新しい香水の情報に日々接していても、切れて何日かすると落ち着かなくなる定番フレグランスがあります。最近のそれは、イタリアのイル・プロフーモの「ローズ・セクレ」。もう5本目くらいになります。昨年の南青山の「薔薇講座」でもご紹介した香りです。

(誰にも嫌われない香り。というか、そういうものを選ぶから、誰にも好かれないのかもしれないな。)

先々週、紀尾井町ついでにニューオータニのアーケード内ににある「アパルトマン・アルケミスト」に立ち寄り、買い足しにいきましたら、このような試香用のリングをつけてくださいました。薔薇の形に織り上げられたリボンが、ムエットになっています。

 

さて。以下、さわやか系ローズとは対極にある、印象的な香りに出会ったので、そのメモです。

この店(アパルトマン・アルケミスト)は、かのスーパー・ニッチなNY発の香水ブランド「アエデス・デ・ヴェヌスタス」も扱っているのですが、その新作をご紹介いただきました。その名も「パリサンドル・ドール(Palissandre d’Or)」。黄金のローズウッド(紫檀)。

ローズウッドとは木材です。赤茶色で、虫がつきにくく長持ちする硬い香木で、家具や仏壇などに使われてきました。パリサンドル・ドールという名前から、この場合、インド産の、幻の「黄金の貴重な香木」をイメージしていただきたい(これは私の勝手な連想ですが)。

調香師はアルベルト・モリヤス。ピンク・ペッパー、コリアンダー、シナモン、スリランカの稀少なローズウッド、パチュリといった濃厚でスパイシーオリエンタルな香料がブレンドされています。エキゾチックでスモーキーながら高級感のある、強いパンチ力をもった香りです。「一度かいだら忘れられない」系。Love it or Hate it.

中途半端なパーソナリティではつけこなせませんが(香りに負ける)、一瞬で別世界につれていかれる。さすがのアエデスでした。

 

ちなみに、私は大学でおこなっている「ファッション文化史」の講義のなかに、一コマ、香水の歴史の話を取り入れています。古代の宗教儀式で使われた香りの話から始まって、中世、近世、現代を経て21世紀のニッチフレグランスまで。20種類くらいの香水を実際に試香しながら学んでいく、通年のレクチャーのなかではいちばん人気の高い回なのですが、男女ともに学生が意外と食いつくのが、このブランドの「ウイエ・ベンガル」なのです。「カーネーションになりたかったバラ」というコンセプトとともに試香してもらうと、その複雑なイメージが一瞬にして鮮やかに理解でき、香水の世界をもっと学びたくなると好評です。

この「パリサンドル・ドール」の、とりわけ時間が経ってからの印象も文学的。いやしかし「教材」には難度が高すぎるかな。

0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です