『英国貴族のすべて』(宝島社)。数人の執筆者による解説と豊富な写真。

ダウントンアビー(主にシーズン1~3)を例にとりながら、イギリスの貴族の相続問題、階級、テーブルマナー、呼び方、ファッション、結婚、使用人の序列と仕事内容、給与明細など、美しい写真とともに解説されています。2016年2月15日発行のムック。

しかし、「ファッション」の項目は、恐縮ですが、間違いが目立つのです。スルーしておいてもいいかとも思ったのですが、これを参照するファンも多く(FBのダウントンラバーズのウォールでも紹介されていました)、やはりこの記述はあまりにも……と思うところがありましたので、ダウントンファンのみなさまのために、指摘させてください。

 

69ページ。


真ん中あたりのキャプションに、「パーティーの正装では色が派手なものを着用することも」と、あたかもグランサム伯爵らがおしゃれで赤のジャケットを着ているように書かれていますが、そうではなく、この赤いジャケットは「メスジャケット(またはメスドレス)」と呼ばれるもので、将校がディナー時に着用した、フォーマル用の「制服」の一種です。将校は実に多種類の制服を着分けており、メスジャケットも「NO.10」などとも呼ばれた制服の一種です。グランサム伯爵もマシューも陸軍将校でしたね。

Mess-Jackets
さらに同ページ上、伯爵が羽織っているマントのキャプションに「日本ではシャーロック・ホームズが愛用するコートとして有名なケープ状の袖なしコート。正式にはインヴァネス・コートと呼ばれ、英国紳士の洒落た上着として愛された」と書かれていますが、そうではありません。インヴァネス・コートは長いコートとケープが二重になったコートです。伯爵がメスジャケットの上に羽織っているこのケープもまた、将校用のクローク、軍服の一種ではないでしょうか?(名称はいま探し中です。軍服に詳しい方どうぞ教えてください)。メスジャケット、クローク、ともに将校の軍服であって、「洒落た上着」などではないはずです。

そもそもインヴァネス・コート(インヴァネス・ケープとも呼ばれます)は、このタイプです。

ちなみに、エリザベス女王も海軍将校のクロークを着た肖像画を残し、写真も撮らせています。このクロークはGieves & Hawkes製。

上は、One Savile Row: Gieves & Hawkes (Flammarion)が紹介する、1930年代の軍服のインディケーター。将校は時と場面に応じてこれだけの種類の制服を揃えなくてはならなかったのですね。これは海軍の場合ですが、「Full No.1」「Undress No.9」「Mess Dress No.7」などと書かれたその下には、細部のアクセサリーにいたるまで何を装着すべきかが指示されています。

ほかにも本書には疑わしい記述がありますが、今の段階では「確たる根拠」を提示できないので、もやもやのままにしておきます。

レディスファッションの記述も怪しいです。漠然としすぎているというか。「現代日本人女性が結婚式やパーティーで身にまとう華やかなドレスが普段着だった。いや、それよりもさらにゴージャスだったと言っていい」「高貴かつハイセンスなものが求められた」って……。この時代、この階級ならではの服装の特徴やルールの解説、具体的な名称がほしかったところです。

一つが疑わしくなると、ほかの箇所の信憑性もやや不安になってきますが……。コンセプトはとてもいいと思うので、続編を作られる際はぜひ、細部の正確さを徹底させたものを出していただきたく、心よりお願いしつつ、楽しみにしています。

いい点も書きます。この本のなかでの最大の発見は、チャーチルの母ジャネット・ジェロームについてのコラムでした。アメリカの新興成金の娘である彼女は奔放で、結婚後も夫より地位の高い男たちを愛人にもち、そのネットワークを息子や夫の出世に利用したとのこと。そして夫の死後は、若い男性との恋に生き、二度目の夫はチャーチルと同じ年、三度目の夫はさらに三歳年下だって。かっこよすぎますね。(ほんとうだとしたら。)

Ferragamo Signorina in fiore 発表会にお招きいただきました。22日、パラッツイオ・ドゥカーレ麻布にて。2.22.2017.4

シニョリーナシリーズからの新バージョンです。トップは梨シャーベットと柘榴、ミドルに桜とジャスミン、そしてラストノートにサンダルウッドとホワイトムスクが香ります。2.22.2017.3

