ロンドン在住の鳥丸軍雪さんにロングインタビューした記事が、JBpress autographのウェブサイトにて、今日から3回に分けて掲載されます。


軍雪さんからは、貴重なデザイン画はじめ、たくさんの写真もご提供いただきました。
ありがとうございました。

前編は、ダイアナ妃のドレスを作ることになった経緯と、人種差別、試着場面での秘話など。

パレスホテル和田倉でのランチ。

季節の茶わん蒸しから始まり、

3段の箱を開けるとそれぞれに美しいお料理が。

秋の素材をふんだんに用いたバランスよいラインナップ。

一品一品が繊細に丁寧に作り込まれ、感動のおいしさでした。

デザートまで完璧。

窓の外の景色も、いつもながら心がのびる。ハート・オブ・東京というコンセプトの凄みにあらためて感じ入ります。

おまけショット。二重橋。少し雨。

Forbes  Japan の記事、後半も公開されました。「ユナイテッドアローズ栗野宏文が『農業』に注目する理由」。

 

日本発、世界で闘えるラグジュアリーブランドを創るために栗野さんにお話を伺った鼎談(栗野宏文さん、ミラノ在住の安西洋之さん、中野)の後半です。

異文化リテラシーがますます重要になっていくこと

ファッションが農業と結びつかざるを得なくなっていくこと

政治(労使関係、国際政治問題、人権)との関わりを考えることがファッションにとって必須になっていくこと、など。

LVMHプライズの審査員として初回から関わり、世界の状況を肌感覚で知る第一人者としての栗野宏文さんに世界の話を、ヨーロッパ、とりわけイタリアの実情をリアルに知る安西さんの話を、中野が聞いてまとめています。ユナイテッドアローズの商品の話には一言もふれていません。国内でのビジネスもここでは一切議論にあげていません。世界に照準を据えて、スタートアップを考える方はぜひご一読ください。

昨日に続き、本日もForbes Japan トップ記事の扱いです。ありがとうございました。

NewsPicksにも書いたことなのですが、こちらにも記しておきます。

ケリンググループがファー使用に関して傘下全体で毛皮不使用を宣言したニュースについての私の意見です。

(ケリングのファー・フリー宣言はこちらで全文が読めます。

とりわけZ世代の顧客に寄り添いたいというこうした流れがある一方、(人為的な無理をせずに使われる)毛皮はオーガニックな素材であり、孫の代まで受け継がれるうえ、最後は土に還るので環境にとっては優しい、という見方もあります。極寒地に行けば毛皮は必須です。いずれの考え方にも正当性があります。

やみくもに毛皮はNG、という一方向のみに走るのは歴史的に見ても地球全体を見ても視野狭窄という印象を免れません。人類が最初にまとった衣類が毛皮だとされています。人類の歴史とともに毛皮加工の技術も進化してきました。歴史のどこかの時点で、人間のエゴイスティックな虚飾のために生後間もないミンクやフォックスの毛が使われはじめてから、自然に対する敬意や節度がなくなり、おかしくなった。動物虐待と裏腹になった虚飾の権化のような毛皮はもうなくていいけれど、地球の自然なサイクルの中で使われるサステナブルな生活必需品としての毛皮は、存続していっていいと思う。

ケリングの代表、フランソワ=アンリ・ピノー氏は、環境問題、サステナビリティなどにおいてフランスのファッション業界をリードしたいという立場をとっています。そんな立場をより明確にするための宣言でもあったでしょう。

毛皮と人間の歴史に関しては以下の大著があります。

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日本経済新聞連載「モードは語る」。本日は、カール・ラガーフェルドの評伝のレビューです。

電子版でもお読みいただけます。こちら

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Forbes Japan 「ポストラグジュアリー360°」第10回は、ユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さんをお招きしての鼎談です。「きらびやかなラグジュアリーの終焉とLVMHという才能探し」

