長い間、積読状態でしたが、読み始めたら一気に読了。黒木亮『アパレル興亡』。

小説の体裁をとっていますが、戦中から現在までの日本のアパレルビジネスの歴史が綿密に取材されており、アパレルビジネスの興亡を通して日本社会の推移も描かれる。これだけの取材するのはどれだけ大変か、痛いほどわかるだけにリスペクトしかない。ドキュメンタリーでなく、小説だからこそ描ける世界もありますね。虚実皮膜の間に立ちのぼってくる、本質をつかんだ絵。これが脳内に描ける。

私自身、日本の百貨店ビジネスや「営業系・体育会系アパレル企業」のことをほとんど知らなかった。なじみのない日本アパレルの業界用語がいろいろ出てきて、すっかり勉強になった。こうした男ばかりの暴力体質の企業が日本の経済成長を支えてきたのかもしれないですね。分厚さにひるんでいたけど、読み終えるまでだれることなく、スリリングな学びの体験ができた。テキストにして経済小説。黒木さんの力量に感動。

 

“Wild waves rise and fall when they arrive.  And that’s what makes the calm sea alive”  (By Munia Khan)

 

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