ファクトリエ創業者、山田敏夫さんの著書『ものがたりのあるものづくり』(日経BP)が発売されます。

読み始めたら、ぐいぐい引き込まれる、山田さんとファクトリエの冒険物語。大きな組織におさまって安寧の日々を送ることに価値は見いだせず、自分の力でどこまで情熱を燃やして成長が続けられるかという道に価値を感じるという感覚は、他人のものとはおもえない(^^;)

とはいえ、山田さんのほうが、けた違いの使命感をもっている。「生きることは、目的ではなく手段」とまで言い切る。何のために命を使うのか? 失敗や挫折を重ねていきながら軌道修正し、人を巻き込み、ポジティブな熱狂の渦を起こしつつ、目的をさらに明確にしていく軌跡は、「ヒーローズ・ジャーニー」そのもの。

工場に脚光を当て、ものを作る人を主役に押し上げたゲームチェンジャーでもある山田さんはアパレルの救世主であるだけでなく、衰退の一途をたどっていた日本のものづくり産業そのものの救世主である。多くの人が、最初にタブー破りを敢行した山田さんの考えと哲学に共鳴し、後に続いている。そうした模倣者が続くことで、世の中全体が変わるのだ。

まったくのゼロから何かを始めようとする人にも、背中を押してくれるエピソードが満載である。とりわけ、地方での営業の苦労エピソードには涙と笑いが一緒になって押し寄せてくる(映画化希望)。山田さんは、ひたすら行動の人だ。自分で決めたことをとにかく黙々と、めげずに、ひるまず、飽きず、続ける。その行動が次の扉を開いていく。

途中、なんども泣けた。とりわけ、周りの多くの人の優しさや変化に。その優しさや変化も、山田さんの真摯な情熱、高いビジョンのために行動し続ける熱意が引き寄せたものだ。嘘偽りも誇張も書かれていないことは、本人の人柄を知っていればわかる。

本書を若い人に(いや中年以降の方にもだが)お勧めするだけでなく、ファクトリエの製品もお勧めできます。色気はあまりないのですが(笑)、だからこそ逆に年齢や性別を超えて長く使い続けられる、質の高い製品を出している。私は次男とファクトリエの帆布×レザーのトートバックを共有しているよ。ちょっと痩せてから(いつだ)汚れがすぐ落ちるホワイトデニムにも挑戦したいし、「育てるカシミア」も気になっている。

今後の世界展開を心から楽しみにしつつ、応援します。

 

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