Shape of Water.  ギレルモ・デル・トロ監督。

 

セリフひとつ、小道具ひとつの細部にいたるまで徹底して考えぬいたオタク心と、弱者に向ける愛情が強く感じられる映画。

最後は愛による超越というか沈潜。至上の幸福のひとつの形ですね。ヒロインが伏線でほしがっていた赤い靴が、海のなかで脱げていく……。なんとも美しいシーンだった。

グロいシーンも容赦なくグロい。「指」には当面うなされそうだし、「猫」の扱いも。バスルームを「海」にしてしまうシーンもロマンチックなのかコワいのか。ブラックな笑いすれすれでOKにしているのはやはり監督の名人芸。魚人さんの動き、とりわけ妄想シーンでのダンスの動きがきれい。憎まれるべき悪役がとことん不気味。社会的弱者の優しくも勇敢なつながりにあたたかい気持ちに包まれる。

口がきけないヒロインが、魚人さんを救いたいとイラストレーターの友人に訴える必死のセリフ。

“When he looks at me, the way he looks at me.  He does not know, what I lack… Or how – I am incomplete. He sees me, for what I  am, as I am. He’s happy – to see me. Every time. Every day.” (彼は私の機能が完全じゃないということを知らない。そんな私を、ありのままの私を見る。私を見ると彼は幸せになるの。見るたびに。毎日。)

こういうまなざしを向けあうことができる人(「種」が違おうとも)を見つけられたらそれに勝る幸福はありませんね。

 

 

 

2 返信
  1. たけい
    たけい says:

    今年のアカデミー作品賞を受賞しましたね。
    主人公が映画館の上に住んでいる設定も普通
    のファンタジーの上をいっていましたね。
    飼い猫が食べられてしまったりとかのエピソード
    はあんまり物語を綺麗事にしないようにする
    作り手の意図を感じました。
    好き嫌いは分かれるかもしれないけれど
    印象に残る作品ですよね。

    返信
    • Kaori
      Kaori says:

      >たけいさま
      コメントありがとうございます。
      たしかに、完全なきれいごとにはなってなかったですね。
      猫のシーンもそうでしたし、
      終始、出てきて変化していく「指」にはちょっと悩まされました・・・。
      ヒロインの日々の生活の描写も生々しくて、うわっ、よくここまで
      描いたな、と。でも忘れられない一本になりそう。

      返信

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