ブランドのCEO、ないしオーナーの方に話を聞いていると、ブランド愛の薄さに気づくことがある。展開している商品に対して、クリエイターほどの思い入れがないからこそ経営がうまくいくのかもしれないな、などとぼんやり思っていましたが。

ぐるっと視点を変えてみると……膝を打つことがあった。

ヨーロッパのある高級ブランドのやり方、として紹介されていた例。

「そのブランドは、新しい店舗を立ち上げると、店に必要な敷地だけでなく、その周辺の土地もまとめて買っておくという。それから10年間の事業計画を見ると、どうやっても赤字にしかならない。損益計算書だけで「儲け」を考えたら、そんな出店は最初からやめておけ、という話になる。でも、バランスシートで儲けを考えると、そうはならない。そこに高級ブランドの新店舗が登場したら、何が起こるか。それまでとくに注目されていなかった通りが、世の中で「お金持ちの集まる高級な街」と認識され、地価が上がる。(中略)その結果、店舗の立っている敷地の値段が上がって資産価値が高まるのはもちろん、あらかじめ買っておいた周辺の土地も値上がりする。それを売却すればキャピタルゲインが得られるし、ビルを建ててテナント料を稼ぐこともできる」

そのような思惑があったとは。「あんなところに店舗を作って、お客様が来るのだろうか?」などというまぬけな視点で見ていた私は視野が狭すぎた。赤字でもいい。周辺の地価のためにブランドをおいておく。そんな「使い方」もあったのだ。なるほど、オーナーのブランド愛の薄さも納得がいく……。

スーツについてはやはり今どきの資本家目線。

「ネクタイは一種の『首輪』であって、そこには『私がおまえを守ってやるから、従順な部下でいなさい』という含意があると言われているのだ。だとすれば、ネクタイは上司に対する隷属の証ということになる」

実際、スタートアップの集まり、起業家のイベントに行くと、スーツを着ているCEOというのが一人もいなかったりする。いま勢いのあるビジネスの世界ではスーツ=前世紀的な価値観の象徴、とみなされているんですね。あるいはパーティーでのドレスアップのために着る服。

資本家視点で世界を見ると、また世界が違う見え方をしてきます。(共感するかどうかは別として。)「インパクトの大きいお金の使い方をする」という教えには納得。同じ額を使うなら、人の印象に残るような、投資価値の大きな使い方をする、という心がけは、資本家でなくてももっていたほうがよさそう。

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