1990年代は映画評論の連載をしていました。80年代の終わりごろからひょんな偶然ではじまった仕事でしたが、まったく映画のことは知らなかった。引き受けてから勉強し始める、という今も変わらぬ泥縄パタンで、一日一本、必ずビデオか映画館か試写で映画を観る、という修業を自分に課していました。ときに1日3本くらい観ることもあったので、一年に400本、映画を観るという生活を何年か続けていたのでした。
すっかり存在を忘れていましたが、そのころの映画メモが出てきたので、もしかしたら読者のみなさまの巣ごもり中の映画鑑賞のガイドにもなるのではないかと思い、いくつか転載していきます。誰にも見せない予定のメモだったので、辛口の感想もそのままです。日本語のタイトルは不明です。調べてみてください。順不同。
No. 1 The 39 Steps (1935 英)81min.
監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:ロバート・ドーナット、ルーシー・マンハイム
「ワンシーンたりともムダがない。巻き込まれ型サスペンスだが、とぼけたユーモアもあって、冒頭の『記憶力のよい男 Mr. メモリー』がこんな風に生きてくるなんて……のあっと驚く結末。うまいなあ。『バルカン超特急』もイギリス時代の作品だけど、ともにどことなくのんびりした空気が感じられて、似ている」(1992. 10. 18)
No. 2 Meet John Doe (1941) 123min.
監督:フランク・キャプラ 出演:ゲーリー・クーパー、バーバラ・スタンウィック、ウォルター・ブレナン
「『Mr. Smith… 』も『Mr. Deeds…』も同じパタン。純真なアメリカの青年が、傷つきながらも孤独に社会に対して闘っていく。その陰には必ずやり手の女性がいて、彼女は改心して彼を見守っていく、というお決まりの図式。群衆が手のひらを返したようにクーパーにものを投げつけるあたりの『これでもか』シーンはさすが」(1992. 10. 18)
No. 3 To Be or Not To Be (1942) 98min.
監督:エルンスト・ルビッチ 出演:キャロル・ロンバート、ジャック・ペニー、ロバート・スタッフ
「”To be or not to be”のシェイクスピアのセリフがナチに絡んでくるという芸! 劇団員を活かしたナチス・ドイツへの皮肉。自分がドイツ人のくせして……笑 蓮実(重彦)先生が、『シェイクスピアをとるか、ルビッチをとるか』と言っていた意味がよくわかった。シェイクスピアをあきらめねばならない」(1992. 10.21)
当時は蓮実先生の影響で、ルビッチマニアでした。ヒッチコック、キャプラも全作見たと思う。
1942年って第二次世界大戦の真っ最中なんですよね。(少なくともアメリカでは)文化までは死ななかった。プロパガンダ映画が大量に作られました。その意味では、映画製作もままならない今のコロナ禍のほうが悲惨かもしれません。
今週もどうかみなさま安全にお過ごしください。体調を崩された方のご回復をお祈り申し上げます。医療に携わる方々のご尽力に感謝します。
返信を残す
Want to join the discussion?Feel free to contribute!