Day 4のテーマは、「映画」。

1980年代の終わりから1990年代にかけては映画コラムの連載をいくつかもっていたこともあり、1年に300本以上映画を観ていた時期があります。

まだCGがなかった時代、映画の文法を蓮実重彦さんや山田宏一さんの本から学びました。ヒッチコックの「サイコ」のシャワーシーンでは、実際にはナイフが肌に一切触れていないにも関わらず、編集だけでいかにも惨殺されたように見せるテクニックが使われていたと知ってスローモーションにして確認したり。ヒマだったのか。「映画術」は相当読み込んだ本です。

映画コラムは滝本誠さんのデイヴィッド・リンチを語るにぴったりないかがわしく危なっかしい文体に魅了されて滝本推しの映画は全部観ていました。
CG時代になってから映画をとりまく世界も一変しましたが、2010年代の状況は、宇野維正さんと田中宗一郎さんの対談でおおよその流れがわかります。

 

このコロナ禍で映画業界も大きな打撃を受けていますね。「今週の映画ランキング」欄が延々と空白という事態がほんとうに悲しい。映画のお仕事に携わるみなさま、お辛さはいかほどかと拝察します。どうかがんばってください。

#BookCoverChallenge
#Day4
#FourBooksforFourBatons

みなさま、どうぞお健やかにお過ごしください。

Day 3のテーマは、「美と醜の境界」です。

「美」に普遍的な基準はあるようでいて、案外、時代に応じてころころ変わりうるということが歴史を概観するとわかります。絶対的不動の美というものがあったとしても、常にそれはNo.1の地位にいるわけでもなく、人は飽きて、それさえないがしろにすることがあります。(また復権するんですけどね。)

そんな「美」の歴史は「醜」の歴史とあわせ読むことで、より輪郭がくっきりとしてきます。ウンベルト・エーコ編著の大作。

また「美人」の基準となると、さらに変動激しいのですが、それぞれの時代の「美人」は必ずといっていいほど同時代社会の視線にけなげに応えている。その応え方、および応えるための涙ぐましくも時に意味不明な「美人」の努力の歴史の本。「美人」は社会の産物であることがわかります。

#BookCoverChallenge
#Day3
#FourBooksforFourBatons

みなさまどうかお健やかに、安全にお過ごしください。

Day 2のテーマは、「匂い」です。

書棚の一列分は、匂いや香水に関する本で占められています。
見えないけれどダイレクトに本能へ届き、確実に人間の行動に影響を及ぼすもの、それが「匂い」。こういうつかみどころのない相手を言語化することが、長年の課題であり続けています。

人類学者、評論家、調香師、小説家、それぞれの立場から匂いの本質に迫ろうとした本、4冊をピックアップしました。

高砂香料の調香師でもある鈴木隆さんは、「悪臭学」のほかにも匂い関連でおもしろ本を多くお書きになっています。「悪臭学」もかなり「うわ~~~」(絶句)という世界で、息を止めながら爆笑したり人間の奥深さにうならされたりします。


パトリック・ジュースキントの「香水」は映画化もされていますが、究極の香水を完成させた天才調香師が仕掛けたクライマックスとその後の末路は思い出すだけで鳥肌が立ちます。善悪の基準などはるかに超絶した、壮絶に何かを追究する人間の物語。映画版の主人公は、「007」のQのベン・ウィショー。この映画が実質的な出世作になりました。

#BookCoverChallenge
#Day2
#FourBooksforFourBatons

みなさまどうぞお健やかに、ご無事に、お過ごしください。

 

 

 

 

Facebook でのブックカバーチャレンジ。FBをフォローしてくださっていない方のために、こちらに転載していきますね。

☆☆☆☆☆

干場弓子さん、丸川夏央留さん、神山敦行さん、穂積和夫さんという素敵な4名の方々から、ほぼ同時期にバトンをいただきました。思い出していただき光栄です。ありがとうございます。

ただ、チェーンメールまがいという批判的な意見や「もう飽きた」という意見も多々、見られます。すでにウォールは本であふれ、今さら同じことをしても、内心飽き飽きなさっているかたも少なくないと思われます。

とはいえ、お声掛けいただきましたお気持ちはとても嬉しく、私なりに「ルール」を拡大解釈して7日間続けます。4本のバトン分、一投稿につき4冊。テーマを決めて、できるだけ楽しんでいただけるような投稿にしたいと思います。(もう本の表紙は見たくないという方、ミュートにしてくださいね)

一日目、テーマは「痴性」。

知的なフリするのは意外と簡単ですが、その知性がほんものかどうかは、下ネタや下世話な話をいかに品よくチャーミングに語れるかという点で判別できます。というか、語り方に本来の品性が表れます。

その意味での「痴性」がすばぬけているのが、リリー・フランキーと開高健。リリー・フランキーのエッセイはばかばかしさが最高で、読めば読むほど愛がわいてくる。表紙のボロボロぶりから愛情が本物であるとおわかりいただけるでしょう。開高健にいたっては好きすぎて帯のコピーまで書いています。ちょっとほめすぎましたが、賢いふりをする男性より100倍は信頼できます。

*もうリレーはやめよう、の声もふえたみたいなので私の番でアンカーとさせていただきます。ってなにかっこつけてんのか。

みなさま、どうかお健やかに、安全にお過ごしください。

日本経済新聞夕刊連載「モードは語る」。25日付は、「ビッグシルエットの効用」。

 

SNSでにぎわっている「ブックカバーチャレンジ」。4名のリスペクトする方々(干場弓子さん、小学館の神山敦行さん、穂積和夫先生、丸川夏央留さん)からバトンをいただき、4本バトンで始めます。とはいえ、もうみなさんすっかり飽き飽きしてきたころかと思うので、適宜ルールを独自解釈してゆるゆる走ります。


こちらは干場弓子さんがアップしてくださった「シャネル、革命の秘密」。世界観がシャネルそのまま!

