人間ぎらいのすすめ / 『50歳からの孤独入門』

2018年10月4日

 齋藤孝先生による『50歳からの孤独入門』(朝日新書)。

古今の文学、最近のポップカルチャーや時事のなかから例をひきつつ、ご自身の経験も織り交ぜて、優しく良識的に50歳以降に切り替えたい考え方を説く本。さすがの齋藤先生、安定の貫禄です。

 

国民的英雄とされていた乃木大将の話が印象的だったな。公的イメージでは英雄、でも本人の心の中ではずっと自分は失敗者だと思って自責の念に苦しみ続け、死ぬための機会を待っていたという話。

漱石の「こころ」に出てくる「先生」も、生涯自責の人。こういう自責の念はどこかで手放さないと、自分も周囲も不幸になるのですな。私もそういう傾向があるからこの手のメンタルはわかる気がするのですが、自責の念を手放さずにもっているほうが、ラクなんですよ。でもそれは「甘え」なんですね。

 

秋元康さんの仕事への姿勢もまねしたいところ。なんであれヒットしているものはリスペクトして、なぜ売れたかを調べ、自分の仕事へのヒントを探るということ。くだらないと思っても嫉妬するのではなく、むしろ盛り気味にほめる。そこからヒントをいただく。そうすれば自分の仕事も世の中もうまく回りますね。

 

「50歳になったらもはや生物的人気は残っていない」というリアルな宣告も痛快です。おもに50歳オーバーの男性に向けて書かれていますが、女性も若いころのモテよもう一度と現実世界に夢を求めるのはやめたほうがよいとうお話(求めるならディーン・フジオカ、とか。笑)。私などは人生でモテたことがほぼないのでそもそも落胆しようもないですが、50過ぎたら面白がられる人、頼られる人になる努力を若い時からしておいたほうがよさそうですね。

SNSでときどき若い人に説教する投稿を見かけ、表現が真剣であればあるほど暑苦しく映るのですが、齋藤先生の本書はさわやかな説教(!)の例のようなところもあり、古今東西の偉人のエピソードはこういう風に使うと「物知りぶってる」と疎まれないのだなと学べます。

 

 

 

 

 

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