰も心の底から信頼できない虚飾の宮廷にあって、唯一、本音で話すことができ、内面の感情を引っ張り出してくれ、心から信頼し、安心し、自分をさらけ出すことができた女性。それがジャンヌであった、ということ。

逆にそのような、他にとりかえのきかない人がたった一人、そばにいれば、無尽蔵の勇気がわき、八方が敵であろうと、いくらでも闘っていけるということ。

ゆかりさんも「読者の感情を引っ張り出す」ことに長けていますね。

 

ああ、でもこれで完結とは寂しすぎる。この後、正式にポンパドゥール夫人となってからのジャンヌの活躍、周囲の変化が面白いのですよね! ぜひぜひ続編を希望します。

フェアファクス公式ページの連載ブログを更新しました。

30年前の1987年にロンドンのマリー・クヮント社から送られてきた茶封筒が呼び起こしてくれた「原点」およびそこから連想したことを書いています。

mary-quant-1

こちらです。お時間のゆるすときにでもご笑覧くださいませ。

 

“They go low, I go high.” (by Michelle Obama)

あけましておめでとうございます。

1-2-2017-1

みなさまにとりまして、お健やかで、お幸せな一年となりますよう、お祈り申し上げます。横浜より、愛と敬意をこめて。

 

2日の朝のベイブリッジ方向を臨む「夜明け前」。幻想的な夜明けのギフト。「夜明け前がいちばん昏い」ということばに、思えば、幾度も助けられました。

 

1-2-2017-3

 

 

 

おおみそかのJ-wave ANA World Air Current を聴いてくださった方々から、たくさんのコメントを頂戴いたしました。ありがとうございました。

お恥ずかしながら、こちら、ANA World Air Current 公式HPにおいて、ポッドキャストでも公開されております。

 

あいづちが堅くて色気がなさすぎる(ないものはしょうがないとしても、せめてもっとソフトに)とか、話したいことは一気に話し過ぎてしまう(いったん相手の反応を待て)とか、改善点も多々見えました。できれば向き合いたくない自分の現実に向き合うのはけっして快いものではありませんが、それをやってこそいくばくかの向上も望めるというもの。

理想とする完成形にはまだまだ、はるかに遠く及びませんが、夜明けがいつか訪れると楽観して、一日一日、「昨日よりマシ」になっていけるようさらに厳しく、自身を鍛えていこうと思います。