 

“Do more than is required. What is the distance between someone who achieves their goals consistently and those who spend their lives and careers merely following? The extra mile.” (By Gary Ryan Blair)

読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」。24日付の夕刊では、NY州知事、アンドリュー・クオモ氏について書きました。

ちなみに、知事就任時に職員に配布したピンバッジがこちらだそうです。

婦人画報.jp ウォーマルウェア連載 第6回更新しました。

「ひまわり」公開50周年を記念して、ソフィア・ローレンの持続的な魅力の本質を、彼女のフォーマルドレススタイルを通して解説しました。80歳を超えても30歳代と変わらずフォーマルドレスを楽しんで人生を謳歌している稀有な女優のマインドセットを探りました。こちら

 


コロナ禍でフォーマルシーンは壊滅です。冠婚葬祭もほぼゼロ。そんな状況ですが、ハードな現実をうるおす束の間の眼福として、しばし、お楽しみいただけたら幸いです。

 

〇ニューヨークのクオモ知事が語る「Build Back Better  (BBB)」(以前よりよい復興、創造的復興)ってよいスローガンですね。本日の読売新聞夕刊連載「スタイルアイコン」は、そのアンドリュー・クオモ知事について書きました。読んでみてくださいね。

 

 

〇ある原稿の校正のプロセスで面白い発見をしました。

クリノリン(19世紀半ばの膨張スカート)が印象的に描かれたこのイラスト(著作権フリー)は何のために書かれたのか? ということを調べていたら、music sheet であることが判明。

music sheet ってなにか?と調べたら、楽譜のことなんですね。

で、このイラストは楽譜の表紙。元東京フィルにいらした松田亜有子さんに念のために聞いたら、すぐにさらなる詳細を調べてくださって、楽譜の中身は次のようなピアノ曲であることが判明。

 


クリノリン・ポルカ!

なんと。どんな曲なのかな。だれか弾いてみてください♪

 

〇イタリアのブルネロ・クチネリが事業を再開したとの朗報です。トンネルの向こうに一筋の光が見えるようです。

 

“Let it find you.  Serendipity: The effect by which one accidentally stumbles upon something truely wonderful, especially while looking for something entirely unrelated.”

 

 

〇おすすめです。シャネル公式の「ガブリエルシャネルと映画」。 シャネルと映画の関係が短い動画のなかに凝縮されて収められております。こちら

 

〇映画メモ続きです。

No. 7   The Man Who Knew Too Much (1956)  120min.

監督:アルフレッド・ヒッチコック  出演:ジェームズ・スチュアート、ドリス・デイ、ラルフ・トルーマン

「うますぎる。心拍数が上がってしまった。『ケセラセラ』の歌の使い方、アルバート・ホールに漂う緊迫感(楽譜、シンバル奏者の席、ゆれるカーテン)、大使館のドアからドアへのショット。それでいて、すっとぼけたラストシーン。もう、にくい、最高だ。ヒッチコックの頭がほしい。」(1992.11.5)

No. 8  The Graduate (1967)

監督:マイク・ニコルズ 出演:ダスティン・ホフマン、アン・バンクロフト、キャサリン・ロス

「ダスティン・ホフマンが出てくると聞いただけで貧乏くさいニューシネマを想像していたら、とんでもなく新鮮だった。ハードボイルドにニューシネマをアレンジしてくれた。ラストの数秒間のしらけた感じこそニューシネマ」(1992. 11.12)

No. 9  An Affair to Remember (1957)  106min.

監督:レオ・マッケリー  出演:ケーリー・グラント、デボラ・カー、キャサリン・ネスビット

「最後のシーン、うますぎる。涙腺ボロボロ。ケーリー・グラントがあんなにうまいなんて。セリフの展開、絵の使い方、前半の陳腐な船上シーンも美しくて許せる。それにしてもあのシーン。『その人は貧乏で、お金がなくて、そのうえ、そのうえ……(ここでケーリー・グラント、デボラ・カーがその人ではないのかと初めて気づく。そのまま次の間へ戻り、戸を開ける。鏡に映る、かの絵。ケーリー・グラント、一瞬、瞳を閉じる)』。これをメロドラマティックに音楽が盛り上げる。ケーリー・グラント、さすが。大根と思わせてあのうまさ!」(1992.11.14)

 

 

〇高校生、大学生、専門学校生でファッション史を学んでみたい方、10名さまに『「イノベーター」で読むアパレル全史』をサイン入りでプレゼントします。ご自宅にこもらざるをえないこの期間に、お役立ていただければ幸いです。ご希望の方は、コメント欄に学校名と送付先を書いてお送りください。コメント欄は承認制につき表に反映(公開)されることはありません。発送後、個人情報は私の責任においてすべてすみやかに削除いたします。先着10名様で締め切らせていただきます。書籍はもちろん新品ですが、サイン後、当方でオゾンによる殺菌処理をおこなって発送いたします。

↑ (追記)締め切らせていただきました。↑

 

“Coach said. “the quality of a man’s life is in direct proportion to his commitment to excellence, regardless of his chosen field of endeavor”.”   (By Sherman Alexie )

 

週明けから原稿4本、一つは7000字近いものだったのでぐったり消耗していたところへ、思わぬギフトが届いてエネルギーが戻ってきました。

Go Tailored でご協力いただいているテイラー廣川さんからの、高級手縫いマスク!

