尊敬する尾原蓉子先生の新刊『Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る』(日本経済新聞社)。

尾原先生を一言でご紹介するには、あまりにも業績が多すぎる偉大な方です。ファッションビジネスの概念を日本にもちこみ、ハーバード・ビジネススクール・ウーマンオブザイヤーを受賞、元IFIビジネススクール学長、数々の社外取締役を務め、経産省のファッション政策懇親会の座長を務め、「一般法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション」では代表理事・会長を務め……。これでもまだ5分の1もご紹介できていない。日本とアメリカのビジネス界において多大な業績を残し、とりわけアパレル業界のリーダーに信頼される、超一流の先生です。本書の帯は柳井正さんがお書きになっています。

そんな著者がどのように国籍の壁、ジェンダーの壁、環境の壁、組織の壁、年齢の壁を乗り越え、周囲を巻き込みながらキャリアを積んできたのか。具体的に経験が記され、経験から抽象的な法則が導き出されながら、その時々の日米のファッションビジネスの状況もうかがい知ることができます。異文化とのギャップが、具体的にどのような場面に出てくるのかということも、実体験を通して語られてなるほどと思わされます。

また、カルロス・ゴーン、ヒラリー・クリントン、ルチアーノ・ベネトンなど著名人との交流が紹介されるコラムも楽しい。

産業教育の提言もこうしてあらためて確かなビジョンとして提言されたものを読むと、その重要性が説得力をもって伝わってきます。専門学校的なノウハウで終わるのではなく、大学院レベルの教育をおこなうことで、世界で闘える人材が育てられるということ。

 

個人的にもっとも共感したことは、本書で指摘される「平等」と「フェア」は違うということ。もっと日本に浸透してほしい考え方です。経験も仕事内容もレベルも格段に違うのに「一律同じ」という「平等」な扱いにどれほど理不尽な思いをしてきたか。「規則」という一律の「平等」のもとに、どれほど不当な扱いを耐え忍んできたか。そのあたりリーダーあるいは雇用側が「フェア」な扱いができるかどうかは、全体を見渡せる教養とか人間としてのバランス感覚にもかかわってくるのですよね。日本では国のトップにすらそれを求めることがムリな時代になってしまったのでなんだか虚無感が漂うばかりですが。

失礼しました。私はそんな風に現在の日本社会の理不尽を再確認したり自分のビジョンの欠如を反省したりと、多くのことを考えるきっかけを与えていただきました。

仕事をしていくうえで、それぞれのステージにおいて壁にぶつかっている方(男女問わず)に、キャリアと照らし合わせながらさまざまなことを考えるヒントを与えてくれる、誠実な激励にあふれる本です。

 

 

 

 

観たくてたまらなかった映画、さっそくチェーック! 日本では「クレイジー リッチ!」というタイトルになって公開されています。

期待をはるかに超える面白さ。

爆笑続きで、最後は泣かせ、終わるころには愛に満たされて祝祭的に帰ることができる。個人的にはすでに今年のNo.1級。Love.

こんなばかみたいに笑ったのは久しぶりだーくらいに笑いました。そして泣けます。キャストがみんなそれぞれに魅力的。

王道ラブストーリーながら、なんと素敵な映画。

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のWASHOKU 蒼天にて、Ken Takahashiのマヨルカ島カリナリー・サファリ凱旋を記念する懐石ディナー Culinary Journey が、2日間だけのフェアとしておこなわれました。

前菜から構築的で華やか。緑のお皿に乗っているのはシトラスエスプーマ。容器を外すと燻製のような上品な香りが煙とともに漂うというドラマつき。

マツタケのビーフコンソメ仕立ての土瓶仕立て。右奥にあるのはスペイン産のオリーブオイルで、「飲める」くらいにフレッシュ。Kenさんがマヨルカ島で気に入って仕入れてきたものだそうです。

そして「お造り」として出てきたこちらが!

カリナリーサファリで好評を博した、まぐろのタルタル。なんですが、私の印象では、まぐろのタルタルが合間に挟まれた、スペイン×日本の天ぷらそば? スペインのカラビネーロという海老の天婦羅がのっています。その下には茶そば、マグロのタルタル、青い塩ポン酢ジュレ。金粉と青ネギなどで飾ってあります。見た目にもマヨルカ島をイメージさせる、Ken Takahashi渾身の一品。

上から見た図。食べてしまうのがもったいないくらい、フォトジェニックです。

かなりの衝撃だった焼き物。だって和牛フィレと伊勢海老が、交互に並んでるのよ。ゴージャスすぎ。左上に見えるのは、アオリイカのイカ墨サンドイッチ。しいたけで挟んでありました。斬新。


 

そしてお食事としてフォアグラの最中とお鮨(マグロづけ、とらふぐ)。これでもかというほど贅を尽くした食材が続き、圧倒されます。


デザートはラムレーズンジェラートのモンブラン仕立て。

独創的な創作和食で世界のKen TakahashiをめざすKenさん。がんばってください!

