「オリエント急行殺人事件」。
エルキュール・ポワロがスリリングによみがえる。すでに原作を読んで真犯人なら知っているあの謎解きでありながら、新しい名優のラインナップ、新しいディレクションで撮られた映画はすばらしく、イスラエルの「嘆きの壁」から始まる演出は、原作にはないはずで(たぶん)、2017年の世界の現状を見据えてこれを撮るという製作者の心意気には敬意を表したい。3つの聖なる宗教がぶつかり合う場。でもほんとうに悪い奴は……という示唆がにくい。
ケネス・ブラナーのポワロは、嘘くさいヒゲにもかかわらず真実味があって、セリフが心に届く。さすがの演技。
“My name is Hercule Poirot and I am probably the greatest detective in the world. ”
こんなセリフを言ってイヤミに聞こえない。最高にかっこいい。
1930年代を現代風に解釈した衣裳・小物、列車のインテリア、外の風景(セット)、俳優のチョイス、すべてがよき趣味で統一されていて、作り手の誠意とセンスのよさが伝わってくる。旅のスーツケースがグローブトロッター。さりげないプロダクトプレイスメント。
1930年代冬という設定なので男性のスーツはリッチ感のあるスリーピース。そして女優たちが着るのはクラシックなラインでありながら2017秋冬シーズンのトレンドを入れたチェックだったりボウブラウスだったりファーだったり。だからまったく古く感じないのですね。雪崩の風景はじめ自然のダイナミックな風景(ニュージーランドでも撮ってます)にのみ、効果的にCGが使われていて、それも好印象です。
全ての要素がよき化学反応をおこして、画面の質感が上質に仕上がっています。好きな映画。
横浜美術館の内覧会のあとの、みなとみらい泊でした。空気が澄み切るこの時期の早朝のみなとみらいの光は神々しいくらい。このような光り輝く朝に出会うと、新しいスタートに立てる気がしてくるから救われますね。
鉄板のみなとみらいの景色。
観てきました。
とにかく美しい仕上がりで自分が
美術館に居るのかという錯覚を起こす
ほど。個人的には活舌の良いポアロ役の
ケネスブラナーより嫌味な実業家役の
ジョニーデップが印象に残りました。
疑問に思ったのはポアロが時々別れた
彼女を懐かしがる場面があったことでした。
それとアクションシーンが意外でした。
>たけいさん
さすが目の付け所が!
そうそうポアロがなつかしむ女性がいったい何者なのか…
おそらく「続編」で明かされるのでは?(笑)
アクションシーンもとってつけたようでしたね。
現代の観客には必要、と「忖度」されたのかもしれません。
いずれにせよ、質感のよい絵画のような映画で、シリーズ化希望です!