31日付朝日新聞「耕論」で、クールビズ15年がもたらしたものについて取材を受けました。

ウェブ版はこちらです。

ウェブ版では写真はカラーになっています。撮影協力は東京タワーから400mの距離にあるザ・プリンスパークタワー東京です。東京タワーに敬意を表し、赤と緑でコラボしてみましたよ。

撮影、取材とも、朝日新聞記者の高重治香さんです。ありがとうございました。Special Thanks to The Prince Park Tower Tokyo.

この一週間で一気に季節が移りましたね。それぞれの季節の美しさを感じさせてくれる大好きなスポットのひとつ、高輪日本庭園の現在の風景でございますよ。

品川駅の喧騒からほんの数分でこの雅やかな静寂にひたることができます。

完璧な光と風と色と匂い。深呼吸して体内の気を総入れ替えし、一瞬で気持ちをリセットするのにもってこいの場所。

さて、「ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史」ですが、6月15日発売予定でしたところ、少し延びました。6月26日発売です。お待たせしてたいへん申し訳ございません。表紙をちら見せします。人文学の老舗、吉川弘文館らしい重厚な表紙です。

ご参考までに、6月26日は、一粒万倍日にして天赦日という、この上なく縁起のいい日でもあります。

鎌倉アンティークス主催の田中喜芳博士トークショーに参加させていただきました。「名探偵魅力の世界に遊ぶ」。

田中先生は、日本でも指折りのシャーロキアンでいらっしゃいます。1987年には米国・ベイカー・ストリート・イレギュラーズに2人目の日本人として入会を認められています。世界でも高名なホームズ・グッズ・コレクターの一人でもあります(ホームズ関連の本だけで3000冊はあるそうです)。

実はイラストもお書きになり、毎年、絵の個展を開いていらっしゃいます。6月12日発売の新著『シャーロック・ホームズ トリビアの舞踏会』にはご自身で描かれた繊細なイラストも20枚、収録されているそうです。

おみやげに配っていただいた田中先生イラストが描かれたポストカード。横浜馬車道らしい、素敵なイラスト!

シャーロック・ホームズ、コナン・ドイル、彼らを生んだヴィクトリア朝の時代背景に至るまで。マニアックでディープ、目からうろこが落ちまくりの知的で楽しい時間でした。お客様もみなかなり高いレベルのイギリスマニアな方々(専門職の方も多)で、こういう方々と同じ価値観を共有できる幸せを、しみじみ味わえた時間となりました。

鎌倉アンティークスのヴィクトリアンルームでのヴィクトリア朝の深い話。神は細部に宿ると申しますが、盲点だった細部のお話に常識を覆され続け、論理的ながら楽しい語り口に魅了され続けた、いやもうほんとに楽しいトークショーでした。

田中先生のネクタイは、田中先生デザインによるホームズ協会のクラブタイだそうです。右は鎌倉アンティークス代表の土橋さん。所有するロンドンタクシーがついに10台となったとのこと。祝。土橋さんはイギリスアンティークをテーマにしたミュージアム建設に向けて邁進中で、その一室には田中先生のコレクションも飾られるかもしれません。なんだかワクワクしてきますね。

豊かな機会をありがとうございました。

Jun Ashida & Tae Ashida 2019-2020 AW Exhibition.

今シーズンからメンズをスタートしたTae Ashida. 展示会場にはメンズファッションのジャーナリストの方々もいらして、よい雰囲気。

かねてからファッションは男性と女性セットで考えるべきと申し上げており、著書や記事にもできるだけその姿勢を反映させていますが、やはり展示会場に身をおいても、一方のみに偏っていないほうがほっとします。

最初のシーズンということもあり、当初は試行錯誤の連続で、パンツのファスナーをレディスのように横につけたりという「うっかり」もあったそうなのですが、それも後日、笑い話になるでしょう。継続こそ力、ぜひ、メンズコレクションは続けていただきたいと思いました。上の3枚の写真、すべてメンズコレクションからですが、女性とシェアするのも可能ですね。

レディスのほうがもちろん、圧倒的に数も多く、素材やデザインにまつわるエピソードも多かったのですが、今回、とりわけ心に残った話をひとつだけ。

各グローバルブランドがファーを使わない宣言を続々出しています。今シーズンはプラダもファーを使用しない宣言をしました。ファーをめぐっては、天然素材でサステナブル、最後は土に還るという「エシカル」な素材であるという主張もあり、議論は常に平行線をたどっています。

それに対し、ジュン アシダのスタンスは……とくに何も宣言しない。今シーズンはファーに替わるあたたかそうな素材を使ったコートを増やしていますが、ファーはない。でも政治的な配慮でそうするわけではない。

