ボブ・ディランのことをほとんど知らなかったので、せめて基本中の基本みたいなことだけでも知っておこうと思って鑑賞。

 スコセッシ監督が撮った、ボブ・ディランのドキュメンタリー。”Bob Dylan: No Direction Home”

とにかく長くて途中でめげそうになるのですが、この人の音楽と、50年代終わりから60年代の社会の関係がとてもよくわかるように、丁寧に作られています。

デビュー前は人の家からレコードを無断で大量に持ち去っていったり、他人の音楽をパクッてレコーディングしてしまったり、けっこうやんちゃなことをやってるのですが、それでも「被害」にあった人が楽しげに回想しているんですよね。

ステージでは聴衆からあからさまな罵声を浴び続ける。それでも、淡々と演奏する。

ポーカーフェイスの下に隠す心中のストレスは、相当なものだったのでは。聴くに堪えぬ観客の罵声との闘い、そのステージの後に起きた事故は、無関係ではないように思える。

50年代から60年代にかけてのアメリカについては、主にハリウッドの黄金時代を通したイメージを抱いていましたが、実は、核がいつ爆発してもおかしくはないという暗い危機感のなかに人々は暮らしていた……という一面もあったんですね。

歌詞の字面以上のことを聴衆に考えさせる。これはやはり「文学」の領域。

まだまだディランの深みはわかってないと思う。とりあえず一本のドキュメンタリーから感じただけの浅いコメント、ご寛恕ください。

 

People seldom do what they believe in. They do what is convenient, then repent.(「人は、信じることなどほとんどやらない。便利なことをやる。そして後悔する)(By Bob Dylan)

 

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