そして顧問先からも医療に使われる本格マスク!

この時期のあたたかいお気持ちが本当に嬉しい。ありがとうございました。

 

 

さて。約30年前の映画メモの続きです。

No. 4  Stalag 17 (1953)  119min.

監督:ビリー・ワイルダー 出演:ウィリアム・ホールデン、ドン・テイラー、オットー・プレミンジャー

「捕虜ものがこんなに面白くなるとは! 女優が全く出てこないというのに。目からうろこ。スパイ容疑がかけられたセットンがどう本物のスパイを料理するのか。あれこれ予想をたてながら見たが、ダンバー中尉を逃がす「筋」とセットンが脱走するのと、本物スパイをうまく処分するのとをみごとに収束させた手腕にはただうなる。うまい。ルビッチもそうだが、いくつかのプロットをうまく関係させながら一気に収束させドラマを盛り上げる手腕は名ディレクターの必要条件。ベティ・グレイブルのピンナップの使い方も絶妙で笑ってしまった。みごとな一作。」(1992.10.24)

 

No. 5 Foregin Correspondent (1940)  119min.

監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:ジョエル・マクリー、ラレイン・デイ、ハーバート・マーシャル

「見せ場が次々とこれでもかこれでもかと続く。アクション、アクション、アクション、の大戦直前ヨーロッパを舞台にした傑作。ヒコーキが墜落するシーンはコックピットにカメラをそなえつけ! 本社にニュースを伝えにいくときの巧みな芝居! 例のごとくラブ関係はとってつけたようだったが、これもご愛敬。最後はアメリカへのメッセージ。」(1992.10.26)


No. 6 Under Capricorn (1949) 117min.

監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:イングリッド・バーグマン、ジョセフ・コットン、マイケル・ワイルディング

「1830年頃のオーストラリア(元囚人ばかり!)を舞台にしたコスチューム・メロドラマ。みんな「いい人」ばかりで、悪役のはずのメイドのミリーも半端な悪役だから甘すぎる。ジェントルマン階級vs.下層階級の価値観というか美意識の違いをよく表すルビーのネックレスシーンはうまい。ジョセフ・コットンが貴婦人に立ち直った妻にプレゼントしようと後ろ手にかまえた手にネックレスがうつる。聞こえてくる会話は妻とマイケル・ワイルディングの『こんなところにルビーなんておかしい』という声。デコルテに首飾りは要らないのだ。ルビーのネックレスをにぎりつぶすようにして隠すジョセフ・コットン。映画に使われているコスチュームを扱ったテーマで何かできるはずだ。考えよう」(1992.11.3)

 

 

Netflix は「李泰院クラス」を見始めました。やはり韓国ドラマ、感情の揺さぶり方がすさまじい。続きを見るのがこわい。

 

 

Stay Safe. Stay Healthy.  食料品店やドラッグストアはどこも混んでいますね。必需品の買い物をするのもドキドキですが、そこで働く方はさらに不安でいらっしゃるでしょう。本当にありがとうございます。

 

“Maybe we need to shelter ourselves so we see the beautiful.” (By Joanna Coles)

 

〇Men’s Precious 冬号に掲載された「至高のスーツプロジェクト」。ウェブでも読めるようになりました。こちら。

 

〇JB press autograph にて2020年春夏ルックブックVol. 3 「確固たる『アイデンティティ』の象徴たち」が公開されました。

 

 

休店中の店舗のウィンドウからは春夏コレクションも撤去され、実物を目にすることもなくなってしまいましたが、もう「新しい」デザインは要らない。これをこのまま、見せ方だけを変えて、コロナ後の来年、再来年、あるいはその先……と展開していただいてかまわないと思います。ファッションサイクルは、否応なく変わらざるをえない。アパレル産業、ファッション情報ビジネスに携わる親愛なるみなさん、ほんとうに大変な時ですが、どうか、この非常時を乗り切ってください。

政府は手続きを簡素にして迅速な補償を! どうかよろしくお願いします。

 

“You have to be willing to go to war with yourself and create a whole new identity.” (By David Goggins)

この時期を闘いぬいて、より強いブランドアイデンティティをもって生まれ変わろう。(←自分への励まし混入)

 

 

 

コロナで体調を崩された方々のご回復をお祈り申し上げます。命の危険と隣り合わせで医療に従事されている方々、エッセンシャルワークに携わっていらっしゃる方々に感謝申し上げます。

 

 

 

1990年代は映画評論の連載をしていました。80年代の終わりごろからひょんな偶然ではじまった仕事でしたが、まったく映画のことは知らなかった。引き受けてから勉強し始める、という今も変わらぬ泥縄パタンで、一日一本、必ずビデオか映画館か試写で映画を観る、という修業を自分に課していました。ときに1日3本くらい観ることもあったので、一年に400本、映画を観るという生活を何年か続けていたのでした。

すっかり存在を忘れていましたが、そのころの映画メモが出てきたので、もしかしたら読者のみなさまの巣ごもり中の映画鑑賞のガイドにもなるのではないかと思い、いくつか転載していきます。誰にも見せない予定のメモだったので、辛口の感想もそのままです。日本語のタイトルは不明です。調べてみてください。順不同。

No. 1    The 39 Steps  (1935 英)81min.

監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:ロバート・ドーナット、ルーシー・マンハイム

「ワンシーンたりともムダがない。巻き込まれ型サスペンスだが、とぼけたユーモアもあって、冒頭の『記憶力のよい男 Mr. メモリー』がこんな風に生きてくるなんて……のあっと驚く結末。うまいなあ。『バルカン超特急』もイギリス時代の作品だけど、ともにどことなくのんびりした空気が感じられて、似ている」(1992. 10. 18)

No. 2     Meet John Doe (1941) 123min.

