ファーン・マリス著『ファション・アイコン・インタビューズ』(DU ブックス)。

アメリカのファッション業界を今の地位にまで引き上げた立役者(NYファッションウィークの創設者でありオーガナイザー)、ファーン・マリスが、ファッション・ビジネス界の重鎮19人にインタビューをする。登場するのはマーク・ジェイコブズ、トム・フォード、ヴェラ・ウォン、ダイアン・フォン・ファステンバーグ、カルバン・クライン、ジョン・ヴァルヴェイドス、ビル・カニンガム、オスカー・デ・ラ・レンタ、トミー・ヒルフィガー、ブルース・ウェーバーなど、ニューヨークのファッションシーンを語るときに不可欠な「ファッション界のロックスター」たち。

インタビューはプライベートな部分までかなり突っ込む挑発的なもので、インタビューされている側がときどき不機嫌になるあたりも収録されている。キャリアのアップダウンの背後にあったストーリーなど、本質的な話が面白いのは言うまでもなく、ちょっとしたゴシップ的な話もちらちらさしはさまれたり(アマゾンのジェフ・ベゾスがアナ・ウィンターの勧めに従ってトム・フォードのタキシードを購入した話とか、トム・フォードが一日4,5回風呂に入るとか)して、退屈しない。何よりもささいな口癖や反応を通して、インタビューされる側の人柄が浮き彫りになっていくあたり、興味がつきない。さらに、最後に収録されたビル・カニンガムの話は、アメリカのファッションシーンすべてを俯瞰する視点が入っており、深い余韻が残る。

作品もさることながら、やはりそれを作る「人」の物語が心に残る。キャリアというのものがどのように築かれていくのか、各人が岐路においてなにを基準に進路を選択したのか、どのような態度で周囲の人に接しているのか、チャンスが到来したときにどのように対処するのか、生々しい具体例を通して学びどころも多い。「相手に対して敬意や称賛を感じるからこそ、自分を鼓舞することもできるし、喜びを味わうこともできる」とファーンは書くが、心からそのように思える人たちを相手に仕事を続けることができたら、幸せだと思う。475頁、大判2段組だが対話形式なので臨場感もあり、読みやすい。

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