LVMHプライズの話は栗野さんにしか語れない。日本発、世界へ飛び立つラグジュアリービジネスをお考えの方はぜひご一読ください。本日は前編の公開です。後編は明日、公開されます。

ヴァルカナイズロンドン&ザ・プレイハウスが内も外もボンド一色になっております。10月1日公開まであと一週間となりました。

妄想炸裂なボンドイベント打ち合わせでした。怖いような愛しいようなボンドファンをいかに抱擁(概念として)するのか? 悩ましきところです。

 

イベントについては近々告知できると思います。

 

Worth the Wait. というのは解説も野暮ですが、ダニエル・クレイグがハイネケンCMでつぶやいた一言です。この3語から成る一言で2億円のギャラらしい(笑)。ボンド映画も3度の延期でようやく公開ですが、Worth the  Wait. な映画となってるかどうか?

 

☆現実を生きるダニエル・クレイグが、演じる虚構のジェームズ・ボンドと同じ海軍の名誉中佐に任命されたとのこと。ジェームズ・ボンドってほんと、イギリス社会の虚実皮膜の中に生きながら、イギリス文化の広報大使になっている。ロンドンオリンピック開会式でダニエル・クレイグが女王陛下をエスコートしてヘリコプターから降りてきたときも「あ、ボンドがエスコートか」という感じで何の違和感もなかった(笑)。

ここまでのキャラクターを育てられるってあっぱれ。

今年3年目に入った国島のThe J Shepherds のプロジェクトを、専門家ではない方にもわかりやすいように解説しました。The Rakeのオフィシャルページです。

これまで廃棄されていた羊毛を日本中からかき集め、ツイード生地としてオーガニックなプロセスで製品化しています。大きなビジネスにはまったくなりませんが、牧羊業を守ることにつながっています。ワインのように毎年、風合いが異なる生地なんてロマンティックではありませんか?

メイドインジャパンの生地がイタリアやイギリスの生地と比べて蔑まれていた(ホントです)のは一昔前の話。近年、目覚ましい洗練を遂げています。価格のつけ方、自分たちの製品に対するプライドの持ち方、ほんの少しの見せ方の違い、というところが案外、大きかったと思います。海外ブランドも実はひそかに使っている日本産の生地。これをいっそう世界に通用するラグジュアリーとして「育てていく」ことができるのも消費者の力だと思います。

MIKIMOTO ジェンダーレスパールの展示会。

真珠といえば白い光、という思い込みを覆す、黒をテーマにした真珠のコレクション。

「PASSIONOIR」。PASSION(情熱)とNOIR(黒)を合わせた造語だそうです。

真珠のさらなる可能性を大胆に展開していく最近のMIKIMOTO、ほんとにワクワクさせてくれます。

真珠がもつ無垢な美と、強さ・神秘・漆黒の世界が融合。

MIKIMOTOが黒に染まったのは初めてですね。


黒真珠といってもカラーバリエーションは豊か。

公開されている動画「FEEL」には、ニューヨークのスケーター、BRANDON SCOTT JAMESが出演しています。スケーター、ヒップホップの世界にも黒いMIKIMOTO がすんなりなじんでます。(HPでご覧になってね。)

 

広報のサイトウさんです。(男性です。)いつもすてきなファッションで楽しませてくださいます。足元はマルジェラ❣️

 

 

 

 

 

エシカルジュエリーHASUNAの創業者、白木夏子さんの新著。

エシカル、サステナブル、SDGsとファッションを結びつけ、社会課題を解決するビジネスをどのようにおこなうのか、経験に基づいた具体例がわかりやすく紹介されます。南インドでの体験など凄絶でした。強烈な原点、強い使命感のあるビジネスは説得力があり、支持されますね。

ファッションによる社会課題解決ビジネスのことを概観して学ぶこともできる良き本です。

著者はラグジュアリーという言葉を使っていませんが、新しいラグジュアリーの考え方と通じるところが多い。

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ワクワクさせていただきました!
よき本です。詳しいレビューは後日、媒体で書きますが、学びも共感も感動も多く、かくも付箋だらけになりました。