監督:フランク・キャプラ 出演:ゲーリー・クーパー、バーバラ・スタンウィック、ウォルター・ブレナン

「『Mr. Smith… 』も『Mr. Deeds…』も同じパタン。純真なアメリカの青年が、傷つきながらも孤独に社会に対して闘っていく。その陰には必ずやり手の女性がいて、彼女は改心して彼を見守っていく、というお決まりの図式。群衆が手のひらを返したようにクーパーにものを投げつけるあたりの『これでもか』シーンはさすが」(1992. 10. 18)

 

No. 3     To Be or Not To Be (1942)  98min.

監督:エルンスト・ルビッチ  出演:キャロル・ロンバート、ジャック・ペニー、ロバート・スタッフ

「”To be or not to be”のシェイクスピアのセリフがナチに絡んでくるという芸! 劇団員を活かしたナチス・ドイツへの皮肉。自分がドイツ人のくせして……笑  蓮実(重彦)先生が、『シェイクスピアをとるか、ルビッチをとるか』と言っていた意味がよくわかった。シェイクスピアをあきらめねばならない」(1992. 10.21)


当時は蓮実先生の影響で、ルビッチマニアでした。ヒッチコック、キャプラも全作見たと思う。

1942年って第二次世界大戦の真っ最中なんですよね。(少なくともアメリカでは)文化までは死ななかった。プロパガンダ映画が大量に作られました。その意味では、映画製作もままならない今のコロナ禍のほうが悲惨かもしれません。

 

 

 

今週もどうかみなさま安全にお過ごしください。体調を崩された方のご回復をお祈り申し上げます。医療に携わる方々のご尽力に感謝します。

調べ物の勢いで見た「GOAL!」(2005)がなかなか面白かった。Amazon Prime です。


サッカーの才能を天から授けられたサンティエゴ・ムネスのストーリーを通して、イギリスのサッカー文化を見せる。メキシコからロスに渡った不法移民の子供サンティエゴが、イングランドのスカウトに目をつけられ、ニューカッスルのチームで格闘して、その間ファミリーにも友人にもいろいろなことがあり、ドキドキの連続の最後に爽快なゴールを決めてくれる。

イングランドで「サッカー」と言っても通じなくて「フットボール」で通じること。ニューカッスルのアクセント。パブでサッカーを観戦する文化。フットボールは「宗教」であること。選手のアフター。興味深い。ジダンやラウールがゲスト出演、おそらくベッカムも(本人ではないと思うがベッカム風)。

「人間には二種類いる。豪邸に住む人間と、豪邸の芝生を刈る人間だ。夢は見るな。地道に生きろ」という父との葛藤を乗り越えたサンティエゴの姿に泣く。ダメ出しをし続けるけどどこか「父」のような監督もいい味出している。「凡人は自分の能力の限界内にとどまるが、天才はリスクを冒す。冒険する」という監督のことばが刺さる。

サッカー文化は深い。調べ始めたらずぶずぶで原稿の完成が延びてしまった。編集者さまごめんなさい。週末に仕上げますm(__)m

 

プレイヤーの方々はこの時期、さぞかしお辛い思いを抱えてお過ごしのことでしょう。才能をフルに発揮できないことほど苦しいことはないと思います。一日も早いコロナ終息をお祈りいたします。

 

“Genius is patience.” (By Isaac Newton)

 

Stay safe.  Stay healthy.

2日続けてZoomで長めの取材を受けました。

Penではジェンダーとファッションの関係について。

News Picks ではコロナ後のファッションについて。


どちらも、図や写真があったほうがわかりやすいので、パワーポイントに資料を満載して、画面を切り替えながらの解説とディスカッション。準備にそれぞれほぼ丸一日かかりましたが、楽しい時間になったと喜んでいただけました。画面がいろいろ切り替わると飽きずに続けられるし、聞きなれない概念のときは、キーワードを文字として出しておくと、確実です。

ほかにも目的によっていろいろな使い方があるようで、徐々に工夫していくのがおもしろくなってきました。実践しながら学んでいくのが早いですね。こういう使い方が楽しい、というお知恵があればぜひご教示ください。

それぞれのテーマは、活字およびウェブで発表されたらお知らせします。

今週はあと避暑地の紳士、スポーツとファッション、ソフィア・ローレン、美女と野獣というお題との格闘です。

曜日感覚も麻痺しそうなうえ、不安も尽きない日々ではありますが、どうかみなさまお健やかにお過ごしください。闘病中の方々のご快復をお祈り申し上げます。

 

“The beauty of dystopia is that it lets us vicariously experience future worlds – but we still have the power to change our own.” (By Ally Condie)

 

 

〇JB Press Autograph Look Book 2020 Spring & Summer Vol. 2 は「ニューテイラリング」です。冒頭で概論を語りました。

それにしても、半年前に発表されたこうした美しいルックが、ほぼ流通していない(流通できる状態ではない)、リアルに見ることがない、というのはやはり悲しいですね。

 

 

〇ジョルジオ・アルマーニの公開書簡。こちらで全文、日本語として読めますので、お読みになってみてくださいね。すでにいろいろな方がこれまで問題提起されていたことでもありますが、まったく状況は変わりませんでした。これほどのショックがないと人は目覚めないのかもしれない。そして「誰が言うか?」が重要だということがあらためて実感されました。「あのアルマーニがそう言うのだから」と多くの現場は変わるでしょう。彼は今回のコロナ禍にも率先して寄付をしたり医療に必要な品を作って寄付したりしています。行動実績と日頃の言動の積み重ね(=信用)は、ここぞのときにいっそう力を発揮するのだと教えてくれます。アルマーニは、やはりモラルリーダーでもあります。