ロマンティックでフェミニンな印象に仕上がっています。恋の喜びに輝く華やかな笑顔の女性がイメージされています。

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調香師のエミリー・コッパーマンが来日、発表会後に、小一時間ほどインタビューの機会をいただきました。

エミリーはとてもフレンドリーな女性で、なんと4児の母。下は5歳から上は18歳までの子育て真っ最中。

この日は、インタビューとプレゼンテーションが続くハードな一日で、その最後の仕事だったらしいのですが、まったくお疲れも見せず、終始、明るい笑顔を絶やさず丁寧に答えてくれました。

2.22.2017.5

以下、インタビューを通して伺うことができたことの一部。

・最近の香水のトレンドは、「ソルティ」。エダマメ(英語でもエダマメなんです)やピーナッツ。あるいはプレッツエルのような、塩っぽくて甘さもあるというのがトレンド。「グルマン」系の香りの延長にある。(今回のシニョリーナはソルティではありません、念のため)

・薔薇は多くの香水のベースになっているが、とても大きな可能性を秘めており、異なる香料を掛け合わせることで、まったく思いもよらなかった顔を見せる。男性用の薔薇の香水は、その点、チャレンジのしがいがある。掛け合わせるハーブなどによって、きわめてマスキュリンな局面が現れてくる。

・今回の「シニョリーナ」には主張の強い花を一切使わなかった。強く主張しすぎず控えめな、甘く優しくロマンティックな女性を意識した。(これは日本の男性が女性に求める要素そのままですね、という同席の男性ジャーナリストからのツッコミ)

・桜の花じたいは、香らない。香料として使うときに大切なのは、「桜のフィーリング」。ウォータリーでパウダリー、というのがエミリーの桜に対するフィーリング。

・香水は、パーソナリティとキャラクターをまるごと表現するものであり、「souvenir of memory」。その香水をかぐだけで、その人のことすべてが思い出される、エモーショナルなもの。(everything!とエミリーは強調)

エミリーとともにパーティー会場に戻り、どさくさにまぎれてフォトスポットで撮影。

 

Salvatore Ferragamo Signorina in fiore オードトワレ インターモード川辺より3月1日発売です。

 

 

  細切れの移動の途中に読みました、『壇蜜日記』1,2,3。文春文庫。この人の言葉のセンスが抜群に好きだし、自意識のあり方とか人の観察のしかたなど、おそろしく共感できる。

『壇蜜』を演じる、冷めていて地味な女性像(ひょっとしたらこれもまた演じられているのかもしれないが)には惹きつけられる。

じくじく、うつうつ、表現したくても立場上、のみこむしかない怒りや精神的な苦痛、悲哀に襲われた時など、気持ちを代弁して、昇華してくれるようで、読んでいるだけで救われる。

 

 「昔は『良い子』にしていたらプレゼントがもらえた。今は『イイコ』に思われると『イイコぶってんじゃねーよ』と罵声を貰える」……わかりすぎる。笑

「高くていいものを身につけていると揶揄されるが、安いものを身にまとっていると相手にされないこともある。忙しいと言えば金を持っていると決めつけられるが、暇だと言えば干された干されたと熱心に追いかけまわしてくれる」……これもほんと、あるある。

世間の非情を淡々と受け流し、自分に対するひどい中傷をどうすることもできずに受け止め、痛みの感情と静かにつきあっていく。共に傷をなぐさめあえる戦友というか親友ができたような錯覚を覚える。SNSでBFF(Best Friend Forever)アピールするきらきら女子の対極にあるメンタリティですね。もっとたくさん書いてほしい。

 

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町を訪れました。「ラグジュリー・コレクション」と謳うだけあり、都心にありながら別世界にいるような贅沢な時空を体感できる、あらゆる意味で最先端のホテルでした。ホテルのデザインは、マドリードのデザインディレクター、エヴァ・ロンゴリア。

紀尾井町のガーデンテラス・タワーの30階から36階がプリンスギャラリー。この日はクラブフロアの34階でした。

館内はなんともいい香りがして、聞いてみると、プリンスギャラリー専用のオリジナルアロマを漂わせているとのこと。樹木の香りにフランキンセンス、さらにベルガモットなど柑橘系の香りもブレンドされています。フロントでも購入できるとのことでしたので、即決で購入しました。笑。 フランキンセンスはキリスト生誕のときに東方の三賢者が贈った3つの贈り物のひとつ。なにか清められるような感覚があり、脳内から神聖な世界へ連れていってもらえます。

