「最強のふたり」の監督、エリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュが、またしても人間愛にあふれる(という表現ではとても足りない)映画を作りました。「スペシャルズ!」、試写を拝見しました。

原題は、Hors Normes . 規格外、というようなニュアンスでしょうか。社会、病院、学校からも疎外された重度の自閉症の子供たち、ドロップアウトした若者たちの面倒を見る二人の気骨ある男性を、ヴァンサン・カッセルとレダ・カデブがごくナチュラルに演じます。

実話に基づくストーリーで、監督は25年前にモデルとなった男性たちに会い、映画にすると決めていたそうです。その想いの厚みが感じられる、本物の感情が伝わってくる映画です。

登場する自閉症の子供たちも、本人(本物の自閉症)であったり、自閉症患者の兄だったり、まさに当事者で、当事者しか使わないことば、当事者しかわからない行動や反応が、生々しく描かれます。それを受け止めて、決して見放さず「なんとかする」ヴァンサン・カッセルとレダ・カデブ。

決して重たくすることなく、押し付けることもなく、誇張することもなく、彼らを聖人視することもなく、むしろ軽やかにリアルに、時にユーモラスに描く監督の視線もあたたかい。

弱者が弱者に向き合うことで互いが救われていくプロセスも心に残ります。制度からはみ出してしまう弱者を薄情に切り離していく日本社会への警告に見えたところも。少なくとも、他人ごととは思えませんでした。多くの方に見てほしい。

配給:ギャガ

公開表記:9月11日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国順次ロードショー

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