桂由美さんのショー。上野国立博物館表慶館にて。

半世紀以上、この業界の第一線で活躍中の桂由美先生。その底力とエネルギーが予想をはるかに超えており、圧倒されました。100体ほどのコレクション。しかもどれもがこの世のものとは思えぬ美しい素材を使い、ヘアメイクも含め、この上なく丁寧に立体的に造り上げられている。1時間延々と続くショー。ふつうのファッションショーがほぼ15分~20分であることを思えば、その3~4倍ですよ。しかもほとんどがウェディング。これでもかと続くゴージャスの波。途中、あまりの美しさに倒れるかと思いました。(ギリギリの到着だったので、カメラ席の端に立って見てました)

どれも紹介したいくらいなのですが、どこかのサイトにコレクションフォトがあると思うのでチェックしてくださいね。花婿とおそろいのモチーフのこのドレスもすばらしかった。パールホワイトに金糸の刺繍ってタイムレスですね。震えました。後ろ姿にもうっとり。

チャプターごとにピリッとしたアクセントのように登場するファブ・フォー。この色彩感覚、楽しい! 

クライマックスはいくつもあったのですが、そのひとつが、吉田沙保里さんのウェディングドレス姿。武井装さんにヴェールをとってもらったあとはお姫様抱っこ! かわいい。愛らしい。霊長類最強女子のあまりのかわいらしさに思わず涙した瞬間でした。

吉田さんと武井さんの和装バージョンもあり。前にいる小さなお子様ふたり、とても初々しくて、手をつなぎながら一生懸命歩いている姿がなんともほほえましかった。

フィナーレ。「物語のあるカップル」のモデルとして登場していたこの二人、今回のショーで最高に好きだったカップルでした。マントの後ろ姿もカップルでゴージャス。いいなあ。

フィナーレ続々。音楽もよくて、フィナーレでの明るいダンシング・クイーンのアレンジがまた効くのです。

延々と続くフィナーレ。ひとりひとりの、およびカップルの、完成度がもう天上レベル。写真で伝わりにくいのがもどかしい。

吉田さんと武井さんは、洋装⇒和装⇒洋装へとチェンジで3度登場。おつかれさまでございました。眼福でした。ありがとうございました。

最後はスタッフも紹介され、由美先生とゲストの2人に花束も贈られ、鳴り響く拍手のなかで終了。見ている方も感動の連続によるぐったり心地よい疲れ。

質・量ともに、これほどの高いレベルのショーを提供できるブランドはいまどれほどあるだろうか。愛にあふれたブライダルは夢の頂点ですね。桂由美先生への敬意、あらためて深くしました。上野まで走っていってよかった。このショーの感動の余韻はしばらく続きそうです。

絶賛コメントに参加しました。「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」(Mary of Scots)。上の写真はマーゴット・ロビーですよ。白塗りメイクでここまでやる。あっぱれ。

その他の方々のコメントはこちらにも。


英国女王映画シリーズについては、3月3日(日)、J-Wave across the sky で10分ほど玄理さんと語ります。11:30~11:40。タイミング合えば聴いてくださいね。

3月はラジオはじめトークショーや講座など「話す」仕事が7~8件はいることになりそうで(うち2件は延期などの可能性もあり保留中なのですが)、登壇用の衣裳も春らしくそろえたほうがよいかなと思い、仕事のあと、代官山のジュンアシダ本店へ。

代官山の駅前交差点では、すでに上の写真のように桜が満開。なんという種類の桜なのか、植物の種類にうとい私にはわかりませんが、気持ちがいちどにぱっと明るくなりますね。問答無用に春。

桜効果もあり、また冬の間は黒とグレーばかり着ていたこともあり、やたら明るい色が着たくなってピンク系ばかり試着。笑 そういえば今年はアカデミー賞の授賞式でもピンクを着る女優や俳優(ピンクのタキシードあり)が多かったですね。今年の市場ではピンクのバリエーションも豊作です。

買いもののあとに、お店のスタッフが「ご覧いただきたいものがあるんです」と案内してくださったその先には、なんと見事な7段のおひなさま。友子夫人が芦田家に嫁ぐときに持参されたものだそうです。写真ではその精巧さが伝わらないのですが、実に丁寧に細かい仕事がなされています。

ジュンアシダにはおひなさま担当係とも呼べる専門の男性スタッフがいて、毎年、きちんと出して設置し、収納するという仕事をおこなっているそうです。たしかに、小物ひとつとっても、誰がもつのかどこにおくのか、知識がないとこの作業は難しい。