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Mikimoto ハイジュエリーの展示会。

これまでミキモトがあえて避けてきた日本のモチーフを、今回は堂々とテーマに。

これは盆栽ですね。カラフルな色使いも新しい挑戦です。

手前は、鯉。

これは花火。

こちらは、藤。

そうそう、日本の文化ってカラフルなのですよね。

これは北斎の波。

懐かしいモチーフ、よく知られた日本の美を繊細高度な技巧で現代的な芸術品に昇華したジュエリーの数々。

日本の文化度の高さを無言の輝きで伝えています。

この迫力の美しさを見よ。なんかもうね、美しすぎて泣けるレベルですよ。

今回は一点一点のスケールが大きいばかりか、点数が多い。もうすべて掲載しきれないのが惜しいくらいなのですが、

これは墨絵。

蝶。

この波のモチーフもとんでもない技巧で作られていますよ。

魂の浄化をさせていただいたような気分になりました。

今だからこそ世界に問える日本の美意識。タイミングも最高です。

 

 

 

次の仕事のために購入した本。今秋のトレンドカラーは赤なのだそうです。

赤の意味をあらためて探る長い旅。赤の話だけで200頁書くパストゥロー、凄まじき力量です。

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私のトレンドカラーは何十年も毎シーズン赤なので、いまさら意味もなにもないのですが(笑)。

栗野宏文さんがディレクターを務めるアフリカのファッションとカルチャーのポップアップショップが渋谷パルコに。

カラフルな色彩、大胆な柄の組み合わせは見ているだけで元気になれますね。

栗野さんチョイスによるアフリカの文化を伝える本やレコードも充実。

栗野さんおすすめのアート本を購入しました。装丁も大胆ですが、中はぎょっとするような「トランスフォーメーション」の図がいっぱいで。トラウマすれすれですが、ヨーロッパがアフリカに何をしてきたのか、あらためて考えさせられました。

婦人画報フォーマルウェア連載Vol. 23 「ダイアナ妃が外交ドレスに込めた思い」。

こちらから全文をご覧くださいませ。

鳥丸軍雪さんにインタビューした最新の内容も一部盛り込んでいます。

軍雪さんのみにフィーチャーした記事は、別に近日中に公開予定です。こちらもどうぞお楽しみに。

北日本新聞別冊「まんまる」発行されました。

ファッション歳時記No. 121 「失敗から発展するご縁もある」。

はい、というわけで11月のキモノドレス@国立能楽堂に向けてシェイプアップ中です……。

 

ノエル・カワードの古典的戯曲『ブライズ・スピリット』をアップデートした映画が10日より公開されます。

JBpress autograph の連載「モードと社会」第17回で見どころを解説しました。よろしかったらご覧ください。

1930年代の「ハリウッド志向のイングリッシュネス」を表現したアールデコ建築、ファッション、インテリアは眼福です。

こちらからご覧くださいませ。

 

Precious 10月号発売です。秋のファッション特集「ジェントル&エレガント」で「優雅なジェントルウーマン宣言」を寄稿しました。

本誌にてご覧いただければ幸いです。

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JTBパブリッシングからのご依頼で、シャネルの名言日めくりカレンダーに監修という形で協力させていただきました。

これまで出ている名言集にはあまり出てこないことばを中心に遊び、いくつかのことばには解説エッセイをつけました。

担当者がアラサーの女性たち(と男性)で、シャネルに初めて出会う人にも魅力を知ってもらう入門アイテムとして愛される商品にしたいと情熱をこめて作っています。31枚の写真とことば、味わいがいがあります。

9月14日発売、Amazonでは予約を開始しています。

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集英社クオータリー kotoba 発売です。

連載「スポーツとファッション」第7回は「スポーツによる身体と人生と世界の拡張」をテーマに書きました。

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もみじの香りって想像できますか?