 

お料理に合わせて、ソムリエが選んだ日本酒が供されたのですが、日本酒がそれほど得意なジャンルではなく、2杯目くらいからもう何がなんだか味の区別がわかりませんで申し訳ありませんの状態……。

同じテーブルでご一緒していただいた、LEON編集部の市村公平さん。中央はソムリエの藤永希さんです。(一杯目だけシャンパンでした。)

 

コースは目にも美しく美味しく、驚きの連続で大満足でしたが、白ワインが飲めなかったのがちょっと寂しくて、イルミードで白ワインで締めました。

イルミードはしっとりとした暗さが心地よい、大人のオーセンティック・バーです。

 

The Nikkei Magazine Style × LEON 9月21日号。

「アナタにとってLEONってなんですか?」

インタビューを受けた記事が掲載されています。

大きな口をさらに大きく開けて笑っておりますが。笑

 

明大時代に公開講座講師としても来ていただいた野呂さんと同じページでしたよ。

 

さて、この撮影は、ザ・プリンス・パークタワー東京の姫スイートルームこと、ハーバーロイヤルスイートをホテルのご厚意でご提供いただいておこなわれたのです。

なのになんと、背景をすべて同じにするためにわざわざ暗幕をうしろに作ったという……涙涙。

豪華すぎるスイートルームを真っ暗にしてしまう不粋。

百戦錬磨のLEONチームも、まさかこんな姫ゴージャスな部屋が東京のホテルにあったのかと驚愕し、リベンジとして(笑)ウェブLEONに掲載していただきました。お部屋はこのような感じです。

おそらく都内でもトップレベルを誇る広さと華やかさのスイートです。

ベルサイユからパリに戻ってランチはオペラ座となりのカフェ・ド・ラ・ぺにて。

(オペラ座。ここはここで壮麗でしばらく見とれていました。今回は時間がなく中まで入れませんでしたが次回は中に入りたい)

(あのグランドホテル。1階にカフェ・ド・ラ・ぺがあります)

ド・ラ・ぺ! ド・ラ・ぺ! カフェ・ド・ラ・ぺ!

文化史系の本を読んでいたら必ず登場する、カフェ・ド・ラ・ぺ

1862年にグランドホテルの1階にオープン。エミール・ゾラやモーパッサンが足しげく通い、オスカー・ワイルドも訪れ、20世紀初頭のベル・エポックにはディアギレフや皇太子時代のエドワード7世も顧客だったという。プルーストやヘミングウェイの名前も出てくる。

シャネルの本にもしばしば名前が登場する。このカフェにラジオステーションが設置され、アメリカ向けに「This is Paris」が放映されたこともあります。

現在は国によって歴史遺産に指定されているそうです。

前菜としてこのカフェの名物というオニオングラタンスープをオーダーしました。熱々のスープと言うよりも完全にグラタン。パンもたっぷり使ってあるのでこれ一品でかなりおなかがいっぱいになります(というかボリュームがあまりにも多く食べきれませんでした……ごめんなさい)。

メインにはシンプルにビーフステーキ。

王道フレンチのサービスでした。

 

客席はほぼ満席で、富裕層と思われるおしゃれなパリジャンが相当のボリュームのお料理を平らげている光景にも圧倒されます。

階段、廊下、化粧室、インテリアはどの部分も帝政時代やベルエポックの華麗を感じさせます。どっぷりとクラシック・パリの雰囲気に浸ることができました。

 

Paris記はこれで終わりです。走り書きメモで恐縮でした。2泊4日とは信じられないくらい充実したイベント尽くしでした。今回のメインミッションであるフランソワ=アンリ・ピノー会長インタビュー記事は来月発売のForbes Japanにて。

Kering、Forbes Japan各社、パリ&ベルサイユでお世話になったみなさまにはあらためて深く感謝申し上げます。

 

 

ネイルサロンで流してくれたドラマ「民王」。なんの先入観もなく見始めたらあまりにも面白くて結局、一気鑑賞することに。

原作が池井戸潤。野心にあふれる総理大臣と漢字も読めないバカ息子、この二人の入れ替わり演技がとにかくすばらしく、脇をかためる公設秘書や官房長官、政治家や評論家、公安などもいちいち目の離せないキャラクターで爆笑続き。

現状の日本の問題点、そして民の声や「こうあったらいいな」の理想を反映している脚本も、あたたかさにあふれていて秀逸。愛すべきドラマでした。

総理大臣の国民からの信任投票。現実でもあのようにリモコンボタンひとつで投票できるようにすればよいのに。経費もかからないし、ほぼ全員参加できる。

ファッション学的な観点から言えば。ある時間の流れの中で人のあり方・見え方を決めるのは身体的な特徴よりも、むしろ脳 / マインドセットであるということをわかりやすく伝えているドラマでした。脳内が変わると態度や言葉による表現が変わる、結果、見え方が変わる。

