今シーズンはDVDを購入せず、Netflixの配信ですべて観ることができました。Downton Abbey Season 6にして完。

1912年のタイタニック号沈没のニュースから始まり、1926年のハピー・ニュー・イヤーを迎えるまで。およそ14年間にわたるダウントンでのヒューマンドラマの、一応の完結に感無量…。

最後はバタバタと全員がハッピーエンドになった感があるが、ここにくるまでのあれやこれやの不運や不幸や困難を思うと、余韻ひとしお。きわめて「イギリス的」な幸福に対する考え方に貫かれていた終わり方だったように思う。

バローさんの孤独と不安と悲しみ、それをクールに押し隠した誇り高さがとても他人事とは思えず、この人がいちばん共感できたキャラクターだった。最後はほんとに……万事解決でよかった。

間の悪いモールズリーさんも、地道な努力が報われてよかった。教室でのスピーチには泣けます。

離れてみて、ほんとうの家族の絆を再発見したトム。(なんだか大きくなりましたよね、物理的に)

臆病からイーデスに意地悪をしたりしたけれど、ついに自分自身の心と和解して、妹のためにひと肌ぬいだメアリー。この人の、ずばずば本音や核心を言う態度が好きだった。

バイオレットおばあさまはいつだって「人間」をわかっていて、痛快だったな。バイオレットおばあさまの名言集もすでにあちこちに出ているが、辛辣で笑える。「過去」との清算のつけ方も男前だった。なんにせよ、あやふやにしておいてはだめ、という態度でのおばあさまのおせっかいが、人を幸福に導く。

バイオレットおばあさまの下で働く、仲の悪いメイドと執事も、出てくるたびに笑わせてくれる迷コンビでしたよね。執事スプラットがまさか別の才能を持っていたとは!

イザベルとバイオレットの「友情」もとてもいい。言うべきことを本音で言い合える。バイオレットとイザベルが「実力行使」で乗り込み、「求婚」するシーンの痛快さときたら。

グランサム伯爵の血を吹くシーンはちょっと驚いた。ダウントンでゲストを招いたときの食卓はいつも戦場でしたね。

不運のデパートみたいだったイーデスが、最後におこなった決断にも泣けた。Honesty is the best policy. 他人を信頼するということは、こちらもすべて正直に心を明け渡すということで、それはとても勇気が要ることだけど、乗り越えると最強の絆を作る。

メアリーとヘンリー。なにかケミカルに欠けるままだったが……前夫のマシューがあまりにも素敵すぎ、マシューとメアリーの物語が丁寧に描かれていたため、短期のうちにあれよあれよと決まってしまったこちらのストーリーが見劣りしてしまうのかもしれない。

カーソンさんとヒューズさんの、穏やかな愛の物語もじわっとくる。ヒューズさんの「心配」ごとを伝えたパットモアさん。そのパットモアさんに伝言したカーソンの誠実さあふれる言葉には泣ける。

貴族が館を「オープンハウス」にして見学料をとる話などリアリティありすぎ。

ヘアメイク、衣装、小道具、すべて15年間にわたる変化を正確に表現していて、目が離せなかった。

などなど語り始めたら永遠に終わりそうにない。

15年ほどの間に、一人一人の人生が大きく変わっている。時代も大きく変わっている。馬車から車へ。ロングヘアからショートボブへ。ドライヤーも登場。メイドや執事がいる屋敷が時代遅れに。一日、一日が、変わらず過ぎていくようで、変化の種は確実にその一日一日の中にあるのだ。そのように心して15年後を見据えようとまで思わされた。シーズン1からシーズン6まで、どのエピソードも、登場人物も、人間らしさにあふれていて、善悪の二分法で描かないところがすばらしかった。

最後は収まるところに収まるといった大団円。現実はなかなかそうならないだけに、ひときわ感慨深かった。

 

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