匂いのないもみじをイマジネーションの源にし、自由な発想で作られた香水が、リベルタの新作「Fructus」。

豊かな実り、美味しい赤、落日の最後の輝き(ボードレールか)、もみじから連想された力強いグルマンゴージャスな香りに悩殺されました。

9月9日より限定イベントにて先行発売予定、16日よりリベルタの公式サイトより発売開始だそうです。

匂いのないものに想像の匂いを与える、というのは「シダの香り」ことフゼールロワイヤルからおこなわれてきた王道のアートですね。

 

Jun Ashida 2022 SSコレクションはオンラインでの発表でした。

正統、王道のエレガンスをいくジュン アシダのスタイルが、最先端のテクノロジーを駆使してプレゼンテーションされました。クリエイティブディレクターは芦田多恵さん。

テーマはAnother Dimension.

キャノンのボリュメトリックビデオシステムにより、100台以上の4Kカメラを使い、洋服を前後左右あらゆる角度から表現するという斬新な見せ方でした。監督は清水康彦さん。

時代の先を行くコンサバティブ、というブランドの姿勢をデジタルならではの表現で見せていただきました。堂々とした華やかさ全開の赤いティアードドレス、こういう厳しい時代だからこそいっそう力強く見え、眼福の極みでした。

Jun Ashida のオフィシャルサイトでご覧いただけます。

竹内絢香さんによる「60s UK STYLE 」(徳間書店)。

60年代にふさわしいカラフルで躍動感のあるイラストが満載。60年代スタイルの特徴も楽しく学べるよう工夫されています。ユニークな個性をもつファッションイラストレーターは貴重です。

この本をきっかけにファッション史に興味をもつ若い人がさらに増えるといいな。

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出発前に、サンカラのスパでトリートメントを受けました。

ホテルのメインの建物の2階にありますが、2階から見下ろすプールもまた違う表情。

ストーンを使った施術がこちらのシグニチャートリートメントのようです。実際、石が秘めるパワーというのを屋久島のいたるところで感じてきました。


トリートメントルームは全部で5部屋あります。今回は海側の広々としたお部屋でした。


お風呂とシャワーもついています。

屋久杉を燃やして、その煙の香りをかぐ儀式からトリートメントはスタートします。「やく落とし」の意味があるそうです。世界観がここまで徹底していると心底、感心します。その後のトリートメントは都内のホテルスパとそれほど変わらない(高い)レベルで、それはそれですばらしかったのですが、この「屋久杉を燃やす」儀式はここでしかできない。これがあることで他のホテルスパとは鮮烈に異なる記憶が植えつけられるのですね。

ホテルのスタッフに屋久島空港まで送ってもらい、コミューターで鹿児島空港まで30分。

鹿児島から羽田へ乗り継ぎ、というルートで全1泊2日。この日程で十分、屋久島を堪能できます。仕事の調査もばっちりできて、2日間、きれいに晴れ渡りさわやかな気候のなかで無事に過ごすことができたことには、ただただ感謝です。

縄文杉に触れる体験をされたいときは、ホテルを朝4時頃出て10時間くらいの往復の旅程を見ておいてくださいとのことです。その場合はもっとじっくり滞在したほうがよさそうですね。

 

奥深い屋久島の、本当の魅力にはまだまだ触れていなかったのかもしれません。ご縁あれば屋久島の神々に再び「お招き」される機会もあるでしょう。その時を願いつつ、精進します。

再びレンタカーを運転して、まずは屋久杉ランドに向かうものの……。

まったく下調べせず「おすすめ」されるまま向かったので、まさかこんな道だとは。いちおう舗装されてはいるものの、急カーブの連続のくねくね山道をひたすら上っていく。上に行くにつれて道が細くなり、下は崖。すれちがうのはサルばかり。2時間くらい運転したところで酸素も薄くなり、これ以上の運転は危険と判断したのでやむなく中断して下山しました。