こんなふうに丁寧に扱われ続け、人に愛でられ続けるおひなさまもとても幸せですね。

思わぬ幸福のおすそ分けにあずかりました。ジュンアシダ本店のスタッフのみなさま、ありがとうございました。友子夫人にも感謝します。

さて。たくさんの新しい出会いが待っていそうな3月。多方面から機会を与えていただけること、ほんとうにありがたいことと心から感謝しています。ゲストのみなさまに楽しんでいただけるよう、最善を尽くします。久々に大阪でのトークショーの機会もいただき、とても楽しみです(近日中にご案内します)。

一足早く拝見する機会をいただきました。
『芳華-Youth-』。中国映画です。1966年の文化大革命、1976年の天安門事件、文化大革命の終焉、1979年の中越戦争…。激動の時代に軍歌劇団として前線で生きる若者たちとその後を描いた映画。監督はフォン・シャオガン。アジア・フィルム・アワード最優秀作品賞受賞。

どんな時代、どんな環境にあっても、青春時代にある若者が経験するであろう、古今東西変わらぬ普遍的な感情やできごとが、みずみずしく切なく描かれている。いやもう涙で心が洗われました。



驚きは、軍歌劇団である文工団の可憐なダンサーたちが踊る、京劇とモダンバレエを融合させたような流麗なダンス。完成度の高い美しさに目が離せなかった。音楽もすばらしい。

こういう気負わない色彩感覚は、むしろ今のミレニアルズに訴えるかも? 作り込んでない普段着感覚がむしろ、さりげなくおしゃれと感じさせる。

一方、戦場のシーンの生々しい恐怖の描き方も圧巻。約6分、カットも編集もない長回しで戦争の非情な残酷さがひしひしと伝わってくる。

時を経たあとで再会してわかる、それぞれの人間の変化や、変わらない本質。

もう戻らない時代へのなつかしさやかすかな心の痛みなども蘇り、少し物悲しく、でもほどよい幸福感に満たされ、しみじみと余韻が続く佳作です。

◼ タイトル: 『芳華-Youth-』
◼ © 2017 Zhejiang Dongyang Mayla Media Co., Ltd Huayi Brothers Pictures Limited IQiyi Motion Pictures(Beijing) Co., Ltd Beijing Sparkle Roll Media Corporation Beijing Jingxi Culture&Tourism Co., Ltd All rights reserved
◼ 4 月12日(金)、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、 YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次公開
配給:アット エンタテインメント
監督・製作:フォン・シャオガン(馮小剛) 脚本・原作:ゲリン・ヤン(厳歌苓) 音楽:チャオ・リン 撮影:パン・ルオ 編集:アン・ラカナン _ 出演:ホアン・シュエン(黄軒)、ミャオ・ミャオ(苗苗)、チョン・チューシー(鐘楚曦)、ヤン・ツァイユー(楊采鈺) 中国/中国語/2017年/ドルビー/シネスコ/135分/字幕:樋口裕子

レーティング: PG-12  (中野註:おそらく戦場のシーンの残酷さのためではないでしょうか)


中外国島のメンバーとともに、銀座の老舗、高橋洋服店を訪問。

三代目の高橋純さんには何度も取材でお世話になっております。次男である四代目の翔さんはイタリアで修業を積んだ後、後を継いでいらっしゃいます。

高橋洋服店では、基本、国産の服地は使いません。イギリス製の高級服地がほとんど。あとはイタリア製が少し。

高級スーツ界では、まだまだ「日本の服地は英国製、イタリア製に比べて劣る」という偏見があります。そのなかで、品質においては負けていないどころかむしろ勝っていることもあるのにブランド価値では劣ってしまう国産メーカーは、どのように食い込んでいくのか、どのようにブランド価値を上げていくのか。今後の課題です。

謙虚に真剣に話を聞く中外国島のメンバーに、高橋純さんも翔さんもとても親身になってくださり、一流の顧客の服を作る老舗テイラーの視点ならではの「目からうろこ」なご助言を多々与えてくださいました。

中央、机に座っているのが高橋純さん。後ろに立つのが左から中外国島の佐藤さん、社長の伊藤さん、宮本さん、そしていちばん右が翔さんです。高橋親子の着こなしもスーツも、さすがの完成度の高さ!