 

〇25ans Online にて「アパレル全史」をご紹介いただきました。こちら。ありがとうございました。

 

〇1月には初夏に一冊、と計画を立てていた本は、この時代状況でモードの話題は難しいということでいったん延期となりました。コロナ禍が終わり、美しいもの、文化的な価値があるものに再び関心が向けられるようになるときまで、幅を増やしつつ思考を深めておきます。

 

昨日の嵐から一転、さわやかな快晴になりそうです。窓を開けて新鮮な空気を楽しみ、どうぞよい一日をお過ごしください。

 

 

“The perception of beauty is a moral test.” (By Henry David Thoreau)

Netflix 「愛の不時着」(Crash Landing on You) 全16話観了。後半は「南」が舞台、そしてラストがスイスで美しすぎるエンディング。

「冬ソナ」や「星から来たあなた」にはまった人はぜったいズブズブになってますよね。脚本は、「星から~」と同じ作家パク・ジウンのようです。ユン・セリの涙につられ、最後はペットボトル3本分くらい(←おおげさ)涙を搾り取られました。脇を固める「北」のおばさんたち、4人の若い兵士たち、もうひとつのラブストーリーを構成するソ・ダンとク・スンジョンもそれぞれによい味を出していて、ご都合主義は多少ありながらも愛とあたたかさで包まれるような最高の盛り上がりでした。韓国ドラマは、やはり期待を外さない。

笑った言葉。「顔天才」=イケメン。「母胎ソロ」=恋愛経験のない男。

 

“A person often meets his destiny on the road he took to avoid it.” (By Jean de La Fountaine)

芝公園のザ・プリンス・パークタワー東京は、4月11日、開業15周年を迎えました。

おめでとうございます。

 

今はこのような時期ですが、これからもずっと都心のオアシスとして輝きつづけてください。

 

15周年記念プランは、こちら

ハニープロジェクトによるイースターをイメージしたボンネット型のスイーツのテイクアウトもあります。

 

 

集英社インターナショナルのウェブサイトで特集「コロナブルーを乗り越える本」が公開されています。

私も3冊、ピックアップしてコメントしました。

「ステイホーム」中の読書のご参考になれば幸いです。

上記3冊です。なぜ今なのか?についてのコメントは集英社インターナショナルのウェブサイトをご覧くださいね。

 

Disney Daily にてディズニープリンセスの衣裳を徹底解剖するという短期連載が始まりました。

第一回はシンデレラです。

ディズニーアカウントをお持ちの方のみ全文ストレスなく読めるということで恐縮なのですが、もしお持ちでしたら、ディズニ閉園中の束の間の現実逃避にお役立ていただければ幸いです。こちらでも全文お読みいただけるかもしれません(期間が有限かも)。

 

 

 

“Beauty and seduction, I believe, is nature’s tool for survival, because we will protect what we fall in love with. “(By Louie Schwarzberg)

何日か前、知人から、日本フェンシング協会の太田雄貴さんの呼びかけに応じて本を寄贈してくれないかというご相談をいただきました。

ナショナルトレーニングセンターが使用停止となるなか、選手たちは本を読むべきだと太田さんは考えたそうです。「本を読めと大人たちは言うけど、何を読んでいいのかわからない。だからお勧めの本を送っていただきたい」。

もちろん賛同し、私なりに選手の現在や未来を想像し、5冊選んで贈りました。

するとなんと、思いがけず、日本フェンシング協会から「お礼」としてレアなスポーツウェアが送られてまいりました。ナショナルチームが着用しているトレーニングウェアだそうです。わお。なんだか「えびたい」のようで恐縮しつつも、感激しております。

 

ちなみに。フェンシング選手の活躍を祈念しつつ選び、推薦メッセージつきでお送りしたのは次の5冊。

新渡戸稲造「武士道と修養」。 日本人の品格の骨格をなす武士道のエッセンスを多岐にわたりやさしく説いています。折れない心がほしいときに支えになります。

新渡戸稲造「自警録 心のもちかた」。 勝つということ、怖気の克服、誹謗に対する態度、夢の実現、富貴の精神化など、人として成長するために背中を押してくれる言葉が満載。

村上リコ「英国執事」。 紳士のスポーツの背後にある文化を知っておくことで競技に対する見方や考え方にも奥行きが出ることと思います。

・渡辺誠 「洋食マナーの手帳」 アスリートとして名を成せば会食のお誘いも増えます。その時に堂々と自然に振る舞うための基本中の基本マナーの本。

(手前味噌ですが)「『イノベーター』で読むアパレル全史」。拙著ですが、ある分野で社会変革を起こす人の考え方や行動は、アスリートにとってもインスピレーションの源になると思います。(要らんかも?と思いながらも厚かましくサインを入れました。)

 

みなさまの読書ガイドとしても参考になるところあれば幸いです。とりわけ「自警録」は気の弱い私にとって世の中と向きあう態度を鍛えるのに役立ちました。

 

太田会長のお声がけで、最終的に1,000冊を超える書籍が集まったそうです。選手のみなさま、ぜひこの機会に人間力をパワーアップし、来るべき時に備えてくださいね。心より応援しております。

 

“To give anything less than your best, is to sacrifice the gift.” (By Steve Prefontaine)

 

#FencingLibrary

 