屋久島の地元民が住んでいるあたりを探索しましたが、いたるところパワースポットあり神社あり不思議なオブジェあり。

とりわけ心がざわついたのは、この金色の牛。牛さんが見つめている視線の先には、岩を集めた塊があるんですよね。その周囲を取り囲むように木が植えられている。あたかも、岩のなかになにか邪悪なものが閉じ込められており、それを金色の牛が見張っているかのようでした。

そんな妄想がごく自然に出てくるほど霊気が立ち込めているように感じさせる土地です。

何千年も前から、起きてきたことを見つめてきた木。岩。海。空。山。

俗世間で人間が微細な違いや帰属を求めてあがくことなどまったく取るに足らないことに思えてきます。なるようにしかならないし、おかれた自然環境のなかでもまれるうちに、あるべきように命の在り方が定まっていく。

途中立ち寄った店や現地の人たちと話してわかったことですが、屋久島には都会から移住してきた人もけっこう多い。お子様のために最高の自然環境を用意したかったので移住したというファミリーもいらっしゃいます。魚釣りになったり、ホテルで働いたり、最低限、穏やかに暮らしていくだけの生計を立てる手段はいくらでもある。夫婦喧嘩して車に乗って飛び出しても、3時間まっすぐ車を運転したらそのまま島を一周して家に戻ってくることになり(笑)、そのころには喧嘩もあほらしくなっているそうです。

 

 

 

 

 

朝もこの上ない快晴に恵まれました。

昼、夜、朝、みごとに異なる表情を見せてくれたプール。どの時間も極上でした。

永遠に見ていたい光景。


サンカラの敷地内は、植物もバラエティに富んでいます。

ひとつひとつ花の名前を確かめる風情があるとよかったのですが(しない)。

ホテルで感心したことの補足。「Don’t Disturb」の合図は、この亀の置物をドアの前に置く。世界観が徹底しています。

また、このような方法でアロマを楽しむこともできるようになっています。上のトレーには屋久杉が香るアロマオイル。

朝食のレベルも高かった。最初に提供されたタンカンジュース、屋久島のフルーツと野菜のスムージーから目の覚めるおいしさでした。

朝からシャンパン、はリゾートの定番ですね。(飲まないけど)

焼きたてのパンはすべて個性的で、全部試したいくらいでしたが、ひとつだけ。

前菜から凝っていて、ひとつひとつ、屋久島にかかわる意味がある。

キノコのスープとサラダ。

メインのオムレツ。

 

デザートも。

パンをブッフェで選ぶときは、この上に手をかざす。すると自動的に手袋がはめられる!

 

ホテル帰。ラウンジはすべてのゲストが使えるようになっています。

屋久杉を使ったオリジナルお土産、ホテルオリジナルのお茶、アメニティなども販売されています。

ラウンジではお茶類、お酒類がフリーでいただけます。(それぞれ時間帯が限られています)

本やDVDも好きなだけ楽しめるようになっています。チェックアウト後も屋久島空港発の飛行機まで時間がありますが、空港に車で送っていただく時間まで、ここでゆったりドリンクを飲みながら待つことができる。実にゲストのことを思ったよいシステムです。

レストランayanaでのディナーは期待をはるかにこえる高いレベルでした。屋久島の苔をつかったテーブル装飾も味わいがありますね。

屋久島の新鮮な素材を使った創作料理のコースですが、エグゼクティブシェフは武井智春さん。神戸の有名レストランからいらした方だそうで、ひとつひとつが驚きの洗練でした。

グラスワインもなかなかセンスのよいものが適度な数、そろっていたのですが、こういうロケーションでこそ飲みたかったモンラッシェもムルソーもない。だめもとでソムリエに聞いてみると、「お待ちください」と言って、奥から別のリストをもっていらしたのですが、そこにはなんとモンラッシェだけで4ページほど、気の遠くなるようなバリエーションのリストがありました…。さすがにボトルは飲みきれないと思ったので今回は涙を飲んで諦めましたが、こういう秘密兵器の奥行がどこまであるのだ、という本格派のレストランでした。