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部屋に入ると、統括総支配人の武井久昌さまより、ウェルカムフルーツが届いていました。感激! ありがとうございます。

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ツインルームで42㎡、ベッド幅もたっぷりのゆとり。

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窓際はこのような作りになっていて、ガラス越しとはいえ、外の景色とダイレクトにつながり、天空のなかにいるような感覚を味わうことができます。

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見下ろすと、真下には衆議院と参議院、それぞれの議員宿舎が見えます。

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室内の家具は、テレビをはじめとして最先端のテクノロジーとデザインが駆使された高級品で、場所をとらないのにきわめて効率のいい働きをしてくれます。悠々とリッチなバスルームの壁はガラスばりで、明るく広々とした印象をさらに強めていますが、スイッチひとつでくもりガラスに変わり、入浴時には外から見えなくなります。今はこんなことまでできるんですね。

ホテル内の説明はすべてアイパッドひとつでスマートにわかるようになっていますし、ルーム内のあらゆるスイッチもハイテクなタッチパネルになっています。シンプル&リッチ。

2.18.3

アメニティは高級スパラインのRemede(ルメードゥ)。これでシャンプー&トリートメントをすると、つやつやでコクのある髪になります。ボディローションの香りもアロマティックで癒されます。

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女性用の基礎化粧品セットをお願いしたら、なんと資生堂最高ラインのクレ・ド・ポーのミニサイズのセットが! 嬉しすぎます。

表面だけを見ると一切の無駄も余分な装飾もないのですが、引き出しや扉をあけるとゴージャスな食器や調度品などが収められていて驚きます。お茶のセットが入った引き出しには、南部鉄器の急須が。

2.18.26

東京の絶景を眺めながらのクラブラウンジも居心地がよく、カクテルタイムには、ルイ・ロデレールのシャンパーニュはじめ、おいしいワインとお料理やおつまみが用意されています。

2.18.14
夕食は「蒼天」でお鮨をいただきました。ここはほかにも鉄板焼きはじめ多種類の日本料理を扱っています。鮨専用カウンターは、アーティスティックなインテリアで天井も高く、なんともよい空気感。しかも、お鮨にあうワインの品ぞろえも豊富で、これはワイン派にはなんとも嬉しい限りです。今回は、シャブリとともにいただきました。好みや苦手に合わせてスマートに最高のディナーを供してくださった東山淳二さん。大満足でした。

2.18.18
2階分を吹き抜けにしたスカイラウンジ、レヴィータは、天井から床まで光の滝が流れているようなイリュージョンを見せてくれます。外国からのゲストも多く、多国籍というか無国籍な雰囲気。

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フロントのインテリアはじめソファや椅子の配置においても、過剰な装飾は一切ないのにすべてが上質なのであかぬけた品格があるという、現代のラグジュリー感覚を押えた王道をいっている印象。英語でいう、Sleekな感じ。なめらかで優雅で最先端感がある、というような。

2.18.15
スパには、ガラス張りのプールや浴場があり、サウナからも外を見ることができる作りなので、閉塞感とは無縁で、別天地のリラックス感が堪能できます。邪魔にならない程度のBGMが流れているんですよね。タオルやバスローブの感触もよく、エステルームから香るスイスの高級化粧品ラインの香り(たぶん)も心地よいので、五感すべてがおもてなしされている感覚に満たされます。

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就寝前に部屋に戻ると、総支配人の大森伸翁さまからのメッセージとともにチョコレートとお菓子が用意されており、あたたかな気持ちで眠りに入ることができました。

翌朝は、ビル群の向こうに見える東京湾からのぼる朝日を眺めながらのスパと朝食。

2.18.23

交通費をかけず、遠いところまで旅行に行って帰ってきたようなトリップ感を楽しめました。ザ・プリンスギャラリーのスタッフのみなさま、心づくしのおもてなしをありがとうございました。2月もあと1週間、よいエネルギーをチャージできて、なんとかがんばれそうです。現代における最先端のラグジュリー感覚も体感できました。今後の仕事にも生かしていきたいと思います。