この姿勢は、社長の山東さんのお話によれば、「お客様を思ってのこと」。今、トレンドに乗って「ファーを使わない」宣言を出してしまえば、これまで自社のファー製品を買ってくださったお客様に対して一貫した姿勢を示していることにならず、申し訳が立たない。今シーズンはたまたま結果としてファーが出ていないだけで、また時流が変わればファーを使う可能性もあるかもしれない。そういうスタンスでいることが、これまでファー製品を買ってくださったお客様の信頼を裏切らないことになる、と。

顧客第一主義ともよべるこの姿勢は、創業者の芦田淳さんから受け継がれているものでしょう。自社製品を買ってくださるお客様のことを常に第一に考える。芦田淳さんがパリコレから撤退したのも、メディア受けのよいショー用の服を作るより顧客が求めるリアリティのある服作りに注力すべきと判断したから。

ファーに対する姿勢も、ブランドの礎にある考え方、顧客第一主義と結びつく。ブランドは常にこうした一貫性を示すことができることを求められる。翻って自分の仕事においてはどうなのか、学びの多い展示会でした。

登戸で小学生の通学時間に起きた痛ましい事件……。なんと怖ろしく、悲しく、いたたまれない事件なのでしょうか。唐突に未来を奪われてしまった女の子、そして外交官の方、ご家族の絶望や無念や苦しみや怒りはいかばかりでしょう。ことばが虚しくなるばかりですが、心よりお悔やみ申し上げます。

事件はひとごとではなく、いつ身近に起きてもおかしくない。せめて子供たちには防衛のためのチェーンメール(鎖帷子)のような防具を身に着けさせたいと本気で思いました。武具として兵士は大昔から着用してきましたが、刃を通さない金属の鎖で作ったチュニックやベストがあれば現代の子供たちにも着用させたいし、自分も着たい。軽い金属で作れば身体の負担にもなりにくい。チョーカーにも見える首回りのアクセサリーがあれば着用したい。すぐに走れるフットウエアと鎖帷子、チョーカーにも見える防具。メーカーにはぜひご一考をお願いしたいです。

社会の闇の問題を解決することがもっとも重要ということは承知のうえ、解決までに時間がかかるなら、せめてそれまでの自衛措置として何らかの策を講じなくてはならない時代にいるのだという危機感を、深い悲しみとともにおぼえます。



来日中の合衆国大統領夫妻の装いについて、本日28日付の読売新聞でコメントを寄せています。

また、読売新聞が運営する「大手小町」でも別のコメントが掲載されています。こちらです

お時間がゆるすときにでもご笑覧くださいませ。

それにしても、エリザベス女王と記念写真を撮るときでさえスーツの前ボタンを留めなかったミーファーストなトランプ大統領が、天皇陛下と会うときには留めていましたね。

<追記>

掲載記事です。早朝から深夜まで、新しい情報が出てくるたびに記者さんといろいろ連絡をとりあってコメントも出し続けていたのですが、結果として、雅子皇后について触れたこれだけになりました。笑 しかも「 」がとれていますが「外交の場では…」の締めの一文も実は私のコメントとして書き送っているのですが……。まあ、紙幅も限られていればそんなものですね。

メラニア様が着替えて登場するたびふりまわされた一日のあとにしみじみと思ったのは、人さまのファッションを解説するより、自らは語らず人さまからファッションを解説される立場になったほうがはるかにかっこいい、ということでした。(そこですか)

映画版の「キングダム」にあまりにも魅了されてNetflixでアニメ版シーズン1を観了。キングダム世界に入り過ぎてなんども具合が悪くなるほど面白かった。

とりわけ将軍王騎の描き方には完全に脳内を持っていかれた。この原作者は天才か。生きている間にこの作品に出会えたことは幸運だった。エネルギーをもっていかれたのか与えられたのかよくわからないほどの疲労が残る。

Dolce and Gabbana 2019-2020 AW Exhibition. このブランドは時代に逆行して唯我独尊のラグジュアリーを追求し続ける。そこがたまらなく好きで、リスペクトする理由でもある。

このシルクブロケードにしても、重い。扱いにくい。でも18世紀ヨーロッパの宮廷文化を思わせて血が騒ぐ。

ロゼットつきのシューズもロマンティック。汚れたらどうするとかケアがたいへんそうとか、そんな下世話な視点を寄せつけず、徹底的に「美」の側に立つ姿勢が潔い。

メンズも負けず劣らず、一歩もひかず、ゴージャス。

17世紀~18世紀宮廷服のような素材を駆使したアイテムはほかにも。左端はランジェリーですが、スパンコールで輝くショーツなんてどうやって洗濯するのだ(たぶん一回着たら終了)。人生のあらゆる瞬間を舞台ととらえる人のための、舞台衣装のようなものですかね。

アクセサリー、バッグ類もユーモアと過剰なサービス精神にあふれていて、楽しい。

レザーに細かくパンチングをほどこされたジャケット。16世紀のメンズ宮廷服にこういうのがありました。ストレッチが効くし、むれなくなるし、機能的なのですよね。ただ作るのがとてつもなく難しい。

