2017年1月8日
こやまゆかりさん原作、霜月かよ子さん作画の「ポワソン」3。遂に完結。
宮廷に行くか、別れるかの賭けに出て、別れを選択したルイ王を前に、いったんは潔く引き下がったジャンヌ。涙。
そしてジャンヌを失ってみて、はじめて「愛」を自覚したルイ王。二人の覚悟の行動により、ジャンヌが正式な寵姫となるまでが描かれる。
ジャンヌの夫だったディテオールのこと、ジャンヌの母の「前夜」の教育、宮廷内の凄絶ないじめ、王妃の心の中……なまなましい多様な感情をかきたてるように書き込まれているから、ぐっと入り込める。
宮廷生活の細部のマナーもさすがの調査力で迫真性がある。
なによりも、ルイ王が、(貴族の若い美女軍団のだれかではなく)、平民のジャンヌをどうしてもそばにおかなければならなかった理由に、とても説得力がありました。
うわべだけのこびへつらいにあふれ、誰も心の底から信頼できない虚飾の宮廷にあって、唯一、本音で話すことができ、内面の感情を引っ張り出してくれ、心から信頼し、安心し、自分をさらけ出すことができた女性。それがジャンヌであった、ということ。
逆にそのような、他にとりかえのきかない人がたった一人、そばにいれば、無尽蔵の勇気がわき、八方が敵であろうと、いくらでも闘っていけるということ。
ゆかりさんも「読者の感情を引っ張り出す」ことに長けていますね。
ああ、でもこれで完結とは寂しすぎる。この後、正式にポンパドゥール夫人となってからのジャンヌの活躍、周囲の変化が面白いのですよね! ぜひぜひ続編を希望します。
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