高橋さんはスーツ職人が少なくなることに対する危機感をもち、職人養成のための学校を作り、次世代の職人も育成していらっしゃいます。容易にできることではありません。スーツ文化の未来を思うからこその行動ですね。


服地やスーツのことばかりでなく、一流の人の行動や振る舞い、考え方についてもおおいに学ばせていただいたと思います。高橋純さん、翔さん、ありがとうございました。

Men’s Club 4月号発売です。ブレザー特集で、巻頭エッセイを書いております。ブレザーの起源の解釈と新潮流。お近くにメンクラを発見されましたらご高覧くださいませ。

起源を複数もつのは幸運なことですよね。ことファッションに関する限り、可能性が広がるので一つに絞る必要はないと思う。

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GQ 4月号発売です。特集「ファッション改革の春」。巻頭エッセイを書きました。メンズウエアの変化は男性像の変化を表し、ひいては時代の変化を予兆しています。よろしかったらご高覧くださいませ。

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Forbes Japan April issue 発売です。

ボッテガ・ヴェネタ銀座新旗艦店オープン(2018年12月)に際し来日していたCEOのクラウス=ディートリッヒ・ラース氏にインタビューした記事が、掲載されております。4ページにわたります。

取材した日(12月8日)はプレオープンでしたが、その時に撮影した、店内の様子がわかるものを何枚か。

上の写真のように、店内には何本か直輸入のレモンの樹があります。ほんとによい香りを放っています。

「ディスクリート・ラグジュアリー」(目立たぬラグジュアリー)の可視性を広めたいというアクロバットのような戦略を語る、デビッド・ボウイ似のCEOでした。

記念写真を撮っていただきましたが、この頃(2か月前)は今より3キロほどデブだった。カットも表参道のある有名美容室に期待して行ったところ前髪ばっつんされてなにやらひどいことになっています……。しかしせっかくの記念写真なのでできるだけ小さく掲載してみました。「目立たぬラグジュアリーを広める」ボッテガの戦略の逆、「目立つ貧相を小さくする」パターンだな。しつれいしました。

尾張一宮、尾州の生地メーカーの老舗、中外国島のチームをハケットロンドン銀座店にご案内しました。

ちょうどオーダーフェアが始まったばかり。

ハケットでのお客様のスーツの買い方や、オーダーの仕方。価格帯によってどのような製作方法があるのか。政治家はなぜポスター用にハケットのスーツを選ぶのか。その他ブランディングに関わる話をいろいろ教えていただきました。右はハケットロンドンの大西さん、中央は中外国島の佐藤さん、左は宮本さん。

いつも目を奪われるハケットロンドンのディスプレイ。VMD担当者がシーズンごとにロンドンに行き1週間かけて覚え、日本に帰りロンドンと同じように再現する。ひとつひとつの地味な努力あってグローバルスタンダードが守られる。

店舗の前で記念写真。ありがとうございました。

ダンヒルのティールームでお茶。以前、大好きだった濃厚なジェンツワールドは昨秋改装されて、洗練された現代的なインテリアに変貌を遂げていました。dunhillと型押しされたパンケーキ、というか、どら焼きの皮の部分。アイスクリームの下にはくだいた「かりんとう」。意外に盛り上がるスイーツでした。

昨日の読売新聞夕刊に、脱ハイヒールのムーブメントに関する記事が掲載されました。コメントを寄せています。

ハイヒールに関しては一冊本が書けそうなほどおもしろネタがたくさんあります。

たとえば17世紀のヨーロッパの宮廷では、男性も女性もヒール靴を履いていましたが、爵位によって高さが決められていたんですよね。爵位が高いほど高い靴がはける。

どことなく「権威」性を帯びているのはそんな歴史があったこととも無関係ではありません。

そうそう、忘れかけていましたが、ハイヒールの取材で思い出したことがある。8か月前、NHKの「なんとかちゃんに叱られる」とかいう番組の制作者から、ハイヒールの疑問について答えてくださいという出演打診がありました。

OKしたまではよかったのですが、収録先に関し、先方のご希望に添えませんでした。背景に本がたくさん並んでいる大学の研究室のような「お仕事場」をご希望でしたが、私はすでに大学を離れていたので、そんな場所は知らない。代わりに、現在の仕事で関わっているホテルのラウンジやスイートルームはいかがかとご提案しましたが、それでは「ほしい絵」(=知識のある人が働いている場所?)にならない。ということでお流れになりました。

ハイヒールを実際に履いてみて、before とafter の姿勢の違いを解説するのにふさわしい場所はまさしくホテルのほうなんだけどなあと思いながら、まあきっとふさわしい「本がたくさん並んでいる研究室つきの大学の先生」の解説者を見つけられたことと思います。

私はテレビを見ないので、この番組がどういう番組かよくわかってませんし、その後、フォローもしていないのでハイヒールの話題がどのように報じられたのかも知りません。ただ、製作者が視聴者に与えたいイメージというのは、背景とセットにして恣意的に作られるのだなということがあらためてよくわかった経験でもありました。研究者=本がたくさん、というイメージも、21世紀が進んだ今となっては古いんだけどね。