LEON 編集長の石井洋さんより「アパレル全史」の力強いご紹介を賜りました。こちらです。

発売して3か月経ってもあちこちでご紹介いただけるのはほんとうにありがたいことです。

本誌もどうぞよろしく。現実に押しつぶされそうな時には、海外のリゾート地やすてきなデートシーンなどの写真を見るとしばし目の保養になり、一瞬とはいえ癒されます。現実逃避とも呼ばれますが、妄想よってほっとする少しばかりの時間は、心の健康のために必要です。

 

とはいえ、ファッション誌をとりまく現実はこの状況ではさらに厳しく、いくつかの雑誌では来月発売の号は再来月発売の号との「合併号」となるようです。

 

今シーズン「5月号」においては、Oceans, Men’s Club, LEON, Nikkei Style Magazine, Men’s EX, Men’s Precious, Richesse 各誌で執筆させていただきました。加えてWeb では婦人画報.jp とJB Press Autograph 、新聞連載では日経・読売・北日本各紙にお世話になりました。各編集部のみなさま、ありがとうございました。

 

撮影や対面打ち合わせや現場取材や座談会が自由におこなえるような時が早く訪れますように。その日までどうかお健やかにお過ごしください。

 

ほぼ無人地帯のご近所散歩の途中で出会った春の花々。そういえば今の季節はディズニーランドの花も見ごろなんですよね……(文字通り、脳内お花畑の妄想です)。

読者のみなさま、どうぞお気持ちを明るく保ち、お気をつけてお過ごしくださいね。不眠不休で働き続けていらっしゃる医療関係の方々に感謝します。

 

“Inspiration usually comes during work, rather than before it.” (By Madeleine L’Engle)

 

 

 

 

北日本新聞別冊「まんまる」5月号が発行されました。

連載「ファッション歳時記」第104回は「パンデミック ファッション業界の反応」です。
この原稿を書いたのは3週間ほど前です。この事態からさらに加速度的に状況が変わっています。他国の状況を見るにつけ、来月号が出るころにはさらに現状が著しく変化していることが予想されます。しかし、刻々と変わるその時々のことを書き留めておくことで、ずっとあとから振り返った時に、なんらかの参考になることがあるかもしれない。

 

 

 

〇Netflix「愛の不時着」はやはり期待を裏切らず怒涛の展開となり、涙をしぼりとられつつ第9話まで。いかん、寝不足だ。はやく結末を見たい半面、観終ってこの世界から離れるのがつらい。「怒ったファンはアンチよりこわい」など名セリフも。

ソン・イエジンとヒョンビン。

家の近くのハナミズキが咲き始めました。例年より早い。青い空と白い花のコントラストが鮮やか。

 

 

〇The English Game (Netflix) 観了。

ダウントンアビーの縮小ボーイズ版といった印象でした。イギリス史が好きな方、19世紀末メンズファッション&レディスファッションが好きな方、サッカー史に関心のある方には楽しめると思います。ジェントルマンシップの一端もわかります。万人受けは難しい、マニア好みの作品。

“Look around you!  You’ve given these people something to believe in!  Something to feed the soul when nothing else does it in their life!”

北部の工場労働者にとってサッカーの優勝はそれほどの意味をもった。イートニアンにとっては”a healthy way for little boys to get fit “.

その他いろいろ思うところは活字原稿で。

 

〇今、見始めてはまりそうで危険なのが、「愛の不時着」(Netflix)。

北朝鮮に不時着してしまった韓国のわがままなセレブ女性と、北朝鮮の不器用な将校のラブストーリー(になるはず)。北と南の文化の違いがデフォルメされて描かれ、笑いに昇華されている。ちょっともっさりした昭和的な展開なのも、逆に新鮮。

 

 

 

 

 

President Woman Spring で「アパレル全史」をご紹介いただきました。ありがとうございます。

これから社会人になる女性にとても参考になる記事が掲載されています。

 

〇JB press autograph でインタビューを受けた記事が掲載されました。「時代を切り拓くイノベーター モードの転換点としての2020年を読む」 Look Book 2020 Spring and Summer Vol. 1

 

 

〇エリザベス女王のスピーチ。さっそく全文が公開されていますが、やはり名演説ですね。とりわけぐっとくるのはこの部分。

“We will succeed — and that success will belong to every one of us.”

“We should take comfort that while we may have more still to endure, better days will return: we will be with our friends again; we will be with our families again; we will meet again. “

Men’s EX 5月号発売です。特集「スタイルある名作映画に学ぶお洒落メソッド」。巻頭言を書きました。

 

各国のスーツスタイルばかりでなく、カジュアル、ドレスダウン、小物使いなどなど、多岐にわたるチェックポイントから映画が選ばれており、それをどのようにスタイルに落とし込むかという実践まで考えられています。そんなこと知らなかった!! そもそもそこまでの細部に気づくのか! というか知ってどうする! という超オタクな小ネタたちにも驚かされます。イラストも秀逸。特集の最後は、綿谷画伯がバタクの中寺さん制作によるフレッド・アステアにインスパイアされたスーツを着るという締め。こんな映画特集、なかなかありません。映画愛、ファッション愛にあふれた編集部渾身の一冊。保存版です。

ステイホームで少し生まれた時間は、名作映画をファッションという視点から鑑賞する過ごし方はいかがでしょうか。

 

映画はセリフも練られているので、ボキャブラリーが増えるのもよいですね。コロナ終息後には、マニアックな方々と映画談義を楽しみたいものです。

 

 (Click to Amazon)

 