 

GQ JAPAN 10月号に寄稿した記事が、ウェブにも掲載されました。

服飾史家の中野香織、ヴィヴィアン・ウエストウッドを論じる―ヤング・ハートの女王

ヴィヴィアンのドキュメンタリー映画「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」は、12月28日(金)、角川シネマ有楽町、新宿バルト9他で全国ロードショーとなります。

今月末からはマスコミ試写も順次始まります。プレス資料には、私のエッセイが掲載されております。(GQに寄稿したものとは異なるバージョンです。) マスコミ試写にお出かけになる方は、よろしかったらチェックしてみてくださいね。

ベルサイユ宮殿の庭。ここはまた別料金をとる。いたるところで追加料金。
すっかり観光地の論理のもとに管理されている。


でもそれだけのことはあるという徹底した手入れがなされている。

ガーデンは池も含め、ちりひとつ落ちておらず、完璧に美しく整えられている。

音楽まで聞こえる。ディズニーランドか。

どこまでいっても違う景色が楽しめる、バリエーション豊かなガーデン。宮廷人はこういうところをそぞろ歩きすることで気晴らしをしていたのですね。

大理石の椅子に座ってみたら、濡れているのか?!とぎょっとしたほど冷たかった。ストーン・コールドとはよく言ったもので、これだけの陽ざしを浴びていても冷たいままなんですね。

それにしても広大だ。広すぎる。広すぎるけれど、中に住む人は限られているというとても狭い世界。

マリー・アントワネットは孤独だっただろう。隣など見えない、逃げるところなどない、広すぎる庭。牢獄のように思えたかもしれない。

18世紀フランスファッションといっても、記録に残っているのは宮廷人のファッションなのだ。ここに住んでいた、ごく限られた人たちの装い。

(民衆が「王妃の首を出せ」と押し掛けたことで有名なバルコニー)


他の大勢の人々の装いは、そもそも記録されてもいないのだ。

記録されないままに世を去った多くの人々のことに思いが及んだツアーでした。


生きた証を残すには、記録せよ。ですね。

機内映画。”Solo: A Star Wars Story”.

あのハン・ソロがいかにしてハン・ソロになったのか。チューバッカとどのように出会い、ミレニアム・ファルコンをどうやって手に入れたのか。なぜアウトローとして生きているのか。ハン・ソロに関する過去がドラマとして明かされる。監督はロン・ハワード。

 

若きハン・ソロ役のオールデン・エアエンライクと、キーラ役のエミリア・クラークも瑞々しくてセクシー。この二人の魅力でずいぶん画面がもつ。

お約束のアクション、アクション、アクション、合間にちらと人間模様。

 

マンマ・ミーア!もそうだったけど、あの主人公たちの若い時代はどうだったのか? という映画を作ることで、一回りあるいは二回り下の世代にも、同世代俳優を通して物語を伝えていくことができるわけですね。だんだん過去にさかのぼりながら未来が開かれていく感じ。

“It’s risky, but it’s worth a try. ”  キーラのセリフ。

パリ記録No.10 。パリ郊外のベルサイユ宮殿へ。

早朝集合だったのでルームサービスで朝食を頼んだら相当なボリューム。もう一日分のカロリーはこれで十分という勢い。


朝焼けの静かなパリの街。ツアーバスで小一時間のドライブで、ベルサイユ宮殿に向かいます。

朝9時のオープン前からすでに長い長い行列。

やっとの思いで入場できましたがどこもかなりの混雑。毎日これだけの観光客が来場すれば大きなビジネスになるのも当然。


資金力のある権力者が、とてつもなく贅を尽くした建造物や美術を造らせておくというのは、ノブレス・オブリージュでもありますね。後代にこれだけ世界中の人々に感動を与え、しかも無限に資金を回収できるのだから、この上なくすばらしい遺産といえます。


 

 

かの有名な太陽王ハイヒール脚線美の肖像画は、ここにあったのですね。本物にようやく出会えて、しばし感無量でした。


窓を開けるとどこどこまでも広い庭園。

一点の隙も無く埋め尽くされた壁面・天井。空間恐怖であるかのように細部にいたるまで贅を尽くした装飾が凝らされている。こんな空間に住んでいるからこそあの装い、あの言動があったのだな。住環境が人に及ぼす影響の大きさをあれこれ想像する。

 

鏡の回廊。ロココのあのパニエで広げた衣装でそぞろ歩きをするには、やはりこれくらいの「場」があることが大前提だったのですね。

もう広すぎて豪華すぎて情報量が多すぎて本欄では到底カバーしきれない。

(王妃の階段)

詳しい情報は、こちらのベルサイユ宮殿ホームページでご覧ください