3時間近い映画ということもあって、ついつい後回しになっていたが、ようやくDVDで観終る。クリストファー・ノーランの「インターステラー」。

想像を超える宇宙の世界の映像化。本格派のハードなSFとしてもハイレベルであることは素人目にも伝わる。それに加えて骨太な愛と、一縷の希望の物語。次元を超えてつながる(つなげる)父娘の愛があまりにも切なく最後は深く大きな感動に包まれる。壮大な時間と空間と重力と5次元と人間の物語の結末には、しばらく放心状態になる。

 

映画の中で引用される、ディラン・トマスの詩。暗記しておきたい力強いフレーズですね。

Do not go gentle into that good night; Old age should burn and rave at close of day. Rage, rage against the dying of the light.  (Dylan Thomas)
(「おとなしく夜を迎えるな 賢人は闇にこそ奮起する 消えゆく光に対して果敢に挑め」)

Mikimoto 展示会にお招きいただきました。14日、銀座ミキモトビルにて。

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花びらをジュエリーで表現したMikimoto Petales Collectionより、Ginza バージョン。といえば花の種類は当然、桜ですね。Les Petales de Ginzaは、桜がテーマ。ピンクゴールドでかたどった花びらに、ダイヤモンドをちりばめてあります。花びらがひらひらと舞い降りていく情景を表現しています。

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この写真では、ゴールドとダイヤモンドの繊細さがわからないのが残念ですが……縁のほうまできらきらとダイヤモンドが輝き、視線が吸い寄せられていきます。

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ジュエリーをひきたてるデコレーションにも、「花びら」モチーフが随所にあしらわれ、一足早い桜の季節を堪能させていただいた気分です。

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ハイジュエリー部門も逸品ぞろい。下は、とりはずしてブローチにもなる、和の花をかたどった繊細なジュエリー+パールネックレス。

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おみやげは、今話題のChocolatinesのチョコでした。J-Waveの別所さんの番組で話を聞いた時から気になっていたので、タイムリーな出会い。シカゴのショコラティエ、和田理恵子さんの作る高級な「宝石」チョコで、アカデミー賞受賞式のおみやげにも使われているそうです。宝石をイメージした8種類のチョコの中から、「ダイヤモンド」を選んでいただきました。容器が指輪のケースのよう。開けると中にはシャンパントリュフ味の「ダイヤモンド」をイメージしたチョコレート。お味も見かけを裏切らず、ハイグレードでした。

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“Mad Max Fury Road” 観るのは3回目だが、やはり神話的なので、進路に迷ったときにインスピレーションを得られる。さらに、細部までとことん凝ってサービスする映像に救われる。

“Where must we go, we who wander this wasteland, in search of our better selves?” -The First History Man

冒頭のことばから、すっと神話の世界に引き込まれる。

あとは「怒りのデスロード」にして、「神話のロイヤルロード」。前方に進み続けても生存の望みが薄いならば、逃げてきた世界へ戻るしかない。途中の道を闘い抜いていくならば、元の世界へ帰ることはけっして同じ世界への逆戻りではなく、ヒーローとしての帰還となる。仲間を救う宝と自分を取り戻すアイデンティティをおみやげに。

小人症の俳優の扱いもいいし、闘う老婆、火を噴くギターマンなど、愛すべきキャラがふんだんにちりばめられているところも魅力。

今回、あらためて、いいセリフだなあと感心したのが、

“Witness me!”

War Boyが命の全てをかけて戦う瞬間に叫ぶ、最後のセリフ。生きて、闘った自分の証人となってくれ、というような。

SNS時代は、なんでもかんでも ”Witness me!” ですね。ランチも、すてきな旅行も、「友情」までもが、”Witness me!”  。(皮肉ではなく、そういう状況だという事実の指摘)

そんなこんなのロマンチシズムは、イモータン・ジョーの一言で片づけられてしまいます。

“Ah, mediocre.”

ありきたり。

 

そういえば今日はバレンタインデーですね。Global Japanese Studiesの私のプレゼミ(教養講座)ボーイズには、「チョコをそわそわ待つというような受け身の男になるな。グローバル基準でいけ。花を贈れ。自らアクションを起こせ」という趣旨の指導をしております。

他人の行動に期待してがっかりするよりも、自ら行動を起こした結果のがっかりを経験するほうが、はるかに成長できます。

(もちろん、思いがけずプレゼントをもらったら、最大限に感謝し、喜べばよいのです)

街中で、恥ずかしそうにバラの花束を抱えた大学生を見かけたら、心の中で応援してやってくださいね。

“What a lovely day.”

