Precious 4月号 発売です。

ディオール・プレステージのページに、「美容の本質『印象美』を極める」というエッセイを書きました。昨年末、来日したディオールの科学ディレクター、ジャービス氏と、神経科学のエキスパート、オーベール博士にインタビューした内容が元になっています。

電車の中での化粧はなぜダメなのか?

そもそもなぜ仕事に行くのにメークをしなくてはならないのか?

若々しさの印象を与える肌とはどのようなものなのか?

なぜフランスの女性は高齢になってもセクシーなのか?

という質問に対する、とてもフランス的なお答え。きまじめな回答ばかりを期待しないでくださいね。このような視点もある、という、ひとつの見方として。

多々ある情報をもとに、各自が自分で考えて(これを怠って思考停止になり、右ならえで同じ方向に走ることがいちばん危険)、行動の方向を見出していただければ幸いです。

お手にとる機会がありましたら、ご笑覧くださいませ。

 

 

本誌ではコスメに関連した話のみに絞ったのですが、「印象美」というコンセプトに関する私の考えを少し書き足します。

エフェメラの美とか、一瞬で心を奪う美、性的な誘惑につながる美というものもたしかに存在します。

その一方、見る人の心の中で蓄積されていく美というものも確かに存在します。この場合の美しさは、信用と同じ。その人のふるまい、姿勢、言葉、態度などすべてが記憶のなかで蓄積されていった結果、表層の形を超えて、見る人の心の中で「この人は美しい」という印象が築き上げられる。この種の印象美は、時間とともに失われることはなく、むしろ、時を経れば経るほど確かなものになっていく種類のものです。

ロールモデルのひとりは、故・木村孝さん。90歳を超えても常にお着物で凛と背筋を伸ばして、美しい日本語を語り、亡くなる直前まで仕事を続けていらっしゃいました。この方の仕事を長年にわたって見てきた読者やファンの心の中に、孝さんの存在そのものが「美しい」印象として蓄積されています。

若さと美貌でちやほやされるのはほんの一瞬。また次のフレッシュな人が登場すればあっさりと飽きられます。

その後の長い長い一生の間に、心がけ次第で美しさの印象を積み重ねていけると多くの人が信じられるならば、高齢化に向かう世の中の景色も美しくなるはず。

 

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