妥協せず、日和らず、自分の世界を貫くことのすがすがしさと勇気を見せていただいた気分です。たとえ少数派でも、そこにとどまることで輪郭が際立ち、鍛えられる。作品、ないし、モノとしての服の奥に見えるデザイナーの心の姿勢が見える時、ああ来てよかったなと心から思えます。

今回、目を引いたのは、18世紀ロココ的なシルクブロケード素材。

ジョルジオ アルマーニ クルーズコレクション。国立博物館表慶館にて。

メンズ、レディスが溶け合っての上質なコレクション。昨日のインタビューではデザイナーは「売りやすい」ということも強調していた。たしかに、舞台性よりもむしろ間近でみたときの質感が魅力的な、アルマーニらしいコレクション。

「自分が強いということをあからさまに見せない男が、強い男」と昨日のインタビューで語っていたが、セクシーさ、リッチ感においても同様の感覚が伝わってくる。ことさらに美しさやセクシーさを強調したりしないのが「本物」。そういう哲学に支えられた表現なので、奥ゆかしく、逆に想像力をかきたてられ、引き込まれるのだな。

カラフルな色使いも、クルーズならでは。

最後に登場したアルマーニ。合掌し、お辞儀し、長いランウェイを歩いて観客に大サービス。アルマーニがネクタイをつけたスーツを着ているのが驚きだった。アルマーニといえばミニマムな黒か紺のTシャツ(にジャケット)で登場するのが普通だと思っていた。高齢になってスーツを着るようになったのかもしれないが、いや、このネクタイ姿は彼の日本に対する最高の敬意の表現と受け取るべきでしょう。

互いに敬意を表しあい、感謝しあうというのは、なんと人をあたたかな気持ちにさせるのか。なんと豊かな創造を生むのか。異文化間の交流にプラスの循環を生むこうした幸福な効果もファッションの力のひとつだと認識した夜でした。Thank you, Mr. Giorgio Armani.

12年ぶりに来日中のジョルジオ・アルマーニ氏。生きているうちに(私が、です)絶対お会いしたいと思っていた偉大なデザイナーの話を直接、2mほどの至近距離で伺うことができました。


アルマーニ /銀座タワー。ショーの準備、真っ最中のバックステージにて。

ショー前日のプレスカンフェランス。限定20名、各社から1名のみというハードルの高い席でしたが、日本経済新聞社のご高配により、参加させていただくことができました。心より感謝します。

60分間、笑いもまじえながら、姿勢よくエレガントに立ち、記者からの質問に答え、語り続けるアルマーニ氏、84歳。スタッフの多くは疲れて座ってしまったというのに。(写真はオフィシャルフォトグラファーより)

詳細は後日、ショーの印象とあわせて日本経済新聞のThe Style および連載などで書きますが、興味深いと思ったキーワードのなかから支障ない程度にメモしておきます。今は「?」と思われてもご寛恕くださいませ。

「アルマーニよりアルマーニらしい人がたくさんいる」「日本化したアルマーニ」「願いがひとつ叶うとしたら、不死身になりたい」「スーツを着こなすポイントは、おさえた身のこなしと落ち着いた話し方。それがあれば安価なスーツも高級に見える」「大声を立てない」「骨(格)をエレガントに見せること」「将来に対しては予定を立てなかった。好きなものと好きでないものを明確に分け、自分の信じる道をただ懸命に歩いてきた。その結果が今」「強い男とは、自分が強いということをあからさまに見せない男」「今は女性のほうが強い」「美意識に対してはこだわりが強い。美意識にそぐわないものが視界にあると不快になる」「プライベートライフは、ない」「楽しみは、ごく少量」「ネイビーブルーなど暗めの色は、人との正しい距離感を演出してくれる」「生きる意義は、ミステリー。ただ在るだけ」

40年を超えるキャリアから生まれた知恵のことばがナチュラルにエレガントに紡ぎ出されてきたのだった。濃密な60分間でした。

オフィシャルフォトグラファー撮影による記念写真。私が前列で偉そうに目立ってしまいほんとうにごめんなさいという感じなのですが。アルマーニ氏は後方にまわり、立っていらっしゃいます。左から2番めの位置に立っていらっしゃいます。

これまで細々と書いてきてよかった。心からその仕事を尊敬できる人に会うことができ、その言葉を直接聞き、いっそう敬意を深くするということは、めったにない幸福だと思う。貴重な機会を与えてくださったジョルジオ アルマーニ ジャパン社、日本経済新聞社、そしてご同席の各紙記者や各誌編集長のみなさま、あらためてありがとうございました。

オフィシャルフォトグラファー撮影によるアルマーニ氏 in Japan.