英ジョンソン首相も入院しました。エリザベス女王は歴史に残る激励スピーチを。ラストの”We will meet again.” に泣けました。世界中が協力しあって闘うべきときですね。感染して苦しんでいらっしゃる方々の全快をお祈り申し上げます。こんな状況でも休みなく働いていらっしゃる病院関係者、スーパー・薬局のみなさま、公共交通機関で働く方々はじめインフラを整備してくださっている方々にあらためて感謝します。病院関係者が命の危険をおかしてあれだけ休みなく仕事をしていらっしゃるのだと思えば、家にこもって休みなく原稿書くぐらい、どうってことない。

 

 

好きな映画のセリフのひとつ↓

“To infinity and beyond!” (Toy Story, 1995)

 

内田樹先生の「サル化する世界」(文藝春秋)。行き詰っている諸問題について、理由を明快に示し、処方箋を示す。良き時代の人文学の叡智の結晶のようで、こういう方々が一等星のように活躍していた時代を懐かしく思いながら、深く共鳴しました。以下、個人的な備忘録的なメモの一部です。滋養になることばがぎっしり。みなさんはぜひ本書をまるごと体験してくださいね。

・今の社会の生きづらさの本質とは「身のほどを知れ、分際をわきまえろ」という圧力が日本社会のすみずみにまでいきわたっていること。この「身のほどを知れ」という圧力は、表面的には「自分らしく生きる」という教化的なメッセージの美辞麗句をまとって登場してくる。

・今の日本社会は「成熟する」ことを「複雑化する」ことだということを認めていない。成熟するとは変化することである、三日前とは別人になることである。もし、国民が成熟を止め、変化を止め、どれほど時間が経過しても「刮目して相待つ」必要がなくなったら、その国ではもういかなるイノベーションも、どのようなブレークスルーも怒らない。

・倫理とは他者とともに生きるための理法。どういうルールに従えばよいのか。「この世の人間たちがみな自分のような人間であると自己利益が増大するかどうか」を自らに問えばよい。倫理というのは、今ここにいない未来の自分を、あるいは過去の自分を、「そうであったかもしれない自分」を、「自分の変容態」として受け入れること。そのようなすべての自分たちに向かって、「あなたがたは存在する。存在する権利がある。存在し続けることを私は願う」という祝福を贈ること。

・人間とはおのれの起源を知らないが、おのれの起源を知らないということを知っているもののこと。「仁」とは「過去と未来にリアリティを感じることのできるひろびろとした時間意識」。

・孔子は「述べて作らず」と宣言した。かつて賢者が語ったことばを私は祖述しているに過ぎない、と。実際には孔子はかなりの部分までは彼のオリジナルな知見を語っていたのだと思う。でも、自分のオリジナルな知見をあえて先人の祖述であると「偽った」。それは、孔子にとって、語られている理説の当否よりも、「私は遅れてやってきた」という言明のほうが重要であったから。祖述者という設定によって、孔子はおのれの起源を創造しようとしたのである。「遅れ」という概念を説こうとした。

・国政が誤ったときこそ全国民がその失敗に責任を感じ、挙国的な協力体制を形成しなくてはならない。そうしないと国の衰微は止まらない。できるだけ多くの人がこの失政に責任を感じて、自分が後退戦の主体であると感じるためには、それに先立って、できるだけ多くの人が国策の形成に関与しているという実感をもつ必要がある。民主主義とは本来そのための制度。

・「品位ある社会」とは「その制度が人びとに屈辱を与えない社会である」。ある制度が人にとって屈辱的であるかそうでないかを決定するのは「コンテンツ」ではなく「マナー」。

・「公人」というのは、反対者を含めて組織の全体を代表するもののこと。野党に対して相対的に高い得票や支持率を得ているというだけのことで、与党のトップがあたかも全国民の負託を受けたかのようなことを言う。そのことに対してどこからも原理的な批判がなされない。本来、内閣総理大臣は一億二千万の国民を代表する「公人」でなければならない。

・気まずい共存。

・自分たちの国には恥ずべき過去もある。口にできない蛮行も行った。でも、そういったことも含めて、今のこの国があるという、自国についての奥行きのある、厚みのある物語を共有できれば、揺るがない、土台のしっかりした国ができる。抑圧されたものは必ず症状として回帰してくる。

・アメリカという国は、国内にそのつどの政権に抗う「反米勢力」を抱えている。この人たちがカウンターカルチャーの担い手であり、僕たちがアメリカ政府に怒っている以上に激しくアメリカ政府に怒っている。それゆえに僕たちはアメリカの知性と倫理性に最終的には信頼感を抱くことができた。反権力・反体制の分厚い文化を持っていること。これがアメリカの最大の強み。タフな物語の必要性。

・論理は跳躍する。目の前に散乱している断片的な事実をすべて整合的に説明できる仮説は「これしかない」という推理に基づいて、前代未聞のアイディアを提示する。凡庸な知性においては、常識や思い込みが論理の飛躍を妨害する。例外的知者の例外である所以はその跳躍力。論理的に施行することによって、思考の速度を上げている。そして、ある速度に達したところで、飛行機が離陸するように、地面を離れて跳躍する。加速して、踏切線で常識の限界を飛び越えて、日常的論理ではたどりつけないところへに達する。

・論理的にものを考えるというのは、たとえ良識や生活実感と乖離するものであっても、最後まで追い続けて、この前提からはこう結論せざるをえない、という命題に身体を張ること。だから、人間が論理的に思考するために必要なのは、勇気。

・知性は、定量的なものではなく、疾走感とかグルーヴ感とか跳躍力とか、力動的なもの。知性的であることは、飛ぶこと。

・論理が要求する結論を、corollary という。

・日本の今の英語教育の目標は「ユニクロのシンガポール支店長を育てる教育」。金、競争、格付け。今の日本の英語教育において、目標言語は英語だけれど、目標文化は日本。今よりももっと日本的になり、日本的価値観にがんじがらめになるために英語を勉強しなさい、と。