デザートもワゴンから好きなものを好きなだけ。甘み苦手な私はひとつだけフルーツ系のものをいただきましたが、どれもとても美しかったです。

夜のプールも幻想的。

照明も完璧です。どこまで素敵なホテルなんだという演出。

ヴィラまでの帰途も、暗すぎず明るすぎない、自然を活かす最適の照明です。

果樹園に向かおうとしてジャングルを歩く羽目になりました。

人に会わない。日の光があるから歩けるものの、夜は絶対無理だろう。

人に会わないけれど、サルにはちょくちょく会います。

 

ホテルのスタッフからの教えとして、「サルには餌をあげないでください」というのがあります。

サルに餌をあげるとサルが狂暴化するのだそうです。人間の方が自分よりもおいしい餌をもっていると知ることで、サルが怒る。

かつてインバウンドで海外から大勢の観光客が訪れた時、観光客がこぞってサルに餌をあげたことでかえって観光客と地元民が危険にさらされました。いまは地元民がルールを守っているので落ち着いているとのこと。

互いの領域に干渉せず、互いの領域を尊重しながら自分たちの文化を守っていくことで島での平和なすみわけが守られているわけですね。

人間社会にも通じる話なのかどうかは、わかりません。

島のいたるところに咲いているのは、紫紺ボタン。目に鮮やかです。

 

 

滝めぐり続き。

竜神の滝。橋の上から眺めるというタイプの滝ですね。滝つぼがかなりミステリアスに見えます。

つづいて再び延々と車を運転し、大川の滝へ向かうのですが、途中、パワースポットらしきオブジェに何度か遭遇。

たとえばこれはなにかここに書かれている呪文を唱えるとよいらしいのですが。

ここにもまた、結界のように配置された石が。奥はカニさんファミリーの住処になっていました。

大川湧水。

そして大川の滝。おおこのたき、と読みます。沖縄もそうですが、ここもまた、漢字の読み方がが本土とは違うことがしばしば。

88メートルの崖から落ちる水はダブルだし、迫力満点。近くまで寄って水しぶきをあびることができます。

 

完全に作業装備でしつれいいたします。

やはり、岩、岩。岩。

滝を見るにはとにかく狭くくねくねした山道を運転していかねばなりません。

ようやく海岸沿いに降りることができて一安心な午後。海は静謐で清らかな光を反射しており、完璧です。

ホテルでレンタカーを借りて、千尋の滝。

あまり出先でレンタカーを借りることはないのですが、ここはとにかく車がないとお話にならない。それに万一、迷っても、島を外周する道路に出さえすれば、3時間で一周できる(必ず元の場所に戻れる)。しかも出会う車はめったにない。なので方向音痴でもかなり安心。


とはいえ、険しく細い林道をひたすら上っていく過程はかなり緊張を強いられます。下は崖だし。

どこも光が清らか。神々に祝福された土地という印象です。

ここでは石や岩がかなり霊的な役割を果たしているのですね。いたるところに人為的におかれた石や岩があります。「結界」を意味しているとも言われ、緊張。

そういえば「アウトランダー」も岩に触れたばかりに18世紀にタイムスリップしてしまう物語なのでした。岩には時を超えた何かが詰まっています。

千尋の滝。下は花崗岩。せんぴろのたき、と読みます。千人の人間が手を広げたくらい大きい、ということでこのように名付けられたそうです。

 

見晴台に上ると美しすぎる屋久島の海が見えます。水平線がオパール色にぼやけているのですよね。

 

標高の高い山がいくつもありますが、外からは見えない。奥に入れば入るほど隠れていた高い山が見えてくるとのこと。奥深く入れば入るほど、なにか霊気を感じる土地です。

 