 

 

 

などと冷めたことを言っていましたら、午前中に、宅配便のお兄さんが続々と花やチョコレートを届けてくれました。読者の方や教え子や弟子たちから、あたたかなメッセージとともに、お心のこもったプレゼントを頂戴しました。嬉しいです。ほんとうにほんとうにありがとう!

What a lovely day. Happy Valentine’s Day.

 

2.14.2017.4

ヴィスコンティ「家族の肖像」デジタルリマスター版が、11日より岩波ホールで上映されます。

10日(金)朝日新聞、11日(土)読売新聞に掲載される広告のコピーを書きました。

家族の肖像 コピー

39年前の映画ってこんなにもゼイタクだったんですね。スカッとするとか感動するとかというわかりやすいフィールグッドな感情は与えてくれません。この世の人とは思えない美男美女が、ゴージャス極まりない衣装に身を包み、圧倒的に美しいインテリアの中で、不快な、あるいは掘り起こされたくない感情を、ぐいぐいえぐってきます。見るだけで心が鍛えられそうです。

表層だけ無難な「いい人」をやりあっている人間関係にげんなりしている人は、倒錯した快感を味わえるかもしれません。ヴィスコンティは、クセになります。

kazoku no shouzou pic

 

シルバーナ・マンガーノが着る衣装の数々を見るだけでも眼福です。このファーを見よ。フェンディと衣装デザイナー、ピエロ・トージとのコラボ。今回のデジタル修復版は、2013年にフェンディがミラノに新旗艦店をオープンした際の記念プロジェクトの一環として制作されています。

kazokuno 2

明治大学リバティアカデミー 2017年度春期講座のご案内です。

「時代を切り開いたスタイルアイコン: そのスタイル・言葉・行動から今日を生き抜くヒントを学ぶ」

5月24日(水)19:00~20:30

中野キャンパスでの最後の公開講座になる予定です。

一方向のレクチャーではなく、小人数で、参加者のコメントも聞きながらすすめていきます。

ご案内はこちら。申込み開始時には、またアナウンスさせてください。

 

年末に日刊工業新聞より受けていたインタビューが、記事になりました。

「わが友 わが母校」、大学時代の思い出を語るコーナーです。どさくさにまぎれて、アークコミュニケーションズ社長、大里真理子さんに登場をお願いしました。アークコミュニケーションズさんには、このウェブサイトを作ってもらっています。

(写真は、23歳ぐらいのときの、ある結婚式の二次会です。リボン&ロングヘアの真理子さんというのは今のバリキャリな姿との相当なギャップがあるし、私のキモノというのもどこかのクラブのマダムですかという)

 

つないでくださったのは、明治大学国日OGで日刊工業新聞社勤務の月岡亜梨沙さんです。なんだか最近は卒業生に引き立ててもらうことが多い。時間を経てつながるご縁というのは、またひときわうれしいですね。ありがとうございました。

nikkan kogyo

 

会員登録が必要にはなりますが、こちらの公式サイトでもご覧になれます。

昨年の秋におこなわれました銀杏会での講演会の概要レポートです。銀杏会 

銀杏会 3銀杏会 2細部まで詳細に再現してくださっていて、恐縮です。

ほとんど字が小さくて見えませんね。ごめんなさい。「ファッション学」のところだけ、以下に抜き出します。

【ファッションを「時代を、社会を、人を、あなたを形づくるもの」と定義している。「あなたを形づくる」構成要素を考えると、職業や社会的地位もさることながら、服/ヘア・メイク・グルーミング、食事・睡眠・生活習慣、ことば・教養・知識、立ち居振る舞い・表情・作法、つきあう人・住む環境、政治や経済がつくる社会環境、本・映画・音楽、マインドが大事である。こう考えると段々倫理学に近くなってくる。心の持ち方が変わると人は見え方も変わる。学生の成長を見ているとそう実感する。「InputOutputを繰り返す、ActionReflectionを繰り返す、SocialSolitudeを繰り返す、Be PreparedChallengeを繰り返す」ことにより人はアイデンティティが強くなっていく。学問の最終目標は「想像して愛すること」。異文化を受容して理解して愛すること。ひいては世界平和のためにあると思っている。】

 

青臭くてしつれいしました。

 

