「文化の盗用」いちゃもん、いまだに出てくるのですね。

朝日新聞Globe で取り上げられていた記事、黒人のコスプレイヤーが日本のKAWAIIを「盗用」してバッシングを受け、謝罪においこまれたという。

これに対してNewsPicks でコメントしました。以下、転載しておきます。

いかなる文化であれ、文化は互いに異なる影響を及ぼし合って発展してきました。互いの立場が互角であったり、十分な理解と敬意の表現のもとに引用が行われたりした場合、それは「盗用」とはなりません。また、「やられた」側がそう感じていなければ、「盗用」は成立しません。

盗用となるのは次の場合です。
強い立場にある主流の文化(例えば西洋)が、これまで無意識のうちに虐げてきた(下位に置いてきた)マイノリティの文化から、彼らに利益を還元することなしに、自分にとって都合のいいように借用した場合、です。借用された側が「傷ついた!敬意も払われず都合よく盗まれて不利益を被った!」と感じれば、それは盗用となります。「やられた」側がどう感じるかが重要なのです。

このケースでは、「黒人女性が日本文化を盗用した」とクレームをつけられるのは「やられた」側の日本のみですが、そもそも正しい感覚をもつ日本人でこれを「盗用された、不利益を被った」と考える人はほぼいないはず。

紅林さんも擁護していますが、KAWAIIは世界を結ぶ平和のためのキーワード。ムスリム文化圏でもロリータファッションが取り入れられていますし、そもそもロリータファッションじたい、西洋文化からの借り物です。(西洋文化は日本よりも「上」にあるという意識があるので、西洋はそこにクレームはつけません。それはそれで嫌味ですが。(笑))

KAWAII推進者が、世界でどんどんKAWAIIが広まってほしいと普及活動に努めており、日本人の多くが「傷ついた」なんてかけらも感じていないかぎり、これは盗用にはあたりません。そもそも日本政府までもKAWAIIを世界に普及させる大使を任命していますね。盗用が成立するはずもありません。

なんでもかんでも見境なく「盗用」といちゃもんをつける傾向は、文化の健全な交流を委縮させます。なにが相手の文化を傷つけるのか、どのように表現したら敬意を表せるのか、異文化間で、もっとお互いに対話をしましょう。

 

(トップの写真は、龍村さんがトヨタのために作った織物で、波の柄がところどころタイヤになっているのです! 本文とは関係ありません。)

 

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