・努力した先に得られるものが決まっていたら、子供たちは最少の学習努力でそれを獲得しようとする。大学生も消費者マインド。いかに少ない学習努力でそれを達成するかに知恵を使う。教育に市場原理を持ち込んではならない。

〇意外なエピソードで面白かったのが、神戸女子大学に就職して最初に授業のときに、ツイードのジャケット、ダンガリーのシャツ、黒いニットタイにメガネという装いで教壇に立ったという話。インディ・ジョーンズが冒険の旅から戻ってきて大学で考古学の授業をしているときのスタイル。大学の先生になると、ああいう恰好ができるという思い込みと憧れがあった、と。

“The most practical kind of politics is the politics of decency.”(By Theodore Roosevelt)

 

 

Men’s Precious 5月号、明日発売です。Amazon 予約は受け付け中です。

スーツ特集の巻頭言「テイラードウェアの未来」を書きました。


原稿を書いていたのは1か月ほど前ですが、この一か月でさらに状況が変わりました。式典や対面営業が激減して、スーツ需要も影響をうけております。Go Tailored Season 2のスリーピースも廣川さんにお願いして製作中ですが、いったいいつになれば4人で集まって撮影することができるのか? 時が来るまで「備えよ常に」の心構えで辛抱ですね。

 

 

“When you innovate, you’ve got to be prepared for everyone telling you you’re nuts.” (By Larry Ellison)

〇「広報会議」5月号で「アパレル全史」をご紹介いただきました。光栄です。ありがとうございます。


とても目立つよい位置です。下はソロ版です。


〇一か月以上、資料を読み込んで頭の中で熟成させていた4000字ちょっとの原稿を今日、一気に書いて提出。編集者から「読んでいて感動のあまり呼吸が荒くなりました」という嬉しいコメントをいただきました。苦労した甲斐がありました。というかノセ上手な優秀な編集者でございます。笑 活字になりましたらお知らせしますので、しばしお待ちくださいね。

 

 

〇読みながら爆笑した本。

 (Click to amazon)

加藤ゑみ子先生の「お嬢様ことば速修講座」。ある種の階級意識をもつ方々は、たしかにここで教えられている言葉遣いをする。私もそういう方々と連絡を取り合う必要が生じたときには、その世界の暗黙のルールにならう。語られないコードを知っているのと知らないのとでは、ことばの受け止め方もまったく違ってくるのです。あとになって「そうだったのか」と気づくこともあり。

そうした暗黙のコードも解説してくれるのですが、皮肉も効いていて笑えます。

 

“Dream no small dreams for they have no power to move the hearts of men.” (By Johann Wolfgang von Goethe)

〇ご案内しておりました、4月25日の朝日カルチャーセンターの講座は、感染症拡大防止のため、延期となりました。予定されていた4月のイベント、講演、研修など人が集まるタイプの仕事はすべて新型コロナ終息後に延期です。書く仕事に集中できるタイミング、と受け止めて、粛々と目の前にある仕事をします。

 

〇Netflix のThe English Game.  集英社kotobaのスポーツ連載のネタとして見始めたのですが、これがおもしろい。1879年のイングランドが舞台です。サッカーがいかにして上流階級のスポーツからワーキングクラス的なスポーツへ変貌していったのかというプロセスを社会ドラマとして描いています。

1879年から始まる、全部で6回のミニシリーズ。いまのところ第2回目まで観終りました。制作はジュリアン・フェローズ、あの「ダウントンアビー」を手がけた方です。オールドイートニアンの文化、北部の繊維工場労働者の文化、あまりにも大きな階級格差の描き方もリアル。俳優たちが、ほんとうにその時代から飛び出してきたようなヘアメイク、衣装、身のこなし。ヒストリカルコスチューム好きも必見。女性はバッスルスカートの時代です。鹿鳴館スタイルのあれですね。ドラマとしてのレベル高い。続きが楽しみ。

 

 


車で5分の寺家町の桜。車窓から望遠で撮影。来年は花見が楽しめるのか。日本政府のあまりにも絶望的な対応を見ていたら、来年は日本という国が独立して存在しうるのだろうかとすら思い始めてきた。有能な人はビジネス界にも大勢いる。リーダー層を総とっかえするか、政権中枢周辺にそういう方々を置くか、なんとか有効な手を早急に打てるトップ集団に指揮をとってもらいたい。他国のリーダーの対応との落差が大きすぎて、恐ろしくなる。

 

 

 

 

〇The Nikkei Magazine Style 3月29日号。

「『007』のジェームズ・ボンドに垣間見る英国紳士の伝統と前衛」。インタビューを受けた記事が掲載されました。

インタビューを受けたのは3月中旬。今から比べればはるかに「のどか」でした…。対面で一時間話すことができたのですから。

この記事もボンド映画公開(4月予定だった)を想定して作られましたが、校了のころに、公開延期が決定。ボンドイベントに合わせた私のボンドウーマンドレス(心斎橋リフォームの内本さん制作)も着るあてなく宙ぶらりん。はたして11月に本当に公開できるのかどうか、それすらも危うくなってきました。

 

 

〇Netflix で The Intouchables 「最強のふたり」。実話に基づく話だそうですが、表面的なとりつくろいを超えてストレート&本音で人に接することの力を繊細に描き出した佳作。じわ~っと心があたたかくなります。

 

 

“The music, for me, doesn’t come on a schedule. I don’t know when it’s going to come, and when it does, I want it out.” (By Prince)