ところで、銀杏は英語でGinkgo 。ぎんなんは、Ginkgo nutと表現します。

まるまる一日かけて書いた原稿2000字分が、ワードの唐突な不調で飛んでしまう。復元を試みるも出てこない。よく書けたはずのものにかぎってなぜか残っていない。結局、思い出しながらアナログ復元。パニックになるしぐったり疲れるし、もっといい表現をしていたはずだとかあの構文は傑作だったのにとかあれこれ「過去」を思い出しながら書くのでよけいストレスがかかる。

まあこんな日もある……。こういうときはいったんそれを離れて、新しい気持ちで書きなおすに限る。

melancholia

 

休憩のために、昨日DVDで観たラース・フォン・トリアー監督の「メランコリア」の感想でも書きます。(活字原稿の疲れは書きたい放題のブログで癒すパターン。笑)文章は書きなぐりのうえ、ネタバレありなので、これからご覧になろうという方は読まないでくださいね。ご覧になった方も、オカルト?ありなので、適当にスルーしてね。

 

第一部、自分の結婚式で周囲の小さな悪意や「いい人」の無神経やプレッシャーにやられていき、徐々に崩壊し、最後は病いの極致の症状をまきちらして、仕事も夫も、おそらく自分自身もなくしてしまうジュスティン。鬱(メランコリー)に押しつぶされるヒロイン。ゲストも不快になるし、観客もいらつく。

 

そして第二部、惑星メランコリアの衝突を前に、裸体にメランコリアの光を浴び、目に光を宿し、力を得て強くなっていくジュスティン。「まとも」だった姉夫妻が右往左往して状況に負けていく。

最後の圧倒的な光と音。「ハッピーエンド」とトリアー監督は言っている。鬱(メランコリア)とともに華麗に砕け散る。ほかに類が見当たらないカタルシス。これまでにこれと似た感情を味わったことがない。破壊にして絶対的な無。

冒頭のシーンと最後のシーンは、何度も何度も観たい。定義不能な、美しいカタストロフ。

“Life is only on Earth. And not for long.”

どこにも逃げ場のない、すべての終わりが迫ったとき、あなたはどのように迎えるのか?ということを問うようなラストシーンでもある。ともに手をつないで迎える人がいたらハッピーエンドなのかもしれない。「スターウォーズ ローグワン」もそんな終わり方だった。

 

これがたんにSFに思えないのは、Nibiruのことも頭の片隅にかすかにあるから。NASAは否定しているようだし、日本でもほとんど騒がれていないし、なんだかそんなことを書くとオカルト系のことを信じる人みたいに見られるのがアレですが。

Nibiru Apocaliplse が一部のメディアで根強く報道され続けています。

nibiru

私が去年、カリフォルニアで目撃した二つの太陽 (写真ではわかりにくいですが、左のほうに太陽に似たものがもう一つ見えています)。あれもひょっとしたらNibiruではなかったのか? などと想像するのはちょっとワクワクすることでもあり。

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Nibiruが迫りくるのかどうかはわからないけれど、絶対に来ない、ということも断言できないはず。そんな生々しい不安だか期待だかを感じながらMelancholiaの名シーンを反芻するのも味わい深い……。

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敏腕コーディネーターMさん主宰の、春の訪れを祝う食事会。西麻布「ラ・ボンバンス」の個室にて。

セキュリティーの専門家、弁護士、著作権交渉専門の会社社長、フラワーコーディネーター、ドイツの家電販売会社社長などなど、多彩な分野の方々が8人。話が合わないということはなくて、なにかの分野を徹底的にきわめ、突き抜けた人の話は、どこかで通じ合うものがあるし、自分の世界とはまったく異なる視点に、はっとさせられ、学ぶことも多い。ぬるま湯でぼやぼやしてはいられない。とても刺激を受けた会でした。

日本における暗号解読・セキュリティーの第一人者の話がとりわけ興味深かった。日本人は自分の目に見える範囲の世界では細かすぎるくらいに法整備もするし、きめこまかくケアをするのだが、その外側になると、とたんにどうでもよくなるのか、無防備になる、という。なるほど、いたるところで実例が。

ドイツ家電会社社長による、スイスのボーディングスクールの話も面白かった。スイスのボーディングスクールの学費は年間1500万円。世界各国のVIPの子弟を集めている。このことが、結果的にスイスの防衛になっているという(VIPの子弟がいるところには攻撃できないので)。