ホテルはフロント、プール、スパ、レストラン、ラウンジなどがあるメインタワーのほかに、ゲスト用のヴィラが敷地内に戸建てのように点在するというタイプです。メインタワーから各部屋まではスタッフがカートで送迎してくれます。とはいえ、歩いても気持ちのよい道で、徒歩2分という感じ。

ヴィラの前、メインタワーのあちこちには、こんな方がいらっしゃいます。バリ島のリゾートをイメージしての置物だそうです。

部屋は広々と開放的であるばかりでなく、すべてが完璧にブランディングされ、最先端の配慮が行き届いています。

配色のセンスも、屋久島らしさを保ったハイエンドリゾート風の洗練。

無機質なものがなにもないのに、きわめて機能的に作られています。

デイベッドも広々。

ベランダも徹底的に清掃が行き届いています。

アメニティもごみを出さない配慮が行き届いており、スキンケアは屋久島の成分を使ったホテルオリジナルのものが用意されています。石鹸は持ち帰ることができるよう、上のようなパッケージつき。

シェーバーやヘアブラシも、このような持ち帰り不可の高級備品としての扱い。なのでプラスチックごみがでません。安っぽく捨てるごみにするのではなく、思い切り高級備品としてしまう。この発想はすばらしい。

バスルームとシャワーコーナー、それぞれ大理石でできており広々としているうえ、THANNのアメニティが種類を変えて2種。これはうれしい。しかもボトルにsankara のタグがかけてあるので、持ち帰り不可とわかり、ホテルが補充していくことでごみもでないようになっている。

 

飾られるアートも屋久島のイメージをこわさないセンスのよさ。

ティー、コーヒーもすべてsankaraのオリジナル。この試験管のような入れ物に入ったお茶類は最先端のプレゼンテーションですね。冷蔵庫の中のお飲み物もすべてフリー。サービスのお菓子もホテルオリジナル。

一休.comでは驚愕の最高点をたたき出しているsankaraですが、その理由の一端がこれだけでもすでに理解できます。

 

 

仕事で屋久島。鹿児島上空を飛ぶのも初で、窓の外の景色が驚きの連続。

造形の妙を感じさせる開聞岳。富士山のようにきれいな稜線。しかもこんな先端に。

屋久島についに近づきます。日本の本島そのものが島ではありますが、小さな島がほんとに数えきれないくらい点在しており、そのひとつひとつの島に異なる個性があって、それぞれに人が生活していることを思うと、日本は意外と広くて豊かなのだとしみじみ実感します。

屋久島空港。とても小さい。この空港の売店では、屋久杉の香りのお香はじめユニークなお土産を売っておりますが、クレジットカードが使えません。

ホテルの方が車で空港まで迎えに来てくださっています。今回の滞在先は、Sankara Hotel & Spa.

ジャングルの中に切り開かれた道路を40~50分ほど走って、どこまでこの危なっかしい道をのぼるのだと不安になりかけたころ、とてつもなく洗練されたホテルの敷地があらわれます。

スタッフの方がずらりと並んで美しい挨拶でお出迎えしてくださいます。

フロントからも見える開放されたプールでウェルカムドリンク。梅のシロップを使った炭酸ドリンクで疲れも癒えるおいしさ。

文字通り雲一つない青空に恵まれ、これ以上望めないほどの完璧な時空。

高台に建っているので島のジャングルが見渡せ、その向こうには海。

光、空気、水、音、匂い、すべてがあまりにも完璧なので去りがたく、お部屋に入る前にそのままプールサイドでランチをとることにしました。

鹿児島牛のハンバーガーとシーザーサラダ。美味です。なんといっても空気が美味しい。

 

 

 

カール大帝の評伝。

ラファエル バケによる
「カール ラガーフェルド モードと生きて」(早川書房)。

ファッション史の学徒は、とりあえず必読ですよ。

詳しいレビューはどこかの媒体に書きますのでここでは控えますね。

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