フォーブズジャパン副編集長兼ウェブ版編集長の谷本有香さんによる『何もしなくても人がついてくるリーダーの習慣』(SB  Creative)。

シャフハウゼン行きにお誘いくださったのはほかならぬ谷本さんです。今さらながらこの本を購入し、読み始めたら、3000人のトップリーダーにインタビューしたという経験に裏付けられたエピソード満載で、なるほどなるほどといちいち付箋をはりながら読み進めたのですが……

……いきなり私の名前が。

しかも太文字で出てきて、思わずコーヒーを吹きそうになったではないですか。

いやなにもこんなところで言及せんでも。しかも、谷本さんは本の中に私のことが書いてあるなんて一言もおっしゃらないのですよ。笑

あーびっくりした。

さて。自分のことはさておき。

リーダーになろうという人だけでなく、コミュニケーションに悩む人すべてに応用できる考え方の数々は、自分の経験を振り返っても腑に落ちました。

・出資するかどうか、最終的な判断材料は、「その人の言葉が真実かどうか」。

・目の前の人をみんなファンにさせてしまうような、ナチュラルな「その人らしい」魅力こそが、人がついてくる最大の秘訣。

・自分の力を発揮することよりもむしろ、周囲の人の力を発揮させる、周囲の人の話を聞くことが、味方を増やす秘訣。

・最終的に選ばれるのは、地味だけれどピュアで、「不正をしなさそうな、いい子」。

・おべっかは嘘と同じ罪悪

・会社も景気も人の感情でできている

それぞれについて語られるエピソードがまたいい。その後、リーダーのあり方を自分の仕事にも応用するための考え方も開陳されますが、ファッションの観点からの指摘がなかなか興味深い。「チーフをしている人はほとんど見たことがありませんし、カフスも、いかにもなブランドバッグも見かけません。それどころか、エコバッグをひょいと持っていたりします」。たしかにそうですね。チーフやカフリンクスやブランドものでキメキメなのは、中小企業の社長さんか、ファッション業界関係者が多い。(*「カフス」は原文のままの引用です。日本ではカフスといえばカフリンクスのこと、というように使われている場合が多いようです)

女性の場合でも、完璧な見た目だと、相手は気後れするのか、バリアを感じるのか、心を開いてくれないんですよね。和田裕美さんのことば、「変な丈のスカートで行け」「野暮ったい髪形で行け」には爆笑。そのほうが成約率は高くなる、と。言われてみれば、モノにもよりますが、私もあんまり完璧な見た目の人からは買いたくないところがあるなあ。それが板についていればいいんだけど、どこか虚栄のにおいや、無理が感じられたりすると、信用できなくなるんですよね。

 

そういえば、「自然体」がいちばんの武器、という話から連想したことがあります。谷本さんは、「相手が学生であろうと偉い人であろうと、接し方は基本的に変わらない」という私の態度を良いように書いてくださっていますが、実は、相手の態度によっては、ときどき、キレそうになることがあります。それは、

裏声でのマニュアル口調全開のセールストーク

をやられたときです。電話をとってこれを聞いたらほとんどすぐ切ります。マニュアル口調ほど嘘くさく、失礼なトークはないと感じるのです。仕事なので心にもないことを仕方なく言ってます、ということを裏声のマニュアル口調は告げています。本気で売りたいと思うなら、自然な声、自然な語り口が最高の武器になるのではと思いますが。

 

などなどの日頃の周囲の情景にも連想が及ぶ、素敵な本でした。有香さんありがとう!

*有香さんに最初にインタビューしていただいたときの記事はこちらです。もう、5,6年も前になるでしょうか…。当時から基本的な考え方はさほど変わっていませんが、変わったこともある。成功と思っていたことがそれが原因となって苦い失敗をもたらしたこともあるし、失敗だと落ち込んでいたことが実は重要な学びと新しい機会をもたらしてくれたこともある。なにが「正解」になるのか、その瞬間だけの結果で人生が終わるわけではないので、ほんとうにわかりません。あまり結果を白黒で受けとめず、喜び過ぎず悲しみ過ぎず、とにかく全力を尽くすだけ尽くして、次に向かう。こうするしかないですね(←と自分に言い聞かせる)。

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