 

bombance
「ラ・ボンバンス」はミシュランの星つきの創作日本料理レストラン。「ボンバンス」にはおなかいっぱい、というニュアンスも込めたという。日本料理を食べた後に「もう一軒、ラーメン食べにいこうか」とならないよう、豊富な高級素材をたっぷりのボリュームで供してくれる。メニューも楽しく、暗号になっているんですね。みんなでワイワイ解読しながら、何が出てくるのかワクワク楽しめるのもいい。

 

 

ラグジュアリーホテル界に、近頃、プリンスホテルの勢いを感じさせるニュースが多いなあと思っていました。ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町ラグジュアリーコレクションホテル、ザ・プリンスパークタワーのラグジュアリーな改装、そしてグランドプリンス高輪内の和風旅館風「花香路」。

やはり積極的に仕掛けていらした方がいたのですね。株式会社プリンスホテル、東京シティアエリアの統括総支配人の武井久昌さんです。

光栄にも武井さんからじきじきにお声掛けをいただき、ホテル変革のお話を伺う機会に恵まれました。

折よく、ザ・プリンスパークタワー東京の最上階にあるレストラン、プリーズヴェールに3日間のみフランスのMOFシェフ、マルシアル・アンゲハール氏が来日しており、アンゲハール氏とプリンスのシェフ、吉田功さんのすばらしいコラボレーション料理を楽しませていただきました。

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2.3.2

食事をしながら写真を撮るのも憚られたので料理の写真も店内の写真もなくてゴメンナサイなのですが、ここは昔の「プリンスホテルのレストラン」の無難なイメージ(失礼だったらごめんなさい)を激しく裏切る、超ラグジュアリーでセクシーなレストランに変貌していました。東京タワーが間近に見える夜景も申し分なしです(下の写真は、同じホテルのクラブラウンジから見える東京タワー)。バレンタインやプロポーズのときなどに「成功」を約束してくれる勝負レストランとしても頼もしいと思います。

2.2.3

アンゲハール氏の特別料理は4日(土)まででしたが、このブリーズヴェールには、ここでしか味わえない特別なオリーブオイルがおいてあります。スペインのマドリードの2つ星レストラン「サンセローニ」のために作られたオリジナルブレンド、「カスティージョ・カネナ エキストラバージンオリーブオイル」。熟すまえの若いオリーブを詰んでから4時間以内に絞ったものだけを厳選してブレンドされたというだけあって、青みのあるフレッシュなオリーブの香りがそのまま。オリーブオイルの常識が覆されます…。日本ではこのホテルでしか味わえないという別格のオリーブオイルです。

2.2.5

 

ホテル業を支える方々の努力や工夫を知り、また、これからの企業のあり方や人の働き方に関してもリアリティのある話を伺うことができて、たいへん刺激を受けました。客としてサービスを受けるばかりでしたが、これからは支配人の視点もとりいれて細部を観察してみようと思います。

2.3.1

武井久昌さま、マルシアル・アンゲハールさま、吉田功さま、ブリーズヴェールのマネージャー・ソムリエ中島正博さま、シェフソムリエの市村義章さま、マーケティング統括支配人の林佳代さま、マーケティング戦略リーダーの高木聖香さま、濃密な時間を楽ししみながら新しい視野を広げていただきました。ありがとうございました。

 

2.2.2

卒業して数年経ったルーマニアからの留学生の教え子が、日本文化やアートに関する記事を書くライターとして活躍しています。そのMs. Cezara Miclea が、私のインタビュー記事を書いてくれました。ルーマニアのアートサイト、Art Outに掲載されました。

ちょっとこっぱずかしいですが。愛情を注いできた教え子と、卒業してから時間が経っても、国を隔てても、思わぬところで、こんな形でつながることができるのは、とてもありがたいことですね。Thank you, Cezara.

cezala

 

自画自賛っぽくて恐縮ですが、前文では、こんなふうに紹介してくれています。あつかましく、以下にコピーさせてください。奮闘してきたことや思いが少しでも伝わっていたんだと感じられて、嬉しいです。電池切れしそうでしたが、あと少し、がんばれそうです。

“Professor Kaori Nakano is teaching fashion at Meiji University in Tokyo. I met her six years ago, when I chose her course about fashion at the same university, and she doesn’t cease to amaze her audience with her enthusiasm, her love for fashion, and her charm. She loves teaching and partying, and she is considered the leading expert in Dandyism and Gentlemanship in Japan. “