7月にスペインのマヨルカ島でおこなわれるカリナリー・サファリ(Culinary Safari) については、以前にもご紹介しました。

地中海のマヨルカ島セントレジスを会場に、5大陸から選ばれた傑出したシェフが腕を競いあうというグルメイベントです。今年は7月20日(金)の夜に行われます。

5大陸から選ばれた今年の7人のシェフの一人が日本人の高橋賢さん(47)。ザ・プリンスギャラリー紀尾井町の和食「蒼天」のシェフです。

ちなみに選ばれたシェフのリストを再掲いたしますと、

・Paolo Casagrande (Momument Hotel, Barcelona), ミシュラン☆☆☆
・Joachim wissler (Althoff Grand Hotel Schloss Bensberg, Koeln), ミシュラン☆☆☆
・Stephanie Le Quellec (Prince de Galles a Luxury Collection Hotel, Paris)、ミシュラン☆
・Francesco Genovese (The Ritz-Carlton, Vienn)
・Stanislave Polesskiy (The St Regis Moscow)
・Markus Wonisch & Miguel Navarro (The St Regis Mardavall), ミシュラン☆
そして、
・Ken Takahashi (The Prince Gallery a Luxury Collection Hotel, Tokyo)

ミシュラン☆つきのレストランのシェフがなんと4ホテル5人もそろいます。このラインナップのなかに高橋シェフが選ばれているわけです。

 

この華やかな食の祭典のために高橋シェフが考案したWASHOKUメニューが完成しました。それは……マヨルカ島の海の色にインスパイアされた、Tempra Soba (と呼んでいいのでしょうか)。

器の下の方には深い緑の大江戸そば。フォークで食べやすいように短くカットしてあります。その上には塩ポン酢ゼリー。カツオだしを注入することで鮮やかな青になるそうです。さらにその上にはマグロの中トロ身+白ごま。万能ねぎの上に乗るのはスペインの高級食材カラビネーロ(エビ)の天婦羅。金箔シートで飾り付けてあります。細く上にのびる棒状の飾りも、そばです。和食をベースに、マヨルカ島の食材と海の美しさに敬意を表した、高橋シェフの個性炸裂の独創的で華麗なWASHOKUです。

ちなみにWASHOKUとは、伝統的な日本料理の技とダシを基本にしつつ、中華料理や西洋料理のスタイルを取り入れた、グローバル&アーティスティックに発信する新・和食。

とはいえ、ここまで大胆に変身してしまうと、いったい和食の定義って何なのだろう?と思いますよね。高橋シェフによれば、彼が守り抜く日本料理らしさとは、「ダシ。旬の素材。ミリ単位の盛り付け」。

ただし、盛り付けに関していえば、伝統的和食が「面」で構成されるのに対し、WASHOKUにおいては、立体的に建築のように組み立てていくのだそうです。伝統的和食では「右から下がってくる」盛り付けをするのだそうですが、そのあたりは自由な発想で「積み上げて」いったりもする。

メニューを作るときも、高橋シェフは、建築家が設計図を描くように、まずは、文字で書いてみるのだそうです。その段階で「できた!」と感じたらようやく実際に創りはじめ、盛り付けをして、完成させる。あれこれ試作しながら完成させていくのではなく、先に理論的に設計図を組み立てるという、いろんな意味で建築家タイプの料理人。

無口で思索型の職人さんに見えますが、座右の銘は「笑う門には福来る」。Fortune comes by a merry gate. 親方の顔色をうかがいながらピリピリして作るよりも、笑いながらリラックスして作る方がはるかによい厨房の環境が生まれ、結果的においしいお料理を提供できるという学びから、常に笑顔でいるように努めているのだそうです。

おうちではどんなお料理を食べるのが好きですか? 「焼肉ですね!」

WASHOKUの次はどんなお料理に挑戦したいですか? 「一度、純和食に戻りたい」

……こういう天然なところがなんとも素敵なシェフです。マヨルカ島でのご健闘を応援します。みなさんもぜひ「蒼天」に出かけたら高橋シェフに励ましのお声をかけてあげてくださいね